体づくりや筋肉トレーニングには高タンパク質な食事がよいと聞いたことがある方は多いかと思います。コンビニやスーパーの食品でも、高タンパク質をアピールするものが流行しています。今回の記事では、なぜタンパク質をとる必要があるのか、どれくらい摂取すればよいのか、太らないための注意点などタンパク質について気になるポイントを紹介します。
タンパク質の働き
タンパク質は三大栄養素のひとつである重要な栄養素で、人間の筋肉や肌、髪などはタンパク質でできています。そのため、タンパク質が不足してしまうと筋肉量が減ってしまったり、お肌や髪が荒れてしまう可能性があります。筋肉が重要なスポーツ選手や、トレーニング中の方は積極的に摂っていきたい栄養素です。また、内臓や神経に関わる大切なホルモンもタンパク質です。
タンパク質の1日平均必要量
体の組織は、合成と分解を繰り返して常に作り変わっていますので毎日タンパク質を摂取する必要があります。体を構成している栄養素なので体重によってタンパク質維持必要量は変動し、0.66g/kg現体重/日とされています。これは1歳以上のすべての年齢区分の男女に適用されています。
自分に合う1日のタンパク質摂取量は?
厚生労働省は、18歳以上の男性は1日60g、18歳以上の女性だと1日50gのタンパク質摂取を推奨しています。しかし、普段から過度な運動をしているなど活動量が多い場合、反対に運動不足で筋肉が衰えている場合はタンパク質が不足しやすい状況といえます。
推奨量だけではなく自分の運動量を考慮してタンパク質が不足しないようにすることが大切です。必要量は簡単な計算でおおよその数値を求めることができます。
★1日の必要タンパク質必要量(g) = 体重(kg) × 体重1kgあたりのタンパク質必要量(g)
必要量は運動量により変わるのでトレーニングを確認して、自分自身に合ったタンパク質必要量を計算しましょう。
≪運動時の体重1kgあたりのタンパク質必要量≫
運動量 | 体重1kgあたりのタンパク質必要量 |
活発に活動していない人 | 0.8g |
スポーツ愛好者 (週に4~5回、30分のトレーニング) | 0.8~1.1g |
筋力トレーニング(維持期) | 1.2~1.4g |
筋力トレーニング(増強期) | 1.6~1.7g |
持久性トレーニング | 1.2~1.4g |
レジスタンストレーニング | 1.2~1.7g |
(トレーニングを始めて間もない時期) | 1.5~1.7g |
(状態維持のためのトレーニング) | 1.0~1.2g |
断続的な高強度トレーニング | 1.4~1.7g |
ウエートトレーニング期間 | 1.4~1.8g |
※10代は10%多く摂取が見込まれる
理想のタンパク質摂取量を達成するために
それでは普段の食事でタンパク質が不足しないようにするにはどうすればよいのか、3つのポイントを紹介します。
タンパク質の多い食材を覚えよう
タンパク質が多い食材は以下の通りです。ひとつの食群に偏らないように、毎食の食事に複数取り入れるようにしましょう。
・肉類
(例)豚肉、牛肉、鶏肉、ウインナー、ハム
・魚介類
(例)いわし、イカ、魚肉ソーセージ、たらこ
・卵類
(例)鶏卵、うずら卵
・大豆製品
(例)納豆、豆腐、豆乳、厚揚げ
・乳製品
(例)牛乳、チーズ、ヨーグルト
プロテインの活用
普段からスポーツをしていたり、トレーニングで筋肉量を増やしている方、筋肉量が減ってしまっている高齢者の方には簡単にタンパク質が補給できるプロテインがおすすめです。
プロテインには、コンビニで気軽に買える飲料や、食べやすいバータイプ、自宅で飲み物に混ぜて飲みやすい粉末状プロテインなど様々な種類があります。プロテインには体内で合成ができない「必須アミノ酸」を含むものが多いのも魅力的です。
特に、BCAAと呼ばれるバリン・ロイシン・イソロイシンは筋肉の合成や修復に深くかかわっています。またプロテイン食品にはタンパク質だけではなくビタミン類や、カルシウムや鉄などのミネラルが配合されているものもあります。忙しくて食事からのタンパク質が不足しそうな日は自分に合ったプロテインをぜひ活用してみてください。
アプリで食事管理をしてみよう
タンパク質の摂取推奨量や、多く含まれている食品がわかっても実際はどれくらいのタンパク質が摂れているのかを把握するのは難しいと思います。そこでおすすめなのが食事管理アプリです。スマホ社会の現在では食事管理ができるアプリが多く出ています。
食事管理アプリは「あすけん」や「カロママ」など、無料でも利用できるものもあるので気軽に試すことができます。食べた食事内容をアプリに入力することで、その日摂取した栄養素を計算してくれます。タンパク質だけではなくカロリーも計算できるものもあるので、ダイエットにも活用できます。
また、アプリで記録することでバランスの良い食事ができているかどうか自分で見返すことができるのも嬉しいメリットです。
管理栄養士からのポイント
タンパク質には大きく分けて、植物性タンパク質と動物性タンパク質の2つに分類できます。植物性タンパク質は主に大豆製品に含まれていますが、他にはブロッコリ―などの野菜類やそばなどの穀類に含まれるタンパク質も植物性です。
一方の動物性タンパク質は、肉類や魚介類、乳製品、卵類のタンパク質です。タンパク質といえばお肉を連想しますが動物性タンパク質の食品は脂質やカロリーが比較的多いことがデメリットです。鶏肉は皮なしのものを選んだり、揚げ物ばかりにならないようにするなどしてカロリーオーバーにならないようにしましょう。
また、ハムやウインナーなどの加工食品に頼りすぎて塩分の摂りすぎにならないように注意する必要があります。しかし、動物性タンパク質にしか含まれていない重要なアミノ酸も多くあるので、タンパク質はひとつの食材や偏った食品群で補給するのではなく、植物性タンパク質と動物性タンパク質をバランスよくどちらも摂取するようにしましょう。
まとめ
タンパク質は私たちの体を構成する重要な栄養素のひとつで必要量は、体重によって変動します。18歳以上の1日の推奨量は女性で50mg、男性で60mgですが運動量によってより多くのタンパク質をとるとよいでしょう。
タンパク質は肉、魚だけではなく大豆製品や乳製品にも含まれているので色んな食材を食事に取り入れることが重要です。忙しくて食事からの補給が難しい場合はプロテイン食品もおすすめです。バランスのよい食事で毎食しっかりとタンパク質を摂るようにしましょう。
こちらの記事も読まれています
高タンパク質な食材
チョコラBBの選び方
有酸素運動と無酸素運動の違い
参考文献
・タンパク質とは?特徴や種類、体を作る働きについて
・あなたに必要なタンパク質量を食事からしっかり摂取するポイント
・2020年版日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
・日本人に必要なたんぱく質はどれくらい? │たんぱく質で健康な生活 │ミルクプロテインのチカラ!|株式会社 明治
・樋口満編著「新版コンディショニングのスポーツ栄養学」
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Mizuki Ochiai
一般皮膚科・美容皮膚科勤務6年目 / 医師事務作業補助者 / 医療事務
現役皮膚科スタッフとしてお肌のトラブルや食物アレルギーなどを中心に管理栄養士の視点からわかりやすく有益な情報を発信していきます!
Yuri Kido
大学で管理栄養士の資格を取り、現在は大学院にて肥満と糖尿病の研究をしています。医学と栄養の視点から健康をサポートしていきたいと思います。