使いすぎ注意!市販の点鼻薬で鼻詰まり?薬剤性鼻炎と成分を紹介

点鼻薬は使い過ぎない方がよいということを耳にしたことはありますか。点鼻薬に配合されている成分によっては薬剤性鼻炎を引き起こし、鼻症状を悪化させてしまう可能性があります。この記事では薬剤性鼻炎と成分について解説します。

薬剤師からのポイント

キーポイント

2週間を目安に使おう

市販薬のほとんどに長期間使用しないという注意書きが書かれているのをご存知でしょうか。成分毎に使用期間の目安は異なりますが、点鼻薬における使用期間の目安は2週間程度に設定されています。

決められた用法用量で使うように

すべての医薬品には用法用量が定められています。用法用量はそれぞれのお薬を効果的にかつ安全に使用するために定められています。定められた用法用量を守り適切に使用してください。

薬剤性鼻炎は治療が必要

薬剤性鼻炎は病院での治療が必要になることもあります。点鼻薬の成分によって引き起こされる薬剤性鼻炎では原因となる成分の使用を中止することが一番の解決策ですが、原因となる成分の使用を中止できない場合には対処療法が必要な場合があります。

点鼻薬の使いすぎによる副作用

点鼻薬の使いすぎは良くないということを耳にしたことはありますか。これは点鼻薬の使いすぎによって、薬剤性鼻炎という副作用が引き起こされる可能性があるためです。点鼻薬の添付文書には『長期連用しないこと』という文言が記載されています。では薬剤性鼻炎とはどのようなものなのでしょうか。

薬剤性鼻炎とは

薬剤性鼻炎とは薬剤の使用によって引き起こされる鼻閉 (鼻詰まり) で鼻漏 (鼻水)、後鼻漏、くしゃみを伴わないものを指します。なぜ薬剤性鼻炎が起こるのかについては完全には明らかになっていませんが、点鼻薬や降圧薬、経口避妊薬などの使用によって引き起こされることが報告されています。

特に点鼻薬は市販薬としても入手可能なため、繰り返しの使用や長期連用につながりやすく注意が必要です。

どの成分でも薬剤性鼻炎は起こる?

上で述べたとおり薬剤性鼻炎は特に点鼻薬の使用において注意が必要です。

点鼻薬の成分には、ステロイド成分、抗アレルギー成分、血管収縮成分などがあります。

すべての成分で薬剤性鼻炎が引き起こされるわけではなく、点鼻薬によって引き起こされる薬剤性鼻炎において特に注意が必要な成分は血管収縮成分です。市販の点鼻薬に使用される代表的な血管収縮成分に『ナファゾリン塩酸塩』があります。

成分ごとに正しい使い方をしよう

お薬によって用法用量は異なります。ステロイド成分は一定期間の使用で効果を発揮する成分である一方、抗アレルギー成分や血管収縮成分は一時的に効果を発揮する成分です。

下記にそれぞれの成分における代表的な市販薬の用法用量を記載しましたので参考にしてください。

ステロイド成分

商品名:フルナーゼ

効能:花粉による季節性アレルギーの次のような症状の緩和:鼻詰まり、鼻水、くしゃみ

注意事項:1年間に3ヵ月を超えて使用しないでください

用法用量:

年齢1回使用量1日使用回数
15歳から左右の鼻腔内にそれぞれ1噴霧づつ2回 (朝・夕)
14歳まで使用しないこと使用しないこと

抗アレルギー成分

商品名:ロートアルガード®ST鼻炎スプレー

効能:花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻みず(鼻汁過多)、鼻詰まり、くしゃみ、頭重(頭が重い)

注意事項:長期連用しないでください

用法用量:

年齢1回使用量1日使用回数
7歳から左右の鼻腔内にそれぞれ1噴霧づつ3-5 回 (3時間以上空ける)
6歳まで使用しないこと使用しないこと

血管収縮成分

商品名:ナザール®「スプレー」

効能:アレルギー性鼻炎、急性鼻炎または副鼻腔炎による次の諸症状の緩和:鼻詰まり、鼻水(鼻汁過多)、くしゃみ、頭重

注意事項:長期連用しないでください

用法用量:

年齢1回使用量1日使用回数
7歳から左右の鼻腔内にそれぞれ1-2噴霧づつ1-6 回 (3時間以上空ける)
6歳まで使用しないこと使用しないこと

使いすぎないための対処方法

薬を使うと症状がスッとなくなり、ツライ症状から解放されるため、どうしても連用していませんか?特に血管収縮成分を含む商品はなおさら使用しているかもしれません。使用することに問題はありませんが、なるべく使いすぎないためにも日常生活の中でできる対策はしておきましょう。

日常生活での工夫

加湿

鼻水や鼻づまりが続く場合は加湿器などを使用し部屋の湿度を一定に保ち、乾燥させないようにしましょう。

花粉がアレルゲンの場合

花粉の飛散情報をチェックし、マスクや花粉用メガネなどを使用して外出するよう心がけましょう。また、花粉を家に持ち込まないようにすることも対策のひとつです。

ハウスダストがアレルゲンの場合

ハウスダスト対策はこまめな掃除が重要です。布団に潜むダニもアレルゲンの原因となる場合がありますので、布団乾燥機や掃除機を使用し原因を取り除いてみましょう。

飲み薬との併用も可能

点鼻薬や目薬などは局所的な効果を期待する商品です。一方で飲み薬の抗アレルギー薬は鼻水や鼻づまり、くしゃみなどさまざまな抗アレルギー症状の緩和が期待できます。もし、点鼻薬の使用回数が多くなる場合は飲み薬の併用も検討してみましょう。

まとめ

今回は薬剤性鼻炎について詳しく解説しました。

点鼻薬だけでなく、お薬の用法用量を守って適切に使用することはとても大切です。

この記事がお薬の適正使用に貢献できれば幸いです。

参考資料
フルナーゼ説明文書  
ロートアルガードST鼻炎スプレー説明文書  
ナザールスプレー説明文書 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Nobuhiro Nagao

病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。

一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。

Author profile

Yosuke Fukuoka

薬剤師

【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。

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