室内でできる有酸素運動とは?簡単に自宅や職場でする方法|理学療法士

有酸素運動というと屋外でのランニングやジムでエアロバイクを漕ぐなど、場所や道具が無いと行えないイメージがありませんか?実は有酸素運動はご自宅で誰でも気軽に行う事ができます。有酸素運動のメカニズムを知り、ご自宅や職場でも行える有酸素運動を通じて、健康的な身体作りを継続していきましょう。

有酸素運動とは

ランニングやウォーキング、水泳など軽い強度で継続した運動の事を指します。

運動時に筋肉を動かすエネルギーを生み出す際に酸素が消費される事から、有酸素運動と呼れており、無酸素運動に比べ素早く大きなパワーを発揮できませんが、継続した運動を行うのに適しています。また、エネルギーを生み出す際に脂質を燃料とする事から血中のLDLコレステロールや中性脂肪・体脂肪の減少など生活習慣病の予防やダイエットが期待できるといわれています。

有酸素運動と無酸素運動の違いについてはこちらをご覧ください。

室内で簡単にできる有酸素運動を紹介

有酸素運動は外で走ったり、屋内で行うにもエアロバイクやランニングマシンがないとできないのでは?と考える方もいらっしゃるかと思います。

脂肪を燃焼させる目的がメインの場合は軽い強度の継続した運動を習慣的に行う事がポイントになるので、屋内で立派な道具が無くても十分行う事が可能です。

自宅でできる運動

ご自宅では使用できるスペースに限りがあると思います。今回は広いスペースを必要としないご自宅でも行える有酸素運動をご紹介します。

踏み台昇降

10cm~20㎝ほどの台を昇り降りします。

非常に簡単なエクササイズですが、消費カロリーが軽いサイクリングやジョギングと同等で非常に効果的な運動といえます。最近はスポーツショップやホームセンターでもエクササイズ用の踏み台が販売されており、手軽に行える有酸素運動といえます。

ピラティス

第一次世界大戦での強制収容所でのリハビリをきっかけに世に広まり、現在では医療の現場からスポーツやフィットネスの世界でも活用されているエクササイズメソッドですが、心肺機能や脂肪量の改善に効果的との報告も上がっています。

マット上でのエクササイズの種類が豊富で初心者の方にも安心して行えます。最近はYouTubeで検索すると様々なピラティスエクササイズの紹介動画がありますので、ぜひチェックしてみてください。

縄跳び

お庭や広めのベランダがある方にオススメの運動です。

ゆっくりと毎分100回未満のペースでもランニングやサイクリングと同様の運動強度があると言われており、自宅で行える有酸素運動としては、大きな効果が期待できます。

ただし、ジャンプ動作を伴う為、運動になれていない方や膝や足に不安がある方は、先ほどの踏み台昇降のような負荷が少ないものから始めましょう。

仕事の合間にできる運動

仕事の忙しい合間に運動だけの時間を取るというのは、なかなか難しいと思います。仕事や移動中に運動を入れるポイントについてご紹介します。

通勤で歩く意識づくり

定番ですが電車やバス通勤の方は1つ手前の駅や停留所に降りて歩いて職場に向かうようにしましょう。

また、朝の通勤では朝日を浴びる事でセロトニンというホルモンが分泌され、気持ちを落ち着かせたり、脳を活発にする効果もあります。

階段を積極的に利用する

階段を積極的に使うようにしましょう。

1988年に発表された論文では1週間に昇った階数が多いグループほど、様々な要因で死亡するリスクが少なくなると報告されています。

また、近年では階段の上り下りが動脈硬化を抑制する善玉コレステロールが増加する効果が見いだされ、論文化も進んでおり、気軽にできる運動として今後さらに期待できます。

休憩は歩きながらとってみよう

仕事の合間の休憩時間はどのように過ごされていますか?

デスクワークが主な仕事内容の方は、ちょっとした休憩時間で積極的に歩くことをお勧めします。例えば近くのコンビニでコーヒーを買い、5分ほど周囲を歩いて職場に戻るオフィスがビルにある方は上の階にあるエントランスまで階段を使って上り、一息ついてまた戻るなどブラブラするようにしましょう。

座る姿勢が続くと心肺機能も落ちやすく、普段の有酸素運動の効果も落ちやすくなるといわれています。

理学療法士からのポイント

内臓脂肪を減少させるための運動の目安として有酸素運動を用いた運動を週当たり10mets・時以上が推奨されています。mets(メッツ)とは運動強度の単位の事を指し、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したものです。

散歩は3.5metsとなる為、1時間の散歩を週3回行うと目標を達成する事となります。

もちろん、30分の散歩を週6回でも達成した事となります。様々な運動や活動に対しmetsが定められているので、下記のリンクで参考にして頂ければと思います。

ただし、この目安以下でも脂肪は燃焼されるので、どのような形でも運動を継続する事が重要になります。ご自身のスケジュールや生活環境や身体の状況と相談し行いやすい運動からスタートしましょう。ご自身で行う事に不安がある方はパーソナルトレーナーなどのトレーニングの専門家に相談するのもオススメです。

まとめ

有酸素運動は軽い強度で継続した運動の事を指します。運動の継続の為に脂肪をエネルギーとするため、メタボリックシンドロームの改善に効果があるとされています。ご自宅では踏み台昇降やピラティスなどスペースを必要としない運動で効果が期待できます。職場では通勤や休憩の際に歩く時間を作りましょう。

運動時間や強度の目安はありますが、まずはご自身の行いやすい運動からスタートする事が重要です。

ポイント

✔有酸素運動では脂肪がエネルギーとして使われる
✔有酸素運動はメタボリックシンドロームの改善に効果が期待できる
✔自宅でも踏み台昇降やピラティスで有酸素運動は行える
✔通勤や休憩時間を使って步こう
✔ご自身のペースで継続して行う事が重要

 

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参考資料
・厚生労働省 e-ヘルスネット.「エアロビクス/有酸素性運動」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-072.html(参照2021-08-18)
・厚生労働省 e-ヘルスネット.「アネロビクス/無酸素性運動」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-055.html(参照2021-08-18)
・厚生労働省 e-ヘルスネット.「内臓脂肪減少の為の運動」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-002.html(参照2021-08-20)
・厚生労働省 e-ヘルスネット.「メッツ/mets」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-004.html(参照2021‐08‐29)
・産経デジタル iza「速歩より階段の上り下り 筋力維持、動脈硬化も抑制」
https://www.iza.ne.jp/article/20200220-KW74QKF6KNPU3M7D67LZAWCNDA/2/(参照2021‐08‐29)
・Juan PabloRey-Lopeza Emmanuel Stamatakisab MartinMackeycHoward D.Sessode1I-MinLeede,Associations of self-reported stair climbing with all-cause and cardiovascular mortality: The Harvard Alumni Health Study,Preventive Medicine Reports Volume 15, September 2019
・Angeles Bonal Rosell Rayes , Claudio Andre B de Lira , Ricardo B Viana , Ana A Benedito-Silva , Rodrigo L Vancini , Naryana Mascarin, Marilia S Andrade ,The effects of Pilates vs. aerobic training on cardiorespiratory fitness, isokinetic muscular strength, body composition, and functional tasks outcomes for individuals who are overweight/obese: a clinical trial,PeerJ. 2019 Feb 28;7:
・古居 俊一 他,踏み台昇降運動における運動強度の信頼性についての検討,理学療法学supplement Vol.37 Suppl. No.2,2010

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執筆者 / ファクトチェック / 監修者

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Takahiro Nagao

Takahiro Nagao

PHIピラティスインストラクター / 理学療法士

コンディショニング×ピラティススタジオSteadyGo代表
「マイナスからゼロへ、ゼロからプラスへ」をコンセプトに広島県東広島市でスタジオを経営

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Yosuke Fukuoka

薬剤師

【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。

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