近年は健康志向の方が増え、健康に関する情報や商品が数多く出されています。そのような中、注目されている『腸内フローラ』はご存知でしょうか。健康はもちろん、美容部門でも注目されているため皆さん聞いたことがあるかと思います。今回紹介する『ビオスリー』は腸内フローラに一役買うかもしれません。この記事では市販薬のビオスリーについて成分の特徴や効果を解説します。
ビオスリーとは
ビオスリーとは整腸剤であり、文字通り「腸を整える」薬です。整腸剤のイメージでは、ビオフェルミンSの方が聞いたことあるかもしれません。ビオフェルミンSと同様に、ビオスリーは薬局やドラッグストア、コンビニなどの店舗で販売されている「医薬部外品」であり、医師の処方せんなしで購入することが可能です。
ビオスリーの由来について
もしかすると、病院でも「ビオスリー」というお薬を服用した方はいるのではないでしょうか。
元々は東亜薬品工業が医療用医薬品として製造販売していましたが、薬局やドラッグストアにて購入できるよう市販薬『ビオスリーH』として発売するようになりました。名前の由来ですが、ビオは「生命の、生きた」を意味する接頭語で活性菌を表現し、スリーは活性菌が「3種含有」されていることから名づけられました。(1
現在でも医師が処方する『ビオスリー配合錠、ビオスリー配合OD錠、ビオスリー配合散』はあります。
ビオスリーに含まれる3種の活性菌
ビオスリーの名前の由来となった3種の活性菌は、『乳酸菌』『糖化菌』『酪酸菌』です。
それぞれ役割が異なるため確認してみましょう。
乳酸菌
乳酸を作る細菌の総称。取り込むことによって腸内を酸性環境にし有害菌(悪玉菌)が増えないようにします。このように有害菌の増殖を抑え腸内環境をよくする菌を善玉菌と呼びます。
糖化菌
糖化作用を持つ細菌の総称。善玉菌が増えるためには栄養(糖類、ミネラルなど)が必要となります。糖化菌は直接腸内環境をよくするのではなく、乳酸菌やビフィズス菌のような善玉菌の栄養源となり、善玉菌を増やすことによって腸内環境をよくしていきます。このように善玉菌を増やす手助けとなるものを「プレバイオティクス」と呼びます。(2
酪酸菌
酪酸を作る細菌の総称。乳酸菌と同じく腸内を酸性環境にし有害菌が増えないようにします。
乳酸菌や糖化菌との大きさ違いは酪酸菌が作り出す「酪酸」にあります。大腸は血管から送られるエネルギーよりも、腸管内の酪酸のエネルギーを使っていることがわかっています。(3 したがって、酪酸は「大腸を動かす主要なエネルギー源」であり、腸の蠕動運動を促進してくれます。ほかにも腸管粘膜の傷を治したり、免疫のバランスを調節したりといった役割もあります。
違いはわかりましたか?他にも腸内酸素濃度の違いにより糖化菌は小腸へ、酪酸菌は大腸へ、乳酸菌は両方へ棲みつくという点も異なります。この違いを利用し腸全体に良い影響を与えています。
3種の活性菌はそれぞれの仕事をするとともにお互いを支えあっていることがわかりますね。これがビオスリーの最大の特徴です。糖化菌は乳酸菌やビフィズス菌の増殖を促進し、乳酸菌は酪酸菌の増殖を促進することが確かめられています。
ビオスリーHとビオスリーHi錠について
ビオスリーには2種類の商品があります。違いを見ていきましょう。
ビオスリーH
- 粉末タイプの製品
- 1日3回 1回1包(3か月以上15歳未満:1回1/2包)
- 3か月の赤ちゃんから使える
- 味はほんのり甘い
ビオスリーHi錠
- 錠剤タイプの製品
- 1日3回 1回2錠(5歳以上15歳未満:1回1錠)
- 5歳未満には使用できない
2つの大きな違いは、粉末タイプのビオスリーHは3か月以上の赤ちゃんから使うことができます。ただ、1回1/2包にするのは親としては少し手間かもしれません。
どんなときに使うの?
では、ビオスリーはどのようなシーンで使用すれば良いのでしょうか?
以下の症状に該当するか見ていきましょう。
便秘のとき
便が硬い、コロコロ便が出る、力を入れないと出にくいなどでお悩みの方。
便秘とは「3日以上便が出ない状態、または毎日便が出ても残便感がある状態」のことをいいます。便が腸内に長い時間とどまり、水分が吸収されることによって、便が硬くなったり力を入れないと出なくなったりします。
軟便のとき
便が水っぽい、トイレの回数が増えた、すっきり感がないなどでお悩みの方。
軟便とは「水分量の多い便」のことを言います。便秘とは反対に腸の運動が活発になりすぎて水分の吸収が不十分になっている状態です。1日の便の回数が増えたり、キレが悪くすっきりしない感覚になったりします。
下痢や便秘を繰り返しているとき
便秘や軟便の症状を繰り返している、便秘と軟便が交互にくるなどでお悩みの方
繰り返したり交互にきたりするのも腸内環境の乱れが原因です。腸内環境を整えることで改善が見込まれます、しかし、長い期間続く場合は”過敏性腸症候群”の可能性もあるため医療機関への受診をお勧めします。
よくお腹が張るとき
お腹がポコポコする、おならがよく出るなどでお悩みの方
食べ過ぎやストレスなどで腸内環境が悪くなると、悪玉菌がガスをいつもより多く発生させます。また、便秘などで腸の動きが悪くなるとガスを出す力が低下します。その結果、ガスがたまりお腹が張ってしまいます。
これらの症状の共通点が「腸内環境」や「腸の動き」であることがわかります。ビオスリーに含まれる3つの菌のはたらきにより腸内環境を整えることで上記の症状の改善が期待されます。
使用上の注意
ビオスリーを飲みすぎるとかえって腸内環境が悪くなり下痢や便秘になることがあります。用法用量を守りましょう。
効果が出るとお腹が張ることがあります。便秘、下痢がひどい場合やなかなか治らない場合は身体の異常のサインの可能性も考えられます。その際は、医療機関への受診をご検討ください。
まずは1ヶ月!腸内環境を整えることから始めよう
腸内をより良い環境にするには、善玉菌>悪玉菌にする必要があります。しかし、ライフスタイルによって腸内環境は日々変化します。
悪玉菌は野菜の摂取不足や、アルコールやタバコ、日々の運動不足、睡眠が不規則などが原因で増加するため、腸内環境を意識しなければすぐに悪玉菌>善玉菌と逆転してしまいます。
継続した服用をしなければ効果が得られにくいといわれているため、まずは1ヶ月続けてみましょう。また、悪玉菌を増やす行動をなるべく避けるようにしてみましょう。
ヨーグルト、チーズ、納豆、ぬか漬けを毎日食べるのはなかなか大変ですので、これらの食品に加えて「補助」の目的でビオスリーを継続して服用することをお勧めします。
まとめ
多忙な現代の生活スタイルでは食事だけで良い腸内環境を作ることが難しいかもしれません。ビオスリーの3種の活性菌の合わせ技を身に着け、腸内環境を整えてみましょう。
参考文献
・ビオスリー 医薬品インタビューフォーム
・公益財団法人 腸内細菌学会/(旧)日本ビフィズス菌センター
・アリナミン製薬株式会社 からだ健康サイエンス
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Ryo Omura
医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
理念
・誰にでもわかりやすい医療ヘルスケア情報を発信
・医療職の働き方にも自由度を。リモートワーク環境の構築
メディアから医療を変える「デジタルチーム医療」を中心に活動。
スマートなメディア制作を心がけております。