「最近、便秘が続いていてお腹が苦しい…」
「スッキリしない感じが続いて困っている…」
そんな便秘の悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。便秘は、放っておくと生活の質を低下させるだけでなく、体調不良の原因にもなります。
今回は、便秘の原因とその解消法としての便秘薬について詳しくお話しします。便秘薬の種類や効果的な使い方を理解して、スムーズな排便を取り戻しましょう。
便秘の原因と症状
便秘は、便が通常よりも長く腸内に滞在することで、水分が吸収されて硬くなり、排便が困難になる状態を指します。便秘の主な原因と症状については以下の通りです。
便秘の主な原因
- 食物繊維の不足:食物繊維は便を柔らかくし、腸の動きを助ける重要な成分です。食物繊維が不足すると、便が硬くなり便秘を引き起こします。
- 水分不足:体内の水分が不足すると、便が硬くなり、排便が困難になります。
- 運動不足:運動は腸の動きを促進します。運動不足により腸の働きが低下し、便秘が起こりやすくなります。
- ストレス:ストレスは自律神経に影響を与え、腸の働きを乱すことがあります。その結果、便秘が引き起こされることがあります。
- 不規則な生活習慣:不規則な食事や睡眠、長時間の座位などが便秘の原因となることがあります。
便秘の主な症状
- 排便回数の減少:通常よりも排便回数が減り、3日以上排便がない状態が続くことがあります。
- 硬い便:便が硬くなり、排便時に痛みを伴うことがあります。
- 腹部の不快感:腹部が張った感じや、重い感じが続くことがあります。
- 食欲不振:便秘が原因で、食欲が低下することがあります。
便秘薬の種類と特徴
便秘薬にはさまざまな種類があり、それぞれ作用の仕方が異なります。自分の症状に合った便秘薬を選ぶことが大切です。
刺激性下剤
刺激性下剤は、腸の粘膜を刺激して腸の動きを活発にする薬です。即効性があり、短期間で効果が現れるため、急な便秘に対処する際に有効です。
ただし、長期間使用すると腸が薬に慣れてしまい、効果が薄れることがあるため、使用には注意が必要です。
浸透圧性下剤
浸透圧性下剤は、腸内に水分を引き込むことで便を柔らかくし、排便を促す薬です。比較的緩やかに作用し、習慣性が少ないため、慢性的な便秘に使用されることが多いです。
副作用が少ない点が特徴ですが、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。
便軟化剤
便軟化剤は、便に水分を与えて柔らかくする薬で、腸の動きを刺激せずに排便を促します。
特に妊娠中や産後の女性、高齢者など、腸に負担をかけたくない場合に使用されることが多いです。作用が緩やかで、副作用が少ないため、安心して使用できます。
漢方薬
漢方薬は、体質改善を目的とした薬で、便秘の原因に合わせた処方が行われます。例えば、大黄甘草湯や防風通聖散などが便秘に効果的です。
漢方薬は自然成分を含むため、副作用が少なく、体に優しい点が特徴です。
便秘薬の効果的な使い方
便秘薬を使用する際は、正しい使い方を守ることが重要です。
以下のポイントに注意して、便秘薬を効果的に使用しましょう。
使用量を守る
便秘薬は、使用量を守って正しく使用することが大切です。過剰に使用すると、体に負担をかけたり、逆に便秘が悪化することがあります。
使用前に必ず添付の説明書を読み、使用量を確認しましょう。
適切なタイミングで使用する
便秘薬を使用するタイミングも重要です。刺激性下剤の場合は、就寝前に服用することで、翌朝に効果が現れることが多いです。
一方、浸透圧性下剤や便軟化剤は、時間をかけて効果が現れるため、症状が続く場合に使用します。
長期間の使用は避ける
便秘薬は一時的な症状改善に使用するものであり、長期間の使用は避けるべきです。特に刺激性下剤は長期間使用すると、腸が薬に依存してしまい、自力で排便ができなくなる可能性があります。
薬剤師に相談する
便秘薬を使用する際に不安がある場合や、初めて使用する場合は、薬剤師に相談することをおすすめします。薬剤師は、症状に合わせた便秘薬の選び方や使用方法についてアドバイスをしてくれます。
主な市販の便秘薬
ここでは各種類ごとに実際に市販されている商品を紹介します。
浸透圧性下剤
酸化マグネシウムE便秘薬
健栄製薬が販売する浸透圧性下剤で、有効成分に酸化マグネシウムを配合しています。
酸化マグネシウムが腸の水分を集めることで、便を柔らかくし、自然なお通じを促します。
浸透圧性下剤は繰り返し使用してもクセになりにくく、腹痛などの副作用も少ないため、
便秘薬を初めて使用する方に適した成分です。
錠剤はほのかなレモン風味で飲みやすくなっています。
刺激性下剤
スルーラックS
エスエス製薬が販売する刺激性下剤で、有効成分ビサコジルとセンノサイドカルシウム2種類の刺激性成分を配合しています。
腸を刺激することで、ぜん動運動を活発にし、排便を促します。1回量は1〜3錠と、便秘の状態に合わせて使用することができます。ただし初めて服用する際は1回1錠から服用しましょう。
頑固な便秘にお悩みの方やしっかり効く便秘薬をお探しの方に適した商品です。
便軟化剤
コーラックファースト
大正製薬が販売する便軟化剤を配合した商品で、有効成分に便軟化剤のジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)と刺激性下剤であるビサコジルを配合しています。
DSSが界面活性作用により、便の表面張力を低下させ、硬くなった便を柔らかくすることで、便秘を改善します。11歳から服用でき、1回1〜4錠(15歳以上)と便秘の状態に合わせて使用することができます。
漢方薬
大地の漢方便秘薬
アリナミン製薬が販売する漢方薬で、有効成分に大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)を配合しています。
生薬成分のダイオウとカンゾウが大腸をしっかり動かすことで、便をスムーズに運び出します。
軽い便秘(2〜3日便通がない時)の場合は1回1〜3錠、頑固な便秘(4日以上便通がない時)は2〜4錠と便秘の状態に合わせて使用することができます。
自然に近いお通じをお求めの方や、便秘薬を初めて使用する方に適した商品です。
便秘を予防する生活習慣
便秘を予防するためには、便秘薬の使用だけでなく、日常生活の見直しも重要です。以下のポイントを押さえて、便秘を予防しましょう。
食事の見直し
便秘を予防するためには、食物繊維を多く含む食事を心がけましょう。野菜や果物、わかめ・こんぶなどの海藻類などを積極的に摂取し、水分もしっかりと補給することが大切です。
定期的な運動
適度な運動は腸の動きを活発にし、便秘を予防します。ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど、日常生活に取り入れやすい運動を習慣化しましょう。
規則正しい生活
規則正しい生活習慣を維持することも、便秘予防に効果的です。毎日決まった時間に食事を摂り、十分な睡眠を取ることが重要です。
まとめ
便秘は、放置しておくと生活の質を低下させるだけでなく、健康にも悪影響を及ぼすことがあります。便秘薬の種類や効果的な使用方法を理解し、正しく使用することで、スムーズな排便をサポートしましょう。
また、生活習慣を見直し、食事や運動を通じて便秘を予防することも大切です。便秘薬を使用する際には、必ず薬剤師に相談し、正しい使用方法を守ることが重要です。
便秘の悩みを解消して、快適な生活を取り戻しましょう。
参考資料
便秘の対策|くすりと健康の情報局
便秘が引き起こす症状
スルーラックS 製品情報|エスエス製薬
コーラックファースト
製品情報 | 酸化マグネシウムE便秘薬|健栄製薬
製品情報 | 大地の漢方便秘薬 | アリナミン製薬株式会社
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。