「オロナインH軟膏」の効果とは。すり傷やニキビケアに使える成分の特徴を解説

かゆみや炎症などの肌トラブルに対して長く使われている「オロナインH軟膏」。30代以上の方なら肌トラブルが生じると「オロナインを塗っておきなさい」と言われた経験があると思います。

そんなオロナインですが本当にどんな症状でも使えるのでしょうか。今回はオロナインの成分の特徴や適応、塗る際のポイントなどについて解説します。

オロナインH軟膏とは

オロナインH軟膏は消毒薬であるクロルヘキシジングルコン酸塩有効成分とする塗り薬です。様々な皮膚トラブルに効果を示すため、ご家庭に1本あれば非常に役に立つ薬ではないでしょうか。


オロナイン軟膏はアメリカのオロナイトケミカル社が開発した殺菌用消毒剤を使って、当時ヒットしていた軟膏タイプの大衆薬として発売されました。

現在はオロナインH軟膏という名称ですが、これは主剤の違いによるものです。「H」は消毒薬である『ヘキシジン』の頭文字が由来となっています。

オロナインH軟膏の効能・効果

ひび、あかぎれ、しもやけ

ひびあかぎれ手足の皮膚がぱっくりと割れ、つらい痛みに悩まされる肌トラブルの一つです。特に冬場に多くみられ、気温や湿度の低下に伴う皮膚の乾燥が主な原因となって起こります。

一方、しもやけ寒さや冷えなどからくる血行不良が原因で起こる炎症のことです。特に手足の指や耳など体の末梢部分が赤紫色に腫れ、ひどくなると水ぶくれができたり、破れて潰瘍ができることもあります。

オロナインH軟膏には殺菌成分だけでなく添加物としてワセリンなどの保湿成分も含まれているため、ひびやあかぎれ、しもやけに使用することができます。水仕事のあとやお風呂上がり、寝る前によくすりこんでください。

切り傷、擦り傷

オロナインH軟膏は傷口を消毒し、化膿を防ぐ効果を持っています。切り傷や擦り傷に患部を清潔にして塗ってください。また家庭で使用するだけでなく、外出や旅行のときの怪我にも使用できるチューブタイプの容器もあります。

ただし、傷が広範囲に及ぶ場合や深い傷、じゅくじゅくした傷には使用を控え、お近くの医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。

にきび

にきびは皮脂分泌の増加、毛穴のつまり、アクネ菌の増殖など様々な原因が関係しています。にきび治療には脱脂効果のある石けんでよく洗顔し清潔さを保ちましょう。オロナインH軟膏を使用する場合、少量を軽くすりこんでください。オロナインH軟膏は症状の軽いにきびに適した薬です。5~6日間使用しても改善が見られない場合には使用を中止し、早目に皮膚科を受診するようにしましょう。

軽いやけど

やけどは高温に皮膚がさらされる事で生じる怪我であり、その程度により1〜3度の3段階に分類されます。1度は赤くなるだけで水ぶくれはない状態であり、家庭で直せる程度のやけどを指します。軽いやけどはオロナインH軟膏を使用することで、化膿を防ぐことができます。患部をしっかり冷やした後に塗ってガーゼを当てるようにしましょう。

水虫

水虫はカビの一種である白癬菌が原因となる皮膚の病気です。水虫にはオロナインH軟膏をお風呂上りにすりこむとで効果が期待できます。ただし、じゅくじゅくした湿潤性の水虫には使用できません。


また薬を使うだけでなく、フットケアも同時に行うようにしましょう。患部を清潔に保ち、足が蒸れないようしてください。水虫をしっかりと治したい方は水虫専用の市販薬も販売されていますのでそちらも確認してみてください。

有効成分はクロルヘキシジングルコン酸塩液のみ

オロナインH軟膏は殺菌・消毒薬として広く用いられているクロルヘキシジングルコン酸塩が有効成分です。この成分は皮膚に対する刺激が少なく、においもほとんど気になりません。また塗布した際に殺菌力を発揮するだけでなく、皮膚に残留して持続的な抗菌作用を発揮するとされています。

さらに添加物として、グリセリン、オリブ油、ワセリンなどの保湿成分を含み、ステロイドは配合されていません。なお、防腐剤が含まれていないため肌には優しい反面、細菌などが繁殖してしまう可能性があるため手を清潔にしてから使用するようにしましょう。

薬剤師からのポイント

データを取る薬剤師

オロナインH軟膏はステロイドを含まない製品

オロナインH軟膏はステロイド成分を含まないため広範囲への使用や長期使用への制限がなく、感染部位にも使用できるなどのメリットがあります。また効果もマイルドなため、顔など肌の弱い部位にも使用可能です。


ただ、オロナインH軟膏は湿疹(ただれ・かぶれ)、虫刺されには使用できないことを覚えておきましょう。また、抗炎症成分は含まれていないため、赤いニキビなどには使用せず軽度なニキビに使用しましょう

塗る順番と塗る量の目安

保湿剤など他の塗り薬を併用する場合、一般的に塗布範囲の広いものから先に使用しましょう。また50gのチューブタイプの場合、大人の人差し指の先から第一関節まで薬を乗せた量が、大人の手のひら2枚分の面積に塗る量に相当します。

適量を知り、必要な量をしっかり塗りましょう。ただし、塗るときに強くすり込むと皮膚にダメージを与えてしまうので、優しく塗るようにしてください。

さいごに

オロナインH軟膏はクロルヘキシジングルコン酸塩を主成分とした、ひびやあかぎれ、切り傷、ニキビ、やけどなど幅広い肌トラブルに使用できる非常に便利な薬です。さらにステロイドや防腐剤を含まないため肌に優しく、使用部位や年齢も問わず使用可能です。

しかし万能とも思えるオロナインH軟膏ですが、全ての皮膚疾患に対応できるものではありません。湿疹や虫刺され、深い傷やひどいやけどなど使用できない場合もあります。説明書の記載事項をよく読んで、適切に使用しましょう。

なお、オロナインH軟膏を5~6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。

 

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オロナインH軟膏に関するQ&A

Q.何歳から使用できますか?

A.オロナインH軟膏の使用について年齢制限はありません。

ただし、小児に使用させる場合には、保護者の指導監督のもとに使用させてください。

Q.使用できない人はいますか?

A.本剤又は、本剤の成分であるクロルヘキシジンによりアレルギー症状を起こしたことがある人は使用できません。

Q.誰でも使用できる?(妊娠中・授乳中も含めて)

A.添付文書の記載事項をよく読んで、適切にご使用いただければ、妊娠や授乳中でも特に制限なく使用可能です。

しかし、以下の場合は使用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。

・医師の治療を受けている人

・薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人

・患部が広範囲の人

・湿潤やただれのひどい人

・深い傷やひどいやけどの人

Q.1日何回塗ればいいの?

A.特に制限はありません。患部の状態により回数は異なります。ただし5~6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。

Q.保湿剤と一緒に使用してもよい?

A.一緒に使用して構いません。塗布範囲の広い薬から使用してください。

Q.薬剤師がいないと買えないの?

A.薬剤師が不在の場合でも購入することができます。第2類医薬品※のため薬剤師以外に、登録販売者からでも購入可能です。※2021年3月時点

Q.ECサイトなどネットで購入することはできる?

A.インターネットや郵便での購入も可能です。ただし薬剤師や登録販売者が使用者の状況などを確認の上、販売の可否を判断することとなります。

参考文献
オロナイン公式サイト|大塚製薬 
家庭薬物語 
・病院感染、院内感染対策学術情報 | 2)クロルヘキシジン 
皮膚科領域の薬の使い方 Q3 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Yosuke Fukuoka

薬剤師

【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。

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