塩分の1日摂取量は?塩分の高い食材や減塩するコツも紹介|管理栄養士

塩分の摂り過ぎは体に良くない、これは誰もが知っている知識だと思います。ですが実際は、「減塩って具体的にどうしたら良いかわからない」「病気中でもないのに、薄味で美味しくないものは食べたくない」と感じている人も多いのではないでしょうか。今回は具体的なデータも交えながら、塩分と賢く付き合う方法を学んでいきましょう。

塩分の働きと影響

そもそも私達の体にとって、塩分はどのような役割があるのでしょうか?

働き

塩分と呼んでいるものの正体は、ナトリウムなどのミネラルです。この成分は私達の体にも一定量含まれていて、生命を維持するための重要な働きをしています。例えば、血液などの体液に溶け込んでいるナトリウムは、体の浸透圧やPHを調整し、体のバランスを保つ役割があります。また筋肉や神経が働くためには、脳からの信号伝達にナトリウムが不可欠です。

過剰摂取による影響

まず挙げられるのは、血流量が増加することによる「高血圧」です。放っておくと「動脈硬化」や「心不全・心筋梗塞」のリスクを高めます。日常的な塩分過多は腎臓にもダメージを与え、「慢性腎臓病(CKD)」などの原因になります。

更に「がん」の発症にも関係していて、特に胃がんリスクが高まると言われています。過分な塩分は、胃の細胞を傷つけてしまうからです。

摂取不足による影響

体液のバランスや神経と筋肉の調整に支障が出て、血液循環の不調、倦怠感や吐き気、筋肉の痙攣など原因となり、最悪の場合、昏睡や生命の危機に陥ります。

脱水や嘔吐、過度のダイエットによる塩分摂取不足には十分気をつけましょう。

 1日に必要な塩分の摂取量は?

では、1日にどれくらいの塩分を摂れば良いのでしょうか。厚生労働省が公表している日本人の食事摂取基準(2020年版)では、15才〜49才において「男性/7.5g」「女性/6.5g」が目標量です。この目標量、正直に申し上げると、非常に少なく感じます。

次の項目で具体的にイメージしてみましょう。

塩分の多い食材

塩分には味付けだけではなく、防腐作用やたんぱく質の変性促進等の作用もあり、食品加工にも利用されます。塩分の多い食材は「味の濃い物」だけではなく、パンや麺を含む「加工品」や「調味料」、更に「長期保存可能食品」も注意が必要です。

具体的な例で見てみましょう。”〇〇g”が食塩の推定量です。

『朝ごはん』

  • バターロール30g 2個:0.7g
  • コーンスープ180g:1.2g
  • ソーセージ20g  2本:0.8g
  • サラダごまドレッシング14.5g(大さじ1):0.5g

『昼ごはん』

  • 牛丼 並盛410g:2.5g
  • けんちん汁180g:1.4g
  • 紅生姜5g:0.2g

『夜ごはん』

  • 納豆ご飯215g:0.8g
  • わかめのみそ汁170g:1.3g
  • あじの塩焼き70g:3.0g
  • ポテトサラダ90g:0.7g 

『間食』

  • せんべい25g 2枚:0.8g 
  • カフェオレ170g:0.1g 

合計14.0g

いかがでしょうか?一般的な食事内容と量でも、目標量の2倍近く多い塩分を摂取していることがわかります。

管理栄養士からのポイント

健康のために減塩したくても、味の薄い料理は食べたくないし我慢もしたくない。誰もが感じる普通の気持ちです。そこで、今回は「満足感」をポイントに長く続けられる減塩方法を紹介します。

上手に摂取するコツ

『料理の組み合わせにメリハリを』

塩分の多い料理に組み合わせるのは、塩分の少ない料理にしましょう。例えばあじの塩焼きがメインなら、ご飯は白米にしたり、ドレッシングは控えめにします。全体的に減塩するよりも、満足感があるはずです。

『調味料をかけるなら直前に』

もし料理に醤油などを後がけするなら、口にする直前にかけましょう。調味料が内側に染み込んでしまうと、味を感じにくくなります。

『減塩商品の利用』

最近は美味しい減塩商品も多くあります。特に調味料は高い効果が期待できるので、ぜひ利用してみましょう。(カリウム摂取が多くなる可能性もあるので腎臓疾患の方は医師に必ずご相談ください。)

効果的な調理方法

『味は内側よりも、外側に』

口に入れた時に、まずしっかり味を感じることで、調味料の量を減らすことができます。

・おにぎりの具ではなく周りに味をつける

・煮物の味付けは調理の最後に行う

『汁物は具材を多く』

具材が多ければ汁の量が少なくなり、食べごたえがありつつ摂取塩分を減らせます。ただし具材に練り物等の加工品を使うと逆効果にもなるので気をつけましょう。

『香りを効果的に』

カレー粉やハーブ等の香り、ごま油などの香ばしさは減塩の強い味方です。効果をしっかり得られるよう、出来たての料理を食べるようにしましょう。

まとめ

塩分は私達の生活に欠かせないものです。ぜひ自分や家族の将来のために、塩分と上手に付き合っていきましょう。

 

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参考資料
・「塩と健康の関係 – 株式会社日本海水」
https://www.nihonkaisui.co.jp/small_customer/learning_salt/health 
・「減塩で防げる病気 – 無塩ドットコム」
https://www.muen-genen.com/html/page63.html 
・「塩分が不足するとどうなるの? – MFSメディカルフードサービス」
https://www.medifoods.jp/blog/post-217.html 
・「食事摂取基準(2020年版) – 厚生労働省」
・「大人の食事  – 大木町」
http://www.town.ooki.lg.jp/soshiki/kenkofukushi/kenkotyojyu/kenko/syokuiku/otonanosyokuji.html 
・「カロリーSlism」
https://calorie.slism.jp/ 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile
Yuri Kido

Yuri Kido

管理栄養士 / 研究者

大学で管理栄養士の資格を取り、現在は大学院にて肥満と糖尿病の研究をしています。医学と栄養の視点から健康をサポートしていきたいと思います。

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