有酸素運動と無酸素運動の違いとは?生活習慣病に運動がおすすめな理由

有酸素運動

「走るのが有酸素運動で筋トレが無酸素運動?」よくよく考えると、それぞれの違いってはっきり分かりませんよね。

ポイントは「何を燃料に身体を動かすエネルギーを生み出しているか」。

これが理解できると生活習慣病の予防へ大きなヒントとなります。それぞれの特徴を知り効率の良い運動で健康な身体を目指しましょう。

有酸素運動とは

ランニングやウォーキング、水泳など軽い強度で継続した運動の事を指します。運動時に筋肉を動かすエネルギーを生み出す際に酸素が消費される事から、有酸素運動と呼ばれており、無酸素運動に比べ素早く大きなパワーを発揮できませんが、継続した運動を行うのに適しています。

有酸素運動の種類

ランニングや水泳・ウォーキング、サイクリング

エアロビクスダンスや太極拳など

無酸素運動とは

短時間で大きなパワーを発揮する運動の事で、短距離走やマシンや重りを使った筋力トレーニングの事を指します。この運動ではエネルギーを生み出す際に酸素を使わず、筋肉内にあるクレアチンリン酸やグリコーゲンといった物質を使用するため、無酸素運動と呼ばれます。

有酸素運動に比べエネルギーを生み出す速度が速いため、運動の初期や大きなパワーを発揮するような高強度の動作で用いられます。しかし、クレアチンリン酸を体に保持するには限界があるため、長い時間大きなパワーを発揮する動作を行う事は難しいとされています。

無酸素運動の種類

短距離走やフリーウェイトやマシンを使った筋力トレーニング

自重で行うスクワットなど

生活習慣病に有酸素運動がおすすめな理由

トレーナーから指導を受ける女性

前述の通り、有酸素運動と無酸素運動の大きな違いは運動の際に必要とされるエネルギーの違いです。有酸素運動はその名の通り、酸素を利用する運動ですが、その際に脂質も燃料とするため、血中のLDLコレステロールや中性脂肪・体脂肪の減少が期待できるといわれています。

実は筋力トレーニングのような無酸素運動を行う事によって成長ホルモンなどの脂肪分解ホルモンが分泌されると報告されているので、無酸素運動も生活習慣病に大きく役立ちます。

しかし、負荷量が大きくトレーニングに慣れていない方はケガのリスクや気持ちが続かず継続が難しいと考えられます。その点、有酸素運動は負荷も低く簡単に行えるので、今まで運動の習慣が無かった方々にはオススメの運動といえます。

理学療法士からのポイント

では有酸素運動だけすれば良いのか?と思いの方もいらっしゃるかと思いますが、実はそうではありません。「WHOが提唱した身体活動および座位行動に関するガイドライン」では週に150~300分の中強度の有酸素運動の推奨とともに週に2回の中強度の筋力トレーニングも推奨しています。

また、有酸素運動と筋トレのような無酸素運動の組み合わせは、それぞれを単独で行った場合よりも脂肪減少の効果が高いと様々な研究で報告されています。

しかし、重要なのは運動をスタートして継続する事です。ご自身の生活スケジュールを見直して、歩く頻度を増やしたり、お近くのパーソナルジムで専門家の方にトレーニングの方法を指導してもらうのも方法の1つです。

以前は20分以上の運動が脂肪燃焼に有効的ともいわれていましたが、近年では30分の運動を1回にまとめても10分を3回に分けても減量の効果は変わらないといわれています。エレベーターから階段に変える、1駅前に降りて歩くなど、継続した運動が行えるように、ご自身ができる範囲から頑張っていきましょう。

まとめ

有酸素運動と無酸素運動の違いはエネルギーを生み出す燃料の違いとエネルギーを生み出す速さの違いなどがあります。有酸素運動では酸素の他に脂肪を燃焼させエネルギーを生み出す為、生活習慣病の予防に効果的といわれています。

しかし、筋トレのような無酸素運動との組み合わせが脂肪減少に一番効果的との報告もあります。運動に慣れていない方は負荷の少ない有酸素運動からのスタートがオススメです。

ポイント
  1. 有酸素運動と無酸素運動の違いは消費するエネルギーの速さと材料の違い
  2. 有酸素運動は脂肪を燃焼してエネルギーを生み出す
  3. 有酸素運動に偏らず筋トレとの組み合わせが効果的
  4. 継続した運動の為に負荷の少ない有酸素運動からスタートがオススメ

 

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参考資料

厚生労働省 e-ヘルスネット.「エアロビクス/有酸素性運動」(参照2021-08-18)
厚生労働省 e-ヘルスネット.「アネロビクス/無酸素性運動」(参照2021-08-18)
厚生労働省 e-ヘルスネット.「内臓脂肪減少の為の運動」(参照2021-08-20)
WHO.「WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour」.2020(参照2021-8-19)
・Habib Yarizadeh,Reza Eftekhar,,Javed Anjom-Shoae,John R Speakman, and Kurosh Djafarian,The Effect of Aerobic and Resistance Training and Combined Exercise Modalities on Subcutaneous Abdominal Fat: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Clinical Trials,Adv Nutr. 2021 Jan; 12(1): 179-196.
・Roger W.Earle,Thomas R.Baechle,NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識,森永製菓株式会社,2009,32-44.

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

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Takahiro Nagao

Takahiro Nagao

PHIピラティスインストラクター / 理学療法士

コンディショニング×ピラティススタジオSteadyGo代表
「マイナスからゼロへ、ゼロからプラスへ」をコンセプトに広島県東広島市でスタジオを経営

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Ryo Omura

医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
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