1歳から使えるカロナール成分と同じ市販薬『こどもパブロン坐薬』とは

カロナールは子どもから大人まで幅広く使われる解熱鎮痛剤です。市販薬には当事業でも取り上げた『タイレノールA』や『バファリンルナJ』など同成分の商品が販売されていますが、タイレノールAは15歳から、バファリンルナJは7歳からの服用と、小さなお子さんには使用できませんでした。

そこで、今回は1歳から使えるカロナールと同じ成分の『こどもパブロン坐薬』について紹介していきます。

小児科でよく使われる「アンヒバ®」「パラセタ®」との比較や坐薬の正しい使い方や注意点もあわせて解説しています。ぜひ自宅の常備薬の候補として見てみてください。

※3歳から服用できる飲み薬はこちらにて解説しております。

カロナールとは

発熱を気にする女性

カロナールとは解熱作用・鎮痛作用を持つ医療用医薬品です。有効成分として『アセトアミノフェン』を配合しています。錠剤(1錠あたり200㎎,300㎎,500㎎の3種類)や粉薬、シロップ、坐薬など多くの剤形があります。

同じ解熱鎮痛剤のロキソニン®︎などに比べて、胃や腎臓への負担が少ないことから子どもから高齢者まで幅広い年代に使われています。また、インフルエンザ時の解熱剤として使用されることでも有名です。

 有効成分『アセトアミノフェン』

アセトアミノフェンは体の熱を外に逃がすことで解熱作用を示し、痛みの情報を伝える物質を抑えることで鎮痛作用を示します。

『アンヒバ』という坐薬がある

子どもの体温を測る母親

医療現場では『アンヒバ®』という坐薬が使用されており、お子さんの発熱時に処方されたことのあるお父さんお母さんは多いのではないでしょうか。このアンヒバやパラセタも、実は『アセトアミノフェン』1種類を配合した医薬品であり、カロナールの坐薬バージョンになります。名前が異なるため、気づかなかった方もおられるかもしれません。

坐薬は

・直腸に入れる薬であり、吸収が早く全身に行き渡りやすい
・食事による影響が少ない
・吐き気のあるときでも使用可能

ことから小さなお子さんによく処方されます。また、熱のつらさでぐったりしているときに、おしりから薬を挿入できるのもメリットです。

『こどもパブロン坐薬』はアンヒバと同じ成分

小児科領域でよく使われる『アンヒバ』と同じアセトアミノフェンを配合した市販薬があります。それが『こどもパブロン坐薬』です。

大正製薬が販売する『こどもパブロン坐薬』はアセトアミノフェン1種類を配合した商品です。第2類医薬品に分類され、ドラッグストアなどで薬剤師や登録販売者から購入することができます。また、ECサイトからでも購入できます。

基剤(きざい)も医療用と同じ『ハードファット』を使用していることや、アンヒバの製造元のマイランEPD合同会社が提携していることも特徴的です。
※基剤については以下で紹介しています。

より詳しく知りたい方はお薬の説明書をご覧ください。

『アンヒバ』『こどもパブロン坐薬』の比較

それぞれの坐薬についてまとめました。成分や基剤、効能効果は同じですが、用法用量や1日の上限量には違いがあります。これは、セルフメディケーションの範囲内で対応できる量として考慮されているためであり、医療用と比べて少なく設定されています。

こどもパブロン坐薬アンヒバ
製造会社大正製薬
マイランEPD(提携)
マイランEPD
主成分アセトアミノフェンアセトアミノフェン
基剤(きざい)ハードファットハードファット
効能効果小児の発熱時の一時的な解熱小児領域における解熱・鎮痛
使用可能年齢1才から医師の判断による
1個当たりの成分量100mg50,100,200mg
用法用量1~2才:1/2~1個(50~100mg)
3~5才:1個(100mg)
6~12才:1~2個(100~200mg)
1kgあたり10~15mgを直腸に挿入
(例)10kgの場合:100~150mg
   15kgの場合:150~225mg
1日上限量1回/日4~6時間間隔をあけて挿入
1日あたり60mg/kgを上限とする
保存方法30℃以下冷暗所保存(15~25℃)

基剤のハードファットは体温で溶ける

坐薬は『主成分』と『基剤(きざい)』で構成されています。坐薬は基剤によって『水で溶けるタイプ』と『熱で溶けるタイプ』に分類され、今回のハードファットは『熱で溶けるタイプ』に該当します。

ハードファットは33℃~39℃で溶ける性質があるため、直腸に挿入するとヒトの体温で溶けていきます。この性質からこどもパブロン坐薬は30℃以下という保管温度の設定になっています。(製薬会社からの回答)

しかし、坐薬は柔らかくなったり変形すると挿入しにくくなるため、こどもパブロン坐薬も医療用のアンヒバなどと同じく冷蔵庫での保管をおすすめします。

坐薬の正しい使い方や注意点

今回は坐薬について触れてきましたので、最後に坐薬の正しい使い方を補足します。挿入の向きやカットの仕方は各商品の説明書をご覧ください。

なるべく排便後に使用しましょう

坐薬を挿入することで刺激になり排便してしまうことがあります。排便と一緒に薬が出てしまうことがあるため、なるべく排便をすましてから使用しましょう。

おしりをおさえてあげる

排便がなくても挿入した坐薬が出てくることもあります。挿入後は外に出ないようにおしりをおさえてあげましょう。

もしも出てしまったら…

挿入後、もしも出てしまったら新しい坐薬を挿入してあげましょう。挿入して30分ほど経過している場合は、すでに薬が吸収されていると考えられるため、追加で挿入する必要はありません

坐薬が入れにくい場合

坐薬が入れにくい場合は、先端を指で温めて少し溶かすか、オリーブ油ベビーオイルを塗ると挿入しやすくなります。

保管する際は挿入側を下に向ける

ハードファットを基剤に持つ坐薬は温かくなると溶けていきます。少し溶けた状態で冷蔵庫などの冷所で保管すると、薬が変形してしまい挿入しにくくなります。必ず、挿入側を下に向けて挿入側の形が変化しないようにしましょう。

お子さんの急な発熱や痛みに常備

赤ちゃんを抱く母親

子どもの急な発熱や痛みは予測できません。しんどい状態で日中の多い時間帯や夜間に連れていくのも大変ですよね。そんなときに、ひとまず家で対応できるように医療用と同じ成分の坐薬を自宅に置いておくのはいかがでしょうか。

病院でもらったアンヒバやパラセタを自宅に置いておくのも一つの手です。しかし、比較表にも記載していますが、体重によって量が変わってきます。もしかすると、今のお子さんの体重には以前もらった量では不足している可能性もありますのでその点はご注意ください。

3歳から服用できる解熱鎮痛薬(市販薬)はこちら

 

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参考文献
・使用上の注意|大正製薬株式会社
・アンヒバ添付文書
・パラセタ添付文書
・ホスコ添付文書
・くすりの保管の仕方 – 一般社団法人 福島県薬剤師会

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Nobuhiro Nagao

病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。

一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。

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Ryo Omura

医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
理念
・誰にでもわかりやすい医療ヘルスケア情報を発信
・医療職の働き方にも自由度を。リモートワーク環境の構築
メディアから医療を変える「デジタルチーム医療」を中心に活動。
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