季節も冬に近づき、ドラッグストアには『乾燥対策』の商品がずらりと並びはじめました。保湿クリームの商品の1つに『フェルゼア』クリームがありますが、種類も多く「同じフェルゼアなのに何が違うの?」「正直よくわからないから、パッケージで効きそうなのを・・」こういった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
今回は目的に合わせて、使い分けができる「フェルゼアHA20とフェルゼアクリームMの違い」について、共通点や相違点をまとめて解説します。
フェルゼアとは?
フェルゼアは「今日を愛するLION」のCMでおなじみの、ライオン株式会社から販売されている皮膚用一般医薬品です。もともとは資生堂の子会社である資生堂薬品が販売していましたが、2019年にライオン株式会社への譲渡契約が締結され現在はライオン株式会社から販売されています。
商品に配合されている尿素が、角質層水分保持作用や角質軟化作用によって肌のうるおいとなめらかさを保つ働きが特徴です。また『抗炎症』成分や『血行促進』成分が配合されているので、手足の『あれ』に対してもケアができる商品です。
クリームタイプとローションタイプがある
フェルゼアにはクリームタイプとローションタイプがあります。クリームタイプには尿素20%配合のフェルゼアHA20と尿素10%配合のフェルゼアクリームMの2種類があります。一方ローションタイプは尿素20%配合のフェルゼアDX20ローションの1種類があります。今回はフェルゼアHA20とフェルゼアクリームMの違いについて解説します。
どんな症状に使えるの?
フェルゼアHA20の効果
フェルゼアHA20は手指のあれ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、老人の乾皮症、さめ肌に効果があります。角化症やさめ肌はなじみが少ない言葉なので以下で解説します。
角化症
角化症は皮膚の角質層(皮膚の一番外側の部分)が『厚くなる』『かたくなる』病気のことです。多くの病気の中でも皮膚が硬くなる病気の総称として角化症と呼びます。原因は遺伝的なものと外部の刺激によるものに大きく別れます。特に女性がイメージしやすいのが『かかと』の角化症です。かかとがカチカチに厚く、硬くなり、夏などの露出が多い時期に相談が増えることが多いです。
さめ肌
さめ肌は皮膚の毛穴に『ブツブツ』とした発疹ができる疾患で主に二の腕にできるのが特徴です。正式には毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)と呼ばれ、発疹は触ると『ザラザラ』とした感触ですが、痛みなどの自覚症状を伴うことはありません。二の腕以外にも太もも、肩、背中、おしりにできることもあります。
フェルゼアクリームMの効果
フェルゼアクリームMは手足のかさつき・あれを緩和する働きがあります。
フェルゼアHA20とフェルゼアクリームMの共通点は?
尿素配合
フェルゼアHA20とフェルゼアクリームMには共に「尿素」が配合されています。尿素の働きには角質層水分保持作用と角質軟化作用があります。
サポート成分は同じ濃度で配合
フェルゼアHA20とフェルゼアクリームMには共にサポート成分としてグリチルリチン酸二カリウムが0.5%、ビタミンEが0.5%と共に同じ濃度で配合されています。グリチルリチン酸二カリウムは抗炎症作用により、お肌の荒れの元になる『炎症反応』を抑えます。またビタミンE誘導体は血行促進作用により、皮膚の生まれ変わりを助けます。
無香料
フェルゼアHA20とフェルゼアクリームMには共に無香料の商品です。そのためシーンを選ばず、香りが苦手な方もお使いいただけます。
フェルゼアHA20とフェルゼアクリームMの違いは?
尿素の配合濃度
フェルゼアHA20には尿素が『20%』フェルゼアクリームMには尿素が『10%』配合されています。尿素の%濃度の違いは『角質軟化作用』に影響します。
尿素濃度が高いほど角質を柔らかくする働きは高くなるので、フェルゼアHA20の方がフェルゼアクリームMに比べ、硬く厚くガサついた皮膚を、やわらかくなめらかにすることができます。
使用年齢
フェルゼアHA20は15歳以上の使用になります。
フェルゼアクリームMは生後1ヶ月から使用できます。
※メーカー確認済み(2020/10)
ただし、乳幼児は皮膚が未発達の場合もあり、刺激を感じやすいので保護者の指導・監督の元でご使用ください。
容量
フェルゼアHA20には容量が80gと160gの2種類あります。
フェルゼアクリームMは容量が80gの1種類のみになります。
フェルゼアHA20とフェルゼアクリームMの使い分けは?
フェルゼアHA20は『ひじ・ひざ・かかと』など皮膚が硬く厚い場所に向く
フェルゼアHA20には尿素が20%配合されています。そのため、皮膚が硬く厚くなりやすい『ひじ・ひざ・かかと・くるぶし』をやわらかく、なめらかに保ちたい方に適しています。
フェルゼアクリームMは『手・腕・スネ・背中』など広範囲の保湿に向く
フェルゼアクリームMには尿素が10%配合されています。そのため、皮膚をやわらかくする必要はなく、『手・腕・スネ・背中』など広範囲を保湿したい方に適しています。
薬剤師からのポイント
目的や使用部位で使い分けよう!
皮膚をやわらかくなめらかに保ちたい方はフェルゼアHA20が適してします。特に皮膚をやわらかくする必要はなく広範囲の保湿をしたい方はフェルゼアクリームMが適してします。また皮膚が硬く厚くなった部位に使用する場合はフェルゼアHA20が適してします。
顔への使用は控えよう
尿素は人によって、お肌の刺激感(ピリピリ感、ヒリヒリ感など)を感じる方もいらっしゃいます。また顔は他の部位に比べ、皮膚が薄く、刺激を感じやすい為、顔への使用は控えましょう。
敏感肌の方は注意が必要
尿素の刺激性により、しみたり、症状が悪化する可能性があるので敏感肌やアトピー肌、きず、あかぎれなどには使用しないようにしましょう。
さいごに
フェルゼアHA20とフェルゼアクリームMを選ぶ際、目的や使用部位をはっきりさせることで、あなたのお悩みに合った商品を選ぶことができます。ただし、尿素配合商品は人によって刺激感(ピリピリ感)を感じる場合もあるので、その時は使用を中止して医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。
参考資料
・フェルゼアHAクリーム20/皮膚薬/ライオン株式会社
・フェルゼアクリームM/皮膚薬/ライオン株式会社
・角化症の原因・症状を解説/ロート製薬:商品情報サイト
・毛孔性苔癬の原因・症状を解説/ロート製薬:商品情報サイト
・二プロ(「尿素」って何?)
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。