ヒビプロLPはどの症状に使える?モアリップとの違いも解説

ヒビプロLP

冬の唇は乾燥しやすくカサつきや皮むけ、ひび割れ、ひどい時には口角がぱっくりと割れて痛みを伴う口角炎に悩まされている方も多いのではないでしょうか。

今回はこれらの唇のトラブルを1本で解決してくれる医薬品タイプのリップ「メンソレータムヒビプロLP」の商品特徴や「モアリップ」との違いについて解説します。

メンソレータムヒビプロLPとは

メンソレータムヒビプロLP(以下ヒビプロLPと略)とはロート製薬株式会社から発売されている医薬品(第3類医薬品)タイプのリップクリームです。

5つの有効成分が配合されており、冬場の強い乾燥や最近ではマスクによって摩擦を受けた、唇のただれ・ひび割れ、口角炎や口唇炎を改善します。

どんな症状に使える?

ヒビプロLPは口唇のひび割れ、口唇のただれ、口唇炎、口角炎に効果をもった薬です。口唇炎や口角炎はなじみが少ない言葉なので、それぞれどんな病気か以下で解説します。

口唇炎

口唇炎とは唇全体に炎症や亀裂が起こる症状です。症状は唇が全体的に乾燥し、皮がむけたり、唇が腫れたりして、かゆみをともなう場合もあります。つまり簡単に表現すると唇が「荒れ」た状態のことを指します。

口角炎

口角(上下の唇があわさるところ)に炎症が起き、唇の端が赤く腫れたり、唇の皮がむけたり、かさぶたなどの症状が起こります。口角炎になると、唇が乾燥したり、口角がぱっくり割れる(亀裂が入る)こともあります。

食事や会話の際に口を大きくあけると口角が裂け、痛みをともないます。

ヒビプロLPは口唇ヘルペスや口内炎には使えない

ヒビプロLPは口唇ヘルペスや口内炎に使用できない

残念ながらヒビプロLPは口唇ヘルペスには使用できません。口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスという「ウイルス」が原因によって起こる感染性の病気です。そのため口唇ヘルペスの治療にはウイルスをやっつける抗ウイルス薬を使います。ヒビプロLPはウイルスをやっつける薬ではないので、口唇ヘルペスには効果がありません。

口唇ヘルペスは口唇炎や口角炎に似た症状が出るため、間違えられやすいですが症状のポイントとしてはくちびるやその周りに小さな水ぶくれが出るのが特徴です。

もし唇やその周りにヒリヒリ・ピリピリする感じや水ぶくれが出てきた場合は口唇ヘルペスの可能性が高いので、その場合はお医者様に相談してください。

またヒビプロLPは口内炎にも使用することができません。こちらも残念ながらヒビプロLPは口内炎には使用できません。一部SNSで「口内炎にも使える」という情報がありますが、メンソレータムヒビプロLPは口内炎に対する効能効果がない薬のため使えません。

市販薬には口内炎に効能効果のある塗り薬や貼り薬、飲み薬があるので、対象となる商品を活用しましょう。

ヒビプロLPの有効成分

なぜヒビプロLPは口唇炎や口角炎に効果があるのでしょうか。ここではヒビプロLPに配合されている有効成分や成分のはたらきについて各成分ごとにご紹介します。

グリチルレチン酸

グリチルレチン酸が3mg(1g中)配合されています。唇の炎症を抑える働きがあります。

トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE誘導体)

血行促進成分のトコフェロール酢酸エステルが2mg(1g中)配合されています。唇の血行を良くすることで、皮膚の生まれ変わりを促す働きがあります。

アラントイン

組織修復成分のアラントインが5mg(1g中)配合されています。荒れた唇の修復を促す働きがあります。

パンテノール

パンテノールが5mg(1g中)配合されています。皮膚や粘膜を健康に維持する働きがあります。

ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)

ピリドキシン塩酸塩が1mg(1g中)配合されています。皮膚や粘膜を健康に維持する働きがあります。

ヒビプロLPとモアリップとの比較

ヒビプロLPとモアリップは口唇炎や口角炎など唇のトラブルを改善する医薬品タイプのリップクリームですが2つのちがいはどこにあるのでしょうか。ここではヒビプロLPとモアリップのちがいについてご紹介します。

有効成分は同じ

ヒビプロLPとモアリップには唇のひび割れ・ただれ、口唇炎、口角炎を改善するために両者とも上記の5つの有効成分が配合されており、成分の種類や濃度ともに全く同じです。そのため症状を改善する効果は同じです。

使用感が違う

ヒビプロLPの使用感

クリームは「太め」
使用感は「硬め」

実際に使用してみました。モアリップと比べクリームが「太く」出てくるので、出す量に注意が必要です。クリームの使用感は「硬め」です。右の写真が指で一押しした後の写真ですがクリームのツノがしっかり立ちました。

ヒビプロLPはクリームのベースにワセリンを多めに使用しているので「硬め」の使用感になっています。そのためテクスチャーが硬めがお好きな方やひび割れた部分をしっかり保護したい方におすすめです。

モアリップの使用感

クリームは「細め」
使用感は「やわらかめ」

こちらも実際に使用してみました。ヒビプロLPと比べクリームが「細く」出てきます。クリームの使用感は「柔らかめ」です。右の写真が指で一押しした後の写真ですがクリームのツノが横に倒れています。

クリームは伸びがよく、ほどよいしっとり感があり、べたつきにくいのが特徴です。そのためテクスチャーがしっとりうるおうタイプがお好きな方や添加物にlメントールを配合しているので、ほどよいスースーとした清涼感がお好きな方におすすめです。

剤形が違う

ヒビプロLPは「手で塗る」タイプ

剤形はチューブタイプですが、チューブからクリームを手に出して塗ります。つまり、そのまま唇には塗れないので、お仕事や学校など外出時に使用するより、寝る前などのお家での使用がおすすめです。

モアリップは「そのまま塗れる」タイプ

チューブタイプですがこちらは唇にそのまま塗れます。もちろん手に出して塗ることも可能です。手が汚れる心配がないのでお仕事や学校など外出時に気軽に使用できます。

薬剤師からのポイント

ヒビプロLPの効果や特徴、モアリップとのちがいについてご紹介してきましたが、「成分が同じならどっちを選べばいいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは実際に商品を購入する際の選び方のポイントや使用する際の注意点について薬剤師の視点からご紹介します。

使用感や使用シーンで選びましょう

ヒビプロLPとモアリップには唇のひび割れ・ただれ、口唇炎、口角炎を改善するために5つの有効成分が配合されていますが成分の種類、濃度ともに全く同じなので、症状を改善する効果は同じです。

そのため使用感が「硬め」がお好きな方はヒビプロLP「柔らかめ」がお好きな方はモアリップというようにお好みの使用感や使用シーンで選びましょう。

症状が出ている時のみの使用にとどめましょう

ヒビプロLPは第3類医薬品に分類される薬です。医薬品は「病気の治療」を目的として作られています。

つまり毎日使用するのではなく口唇のただれ・ひびわれ、口唇炎、口角炎の症状が出ている時だけの使用にとどめ、5〜6日使用しても症状がよくならない場合は医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。

また症状が出やすい冬場の時期は「普段使い用リップ」と「治療用リップ(メンソレータムヒビプロLPなど)」の2本を準備しておくと良いでしょう。

リップクリームは「縦」方向に塗りましょう!

リップクリームを横方向に塗っている方も多いと思いますが、唇は縦の方向にシワができているので、横方向からだとシワの中までしっかりとクリームが入りません。そのためリップクリームは優しく「縦」方向に塗るようにしましょう。

さいごに

ヒビプロLPは5つの有効成分が唇の荒れやかわむけ、ひび割れ、口角炎などを改善できる商品です。

私は以前、ひび割れや口角炎でモアリップを使用していましたが、最近はひび割れがひどい時にはひび割れ部分をしっかり保護できるヒビプロLPを寝る前の「お家用」として使用しています。

また外出時にはそのまま塗れるモアリップをバッグの中に忍ばせています。このように使用感だけでなく症状の程度や使用シーンに合わせて上手に使い分けてみてください。

メンソレータムヒビプロLPに関するQ&A

Q.何歳から使用できますか?

A.メンソレータムヒビプロLPは1歳くらいからご使用いただけます。

※メーカー確認済み(2020/10)

Q.使用できない部位はありますか?

A.口の中には使用できません。また湿潤やただれがひどい場合は医師や薬剤師、登録販売者にご相談ください。

Q.妊娠中・授乳中でも使用できますか?

A.メンソレータムヒビプロLPは妊娠中・授乳中でもご使用いただけます。

※メーカー確認済み(2020/10)

ただし妊娠中は皮膚が過敏な時期の為、もし使用後に、皮膚の赤みやブツブツなど異常を感じた場合は使用を中止してください。

Q.ステロイドは入っていますか?

A.メンソレータムヒビプロLPにステロイドは配合されていません。

Q.クリームが固まってうまく出ない時はどうすればいい?

A.手の中でチューブを温めてからお使いください。

Q.薬剤師や登録販売者による販売が必要?

A.登録販売者がいれば購入できます。

メンソレータムヒビプロLPは第3類医薬品です。薬剤師が不在でも、登録販売者のいるドラッグストアなどで購入できます。

Q.ECサイトなどネットで購入することはできる?

A.インターネットなどの通販サイトでの購入が可能です。

参考資料
メンソレータム ヒビプロLP/ロート製薬:製品情報 
モアリップ(第3類医薬品)/資生堂-資生堂薬品株式会社 
「口角炎・口唇炎」の原因・症状について解説/ロート製薬
・口角炎について/岸本 麻子, 井野 千代徳, 多田 直樹, 井野 素子, 南 豊彦https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi/56/3/56_3_101/_pdf/-char/ja 
口唇ヘルペス/皮膚症状一覧ひふ研-第一三共ヘルスケア 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Yosuke Fukuoka

薬剤師

【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。

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