めまいに効く市販の漢方薬の効果と使い方

起床時や立ち上がったときに『クラクラ』とふとしたときにめまいを感じたことありませんか?めまいは病院での治療が一般的ですが、症状や原因によっては市販薬での対応も可能です。市販でもツムラやクラシエなどからめまいを改善する漢方薬が販売されています。この記事ではめまいを改善する市販の漢方薬の特徴や選び方を薬剤師が紹介します。

めまいとは?原因と症状について

めまいといっても人によって症状はさまざまです。ここではめまいの症状や考えられる原因を説明します。

症状

めまいには以下のようなさまざまな症状があります。

・自分や周囲がグルグルと回る
・フワフワする感じ
・気が遠くなりそうな感じ
・目の前が急に暗くなる
・物が二重に見える
・不安感
・動悸
・吐き気

また、めまいは回転性と非回転性で分けることもできます。回転性のめまいは、周囲がぐるぐると回っているように感じ、立っていることが難しく、強い頭痛や吐き気をともなうことがあります。一方、非回転性のめまいは、立ち上がるときにめまいが発生し、地に足がつかずふふわふわ・ゆらゆら揺れているように感じるのが特徴です。

原因

めまいには大きく3つの原因が関係しています。1つ目は内耳(耳)が原因で、めまいの原因の60%以上ともいわれています。2つ目は脳の病気が原因で、特徴として意識障害や言語障害などの症状もみられます。3つ目は熱中症や貧血、ストレスなど他の病気が原因でめまいが起こる場合です。

めまいが考えられる疾患

めまいが考えられる疾患を、原因ごとに以下の表にまとめました。

原因考えられる疾患
耳(内耳)・メニエール病・良性発作性頭位めまい症
・脳梗塞・脳腫瘍・脳出血・くも膜下出血
その他・高血圧症・脱水症・不整脈・起立性低血圧・熱中症・低血糖・貧血・睡眠不足・過労・ストレスなど

漢方薬によるめまいの改善方法

漢方薬では人の体は『気』『血』『水』の3つの要素で構成されていると考えられています。気は身体のエネルギーのことで元気や気力のことをさします。気は体を温めたり、代謝の力を生みます。血はいわゆる血液のことで身体の栄養となります。水は血液以外の液体のことで、身体に潤いを与えたり潤滑油のようなはたらきをします。

ストレスなどによって起こる気の高ぶりは強いめまいを引き起こし、気血が不足するとふらつくようなめまいが起こります。また水が身体にとどまり、めぐりが悪くなることで、回転性のめまいにつながります。このように気血水のバランスがくずれるとめまいを引き起こしてしまうため、めまいを改善する漢方薬は症状や体質に合わせて選ぶことが大切です。

効果的な漢方薬の選び方

めまいには大きく3つのタイプがあります。『ストレスめまい』『水たまり・ぐるぐるめまい』『疲れ・ふらふらめまい』のそれぞれのタイプに合った漢方薬を紹介します。

『ストレスめまい』タイプ

緊張や過労、ストレスが多い方はエネルギーである気の流れが悪くなり、めまいを引き起こしてしまいます。このようなストレスめまいタイプには気をめぐらせ、頭部に上がった熱を冷ます漢方薬の『釣藤散』を選ぶとよいでしょう。

『水たまり・ぐるぐるめまい』タイプ

冷え症や水分の摂りすぎ、胃腸が弱いなどで水分代謝が低下してしまうとめまいが引き起こされることがあります。このような水たまり・ぐるぐるめまいタイプには水のめぐりを良くし、胃腸の調子を整える漢方薬の『苓桂朮甘湯』や『五苓散』を選ぶとよいでしょう。

『疲れ・ふらふらめまい』タイプ

睡眠不足や疲れ、月経トラブル、産後、加齢などによってエネルギーである気と栄養である血が不足することでめまいが起こることがあります。このような疲れ・ふらふらめまいタイプには気と血を補充する漢方薬『当帰芍薬散』を選ぶとよいでしょう。

市販にはツムラやクラシエなどのメーカーがある

市販の漢方薬はツムラをはじめクラシエ薬品、小林製薬、ロート製薬などさまざまなメーカーから販売されています。ツムラやクラシエ薬品は医療用の漢方薬も販売しており、小林製薬やロート製薬は市販薬を販売している漢方薬の多くを手がけているメーカーです。

めまいに効く市販の漢方薬と効果を紹介

ここでは先ほど紹介したタイプ別の漢方薬を詳しく紹介します。ご自身の症状や体質に合った漢方薬を選んでみましょう。

ツムラ漢方釣藤散エキス顆粒

ツムラが販売するめまいを改善する漢方薬で、イライラしやすい、血圧が高め、肩こりがある方に向いている漢方薬です。

日頃のストレスが多い方や怒りっぽい方は身体に必要な潤いが不足しているため、熱がこもりやすく、そのせいでめまいが起こることがあります。ツムラ漢方釣藤散エキス顆粒は神経の高ぶりを抑え、身体にこもった熱を冷ますことでめまいを改善します。

苓桂朮甘湯

クラシエが販売するめまいを改善する漢方薬で、グルグルとする回転性のめまい、食欲不振、軟便、からだが重だるい、動悸などの症状がある方に向いている漢方薬です。

水分のめぐりが悪くなり、身体の上部で水が滞ってしまうことで、エネルギーのめぐりが悪くなりめまいを引き起こすことがあります。

苓桂朮甘湯は胃腸の機能を高め、上半身の余分な水分を取り除く働きがあります。頭痛や耳鳴りの症状にも効果があります。

五苓散

クラシエが販売するめまいを改善する漢方薬で、身体の余分な水分を取り除く働きがあります。また身体のむくみ、頭痛、吐き気、下痢などにも効果がある漢方薬です。

五苓散は余分な水分を外に出す働きがあるため、お酒の飲み過ぎで顔や身体がむくんでしまったときやお酒の飲み過ぎによる頭痛や下痢、吐き気に効果的な漢方薬です。

ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒

ツムラが販売するめまいを改善する漢方薬で、全身に栄養を与えて、血行を良くし、水分代謝を整える働きがあります。身体が冷えやすい、疲れやすい、貧血ぎみの方に向いている漢方薬です。めまいをはじめ、耳鳴りや立ちくらみにも効果があります。

漢方薬の使い方と注意点

漢方薬は基本的に食前に服用するものがほとんどです。食事の30分〜1時間前に水または白湯で服用するようにしましょう。漢方薬独特の香りや苦味がどうしても気になる方は、服薬ゼリーを活用してみるのもよいでしょう。ただし、漢方薬のなかには香りや苦味によって胃腸の働きを整える生薬もあるため、我慢できる程度であれば水または白湯でそのまま服用するのがよいでしょう。

まとめ

めまいを改善する漢方薬は市販でも販売されているので、症状や体質に合わせて選んでみましょう。ただし、めまいにはすぐに病院での治療が必要なときもあります。めまいだけでなく、激しい頭痛、ろれつが回らない、手足が動かない、しびれ、意識障害などの症状がある場合は、すぐに病院を受診するようにしましょう。

参考資料

めまいとは/(症状編)めまい/神経内科の主な病気/日本神経学会
https://www.neurology-jp.org/public/disease/memai_detail.html 

めまい/耳鼻咽喉科・頭頸部外科
https://www.jibika.or.jp/owned/contents2.html 

頭痛・めまいに効果的な漢方の選び方/症状から探す/クラシエの漢方オンラインショップ
https://kamposhop.kracie.co.jp/shop/r/r2027_sspd/ 

漢方薬の正しい飲み方・飲みやすくするひと工夫は?注意点・保管方法も解説
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/about-kampo/drink.html 

ツムラ漢方釣藤散エキス顆粒(ちょうとうさん):一般漢方製剤・一般用医薬品
https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/032/index.html 

【漢方解説】釣藤散(ちょうとうさん)/漢方セラピー/クラシエ
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/tyotosan.html 

【漢方解説】めまい、たちくらみに苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)/漢方セラピー/クラシエ
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/ryokeijutukanto.html 

【漢方解説】五苓散(ごれいさん)/漢方セラピー/クラシエ
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/goreisan.html 

ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒(とうきしゃくやくさん):一般漢方製剤・一般用医薬品
https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/035/index.html 

【漢方解説】当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)/漢方セラピー/クラシエ
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/tokishakuyakusan.html 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Yosuke Fukuoka

薬剤師

【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。

Author profile

Nobuhiro Nagao

薬剤師

病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。

一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。

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