小さな赤ちゃんを育てるパパやママの悩みの一つとしても挙げられる、赤ちゃんの夜泣き。抱っこしたり、おむつを換えたりしても泣き止まず、ほぼ一晩中泣き続ける赤ちゃんに困り果てた経験があるかもしれません。夜泣きは、パパやママの慢性的な睡眠不足や疲れの蓄積の原因ともなり、パパ・ママ自身が体調を崩すきっかけにもなりかねません。
そんな夜泣きのケアに使用できる市販薬があるのをご存じでしょうか?
今回は、薬剤師が赤ちゃんの夜泣きに効果が期待できる医薬品を解説していきます。
夜泣きとは
「夜泣き」とは、ただ単純に赤ちゃんが夜に泣く、ということではありません。
オムツが濡れていたり、お腹が空いていたり・・・このような具体的な理由がないのにも関わらず、夜中に急に赤ちゃんが泣き出し、どんなにあやしても泣き止まないような状態を「夜泣き」といいます。
夜泣きは生後半年頃~1歳半ぐらいまでの赤ちゃんに見られると言われていますが、夜泣きが始まる時期や夜泣きの時間帯などは赤ちゃんによって様々です。全く夜泣きがなかった子もいます。
夜泣きに効く市販薬
夜泣きが連日続くと、それに付き合うパパやママも慢性的な睡眠不足で日頃の疲れも取れません。パパやママが疲れる前に、夜泣きにも効果が期待できる医薬品を試してみるのはいかがでしょうか。いずれも、夜泣きに対して長く使用されてきた市販薬です。
宇津救命丸
宇津救命丸(うずきゅうめいがん)は、生後3ヶ月の乳児から服用できる、天然由来8種類の生薬が配合された漢方薬です。
自律神経のバランスを整えることで、乳児の夜泣きや下痢・食欲不振だけでなく、幼児・学童期のイライラ・ストレスにも効果を示します。
樋屋奇応丸
樋屋奇応丸(ひやきおうがん)は、江戸時代1622年から服用されてきた長い歴史のある漢方薬です。
赤ちゃんの夜泣きをはじめ、神経質気味でぐずって寝つきが悪いお子さまや、ストレス等から胃腸虚弱気味な大人も服用できます。
クラシエ抑肝散加陳皮半夏
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)は、9種類の生薬からなる漢方薬です。
元来、小児のイライラなどに用いられてきた「抑肝散(よくかんさん)」という漢方薬に「陳皮(ちんぴ)」と「半夏(はんげ)」の2種類の生薬を加えて、よりよい効果を発揮するよう、工夫がなされました。
夜泣きに効く理由
夜泣きの原因は未だ明らかになっていませんが、赤ちゃんの自律神経のバランスが崩れやすいことが理由の一つといわれています。
赤ちゃんは自律神経が未熟で乱れやすく、少しの刺激でも交感神経が活発になって、興奮状態になってしまいます。それが夜泣きにつながると考えられています。環境の変化や体内時計の乱れなども、自律神経のバランスを崩す刺激となります。
そのため、赤ちゃんの自律神経を穏やかに安定させるはたらきのある漢方薬が、夜泣きへも効果を示します。
副作用や注意点はある?
各製品の副作用や服用の注意点に関して、必ず服用前に添付文書やパッケージに記載されている内容をご確認ください。特に、抑肝散加陳皮半夏では、皮膚の発疹・発赤、かゆみなどの副作用が起こる可能性があると記載されています。薬を与えてしばらくは、赤ちゃんの様子をよく観察するようにしましょう。
また、漢方薬は服用してすぐに効果を発揮するものではありませんので、効果が現れるまで長い目で服用を続ける必要があります。しかし、しばらく飲み続けても(目安は約1ヶ月)効果が見られない場合は、薬の服用を中止して医師に相談することをおすすめします。
何歳から飲ませることが出来る?
宇津救命丸は、生後3ヶ月以上の乳児~15歳未満の小児まで服用可能です。1日3回、年齢に応じた量を食前に服用するようにしてください。
樋屋奇応丸は、服用してはいけない年齢の決まりはなく、赤ちゃんから大人まで幅広くお使いいただけます。宇津救命丸と同様、1日3回、年齢に応じた量を食前に服用するようにしてください。
クラシエ抑肝散加陳皮半夏は、生後3ヶ月以上の乳児から服用いただけます。1日3回、年齢に応じた量を食前又は食間に服用します。ただし、「1歳未満の乳児は医師の診察を受けることを優先とし、やむを得ない場合のみ服用させること」となっていますので、ご注意ください。
飲ませ方のコツ
今回ご紹介した漢方薬のような小さな丸薬の薬は、一般的な錠剤よりもさらに小さく、赤ちゃんでも問題なく飲み込めるようになっています。哺乳瓶の乳首やママの乳頭に丸薬をつけて、ミルクと一緒に飲ませるとよいでしょう。幼児は、上あごや頬っぺたの内側に丸薬を貼り付けて水分と一緒に飲み込ませたり、離乳食に混ぜて飲み込ませても構いません。服薬用ゼリーを使うのも一つの手です。
また、顆粒剤などを溶かして与える場合は、お湯で溶かして砂糖を少し加えて飲みやすくしてみましょう。赤ちゃんが普段飲むミルクに混ぜるのは、ミルク嫌いの原因となる可能性があるため、避けた方がよいでしょう。
薬以外の夜泣き対策
薬の服用以外にも、ご家庭でできる夜泣き対策をご紹介します。赤ちゃんに一番合うものを見つけていきましょう。
昼夜のリズムをつける
赤ちゃんの体内時計はまだまだ成長途中であり、昼夜の区別がつきにくい状態です。朝は同じ時間に起きて日光を浴びさせる、夜も同じ時間に寝かせるようにするなど、昼夜のリズムがつきやすい環境を心がけましょう。
昼寝はほどほどにする
昼間はたくさん遊ばせて、しっかりとエネルギーを消費させましょう。お昼寝をほどほどに抑えることで、夜はぐっすり眠りにつけるようになります。
おむつを交換しておく
おむつが濡れたままの状態は、赤ちゃんの不快感を引き起こす原因の一つです。寝汗で蒸れてしまうこともあります。快適な状態でよく眠れるよう、おむつが濡れていないか、こまめにチェックしておきましょう。
安心する音を聞かせる
ビニール袋のガサガサ音や、テレビのザーザーしたノイズ音、水が流れる音など、赤ちゃんがママのお腹にいた時に聞いていた音とよく似た音を聞くと泣き止むことがあります。動画サイトでは、これらの音を集めた動画が公開されていたりするので、試してみるのもおすすめです。
まとめ
赤ちゃんの夜泣きは、それに対応するパパやママが寝不足になって生活に支障をきたすケースも多く、悩みの種の一つです。夜泣きは成長するにつれて徐々に減っていくと言われてはいますが、それでも「このまま夜泣きが続くのは困る・・・」「なんとか夜泣きの対応策はないのだろうか」と考えてしまうものでしょう。
そんな中で、今回ご紹介した医薬品は、夜泣きにお困りのパパやママの一助になるのではないでしょうか。
赤ちゃんに薬を飲ませること自体に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回ご紹介した医薬品は、決して効果が激しすぎるものではなく、赤ちゃん・乳児でも服用しやすいように工夫がなされた医薬品です。夜泣きにお困りの際は、医薬品の使用もご検討ください。
参考資料
抑肝散加陳皮半夏エキス顆粒クラシエ [24包]|Kracie公式サイト
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。