2023年の秋、ロキソプロフェンを配合した風邪薬が新しく発売されたのをご存じでしょうか。ロキソプロフェン配合風邪薬はつらいのどの痛みや発熱に効くだけでなく、咳や鼻水などの症状までカバーできます。今回は薬剤師がロキソプロフェン配合風邪薬の効果や併用、飲み合わせの注意点を解説します。
ロキソプロフェン配合の風邪薬が新登場
ロキソプロフェンを配合した総合風邪薬が発売されました。
これまでの風邪薬は解熱鎮痛成分としてアセトアミノフェンやイブプロフェンが使用されています。アセトアミノフェンはのどの痛みの原因となる炎症を抑える効果が弱く、イブプロフェンはロキソプロフェンに比べて、薬が効くまでに時間がかかってしまう傾向があります。
そのため、ロキソプロフェンの有効成分ロキソプロフェンが風邪薬に配合されることで、ツライのどの痛みや発熱をともなう風邪症状に対して素早く対応できます。
また、ロキソプロフェンと風邪薬の併用を検討していた方にとっては、ロキソプロフェン配合の風邪薬は1つの薬で風邪のさまざまな症状に対応できるため魅力的な風邪薬となるでしょう。
ここではロキソプロフェン配合の風邪薬の例として『コルゲンコーワLX錠』を紹介します。
コルゲンコーワLX錠とは
コルゲンコーワLX錠は2023年10月に興和株式会社から発売された総合風邪薬です。商品の特徴をポイントを絞って紹介します。
ロキソプロフェンの有効成分ロキソプロフェンを配合
コルゲンコーワLX錠は解熱鎮痛成分にロキソプロフェンナトリウムを配合した総合風邪薬です。有効成分のロキソプロフェンはロキソプロフェンに配合されている成分で、ロキソプロフェンを配合した風邪薬は日本初になります。
ロキソプロフェンには解熱・鎮痛・抗炎症作用があるため、ツライ発熱やのどの痛みに対して優れた効果が期待できます。
鼻や咳症状にも対応可能
コルゲンコーワLX錠は解熱鎮痛成分ロキソプロフェンに加え、咳を抑えるジヒドロコデインやdl-メチルエフェドリン、鼻水・鼻づまりを抑えるd-クロルフェニラミンなどを配合しているためツライ鼻や咳症状にも対応できます。
成分 | 働き |
ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 痛みを抑え、熱を下げます |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 咳を鎮めます |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 咳を鎮めます |
グアイフェネシン | たんを出しやすくします |
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 鼻水・鼻づまりなどの症状を抑えます |
無水カフェイン | 頭痛を鎮めます |
コルゲンコーワLX錠の配合成分とその作用
薬剤師がいないと購入できない
コルゲンコーワLX錠は要指導医薬品であるため、薬剤師がいるお店でなければ購入することができません。また、インターネットや通販では購入できないため、注意しましょう。
(2023年12月時点)
また購入する際には、薬剤師からの説明を受ける必要があるため、事前に近くのドラッグストアや薬局に薬剤師がいるか確認しておくとよいでしょう。
ロキソプロフェンと風邪薬の併用や飲み合わせに注意をしよう
ツライのどの痛みや発熱があるときに、すこしでも症状が楽になればとロキソプロフェンと風邪薬の併用を検討したことがある方もいるのではないでしょうか。
しかし残念ながらロキソプロフェンと風邪薬は併用できません。
ロキソプロフェンに配合されているロキソプロフェンはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる解熱鎮痛成分の1つです。
一方、市販されている総合風邪薬にもイブプロフェン(NSAIDs)やアセトアミノフェンといった解熱鎮痛成分が配合されています。
つまりロキソプロフェンと風邪薬を併用してしまうことで、解熱鎮痛成分が重複してしまい、胃障害などの思わぬ副作用を引き起こしてしまう可能性があります。
もしロキソプロフェン服用後に、咳や鼻水も出てきたから風邪薬を服用したいときは4時間以上時間を空けてから風邪薬だけを服用するようにしましょう。
風邪薬を服用後に、のどの痛みや発熱だけ残ったからロキソプロフェンを服用したいときは、風邪薬の1日の服用回数を確認してみましょう。
1日3回の風邪薬であれば4時間以上、1日2回の風邪薬であれば6〜8時間以上空けてからロキソプロフェンだけを服用するようにしましょう。
ロキソプロフェンと風邪薬、どう選べばいい?
ここではロキソプロフェンと風邪薬の選び方について紹介します。
頭痛、発熱、のどの痛み、関節痛ならロキソプロフェン
ロキソプロフェンは解熱鎮痛剤であるため、カバーできる症状が発熱や痛みに限定されます。
つまり風邪の症状が頭痛、発熱、のどの痛み、関節痛に限られる方にはロキソプロフェンの服用が向いています。
鼻症状や咳症状もあるなら風邪薬
市販の総合風邪薬には解熱鎮痛成分に加え、咳止め成分や鼻水成分も配合されています。
つまり頭痛、発熱、のどの痛み、関節痛以外にも咳、たん、鼻水、鼻づまり、くしゃみといった咳症状や鼻症状もカバーしたい方には総合風邪薬の服用が向いています。
鼻症状や咳症状にツライのどの痛みや発熱があるならロキソプロフェン配合風邪薬
ロキソプロフェンは従来の風邪薬に配合されている解熱鎮痛成分よりも素早い解熱・抗炎症作用が期待できるため、ツライのどの痛みや発熱に加え、鼻症状や咳症状も素早くカバーしたい方にロキソプロフェン配合風邪薬は向いているでしょう。
まとめ
今回ご紹介したロキソプロフェン配合風邪薬はロキソプロフェンの有効成分ロキソプロフェンを配合した総合風邪薬です。
ロキソプロフェンが配合されたことで、従来の風邪薬に配合されている解熱鎮痛成分よりも素早い解熱・抗炎症作用が期待でき、ツライのどの痛みや発熱があるさまざま風邪症状を1つでカバーできます。
ご自身の症状に合わせて、服用するお薬を検討してみましょう。
参考文献
コルゲンコーワLX錠/コーワ健康情報サイト/KOWA
内服剤の正しい飲み方/上手なセルフメディケーション/OTC医薬品協会
解熱鎮痛薬の種類や選び方、使い方のポイント/くすりと健康の情報局
アセトアミノフェン錠200・300mg「JG」/添付文書
イブプロフェン錠100・200mg「タイヨー」/添付文書
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。