
ごはんを食べたらちくっとした痛み。口内炎を経験されたことのある方は多いのではないでしょうか。口内炎ができると食事をするのも憂鬱になりますよね。
ビタミン不足や睡眠不足など体調が悪い時に起こりやすいと言われている口内炎。そんな厄介ものの口内炎について詳しく見ていきましょう。
口内炎の種類

口内炎とは口の中の粘膜に起こる炎症を指し、痛みを伴う事が多いです。また一つだけでなく、いくつもできる場合や、症状が長引く場合もありストレスとなる事もあるでしょう。口内炎はいくつかに分類する事ができ、それぞれ見た目や痛みなどが異なります。
アフタ性口内炎
一般的に口内炎のなかで最も多く起こるのがアフタ性口内炎です。「アフタ」と呼ばれる周囲が赤く中心部が白い円形や楕円形の潰瘍が、頬や唇の内側、舌や歯茎などに発生します。痛みを伴う事が多く、辛いものや酸っぱいものなど刺激性のある食事をした場合にしみる事が多いのもこのタイプです。
アフタ性口内炎は1週間から長くても2週間程度で自然に治る事が多く、痕が残る事もありません。しかしなかなか治らない場合や、何度も再発する場合は他の病気である可能性もあるため病院を受診するようにしましょう。
カタル性口内炎
カタル性口内炎は入れ歯や義歯の不具合、頬を噛んでしまい細菌が繁殖した場合や口内の火傷など何らかの刺激が原因で起こる口内炎です。
「カタル」とは「流れ下る」という意味でアフタ性口内炎とは違い境界が曖昧で、口の中が赤く腫れたり水疱ができる場合もあります。また粘度のある唾液が増えたり、口臭が発生する事もあるのが特徴です。
ヘルペス性口内炎
ウイルスが原因で起こる口内炎がヘルペス性口内炎です。生後6ヶ月〜3歳くらいの乳幼児に多く、感染した場合、発疹や高熱、さらにリンパの腫れといった症状も出ます。
さらに小さな水泡が複数でき、赤く腫れて痛みを感じ始めます。口内の痛みにより食事や水分を嫌がる子供も多く、脱水や栄養不足にも注意が必要です。
口内炎の原因

では口内炎の原因とはいったい何なのでしょうか。はっきりとはわかっていませんが、ストレスや体調不良、栄養やビタミンの不足によって免疫が下がってしまった場合や、義歯や矯正器具による物理的刺激やウイルス感染も原因の一つとされています。
私たちは呼吸や食事、喋ることにより口内は常に外部と通じています。つまり細菌やウイルスなどが付着する可能性が高い場所とされていますが、健康であれば体の免疫機能が働くため感染することはまれでしょう。
しかし、疲労やストレス、不摂生による栄養不足やビタミン不足により口内炎ができやすい環境となってしまう事があります。口内炎が起こった場合は普段の生活を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
ビタミン不足が原因の口内炎を見分けるポイント
口内炎ができたとき、「これはビタミン不足のせいかな?」と気になることもあるのではないでしょうか。ビタミン不足が原因で起こる口内炎は、次のような特徴があると言われています。
まず、最も一般的なのがアフタ性口内炎で、中心が白っぽく、まわりが赤くなっている小さな潰瘍が特徴です。このタイプは、疲れがたまっているときや、栄養が偏っているときによく見られます。特に、ビタミンB2・B6・Cが不足していると粘膜が弱くなり、炎症を起こしやすくなるのです。
また、口角の皮膚が切れたり、舌がヒリヒリしたりといった症状が同時に出ている場合も、ビタミン不足が関係している可能性があります。
こんな人は要注意!ビタミン不足になりやすい生活習慣
以下のような生活スタイルに心当たりがある方は、ビタミン不足になりやすく、口内炎のリスクも高くなります。
- 外食やコンビニ食が多く、栄養が偏りがち
- 野菜や果物をあまり食べない
- 睡眠時間が短い、寝つきが悪い
- 忙しくて食事の時間が不規則
- ストレスを感じやすい
まずは「朝食を食べる」「野菜を一品足す」など、できることから始めてみましょう。生活を見直すことが、口内炎の予防につながります。
口腔粘膜とビタミンの関係

先ほど栄養不足やビタミン不足になり口内炎になることもあるとお伝えしました。ビタミンは体の機能を調整し、血管や皮膚の健康を保つ役割があるため、不足すると体は正常に機能する事ができなくなるのです。
ビタミンは全部で14種類ありますが、それぞれ働きが違います。今回はその中でも口腔粘膜の健康に関係のあるビタミンについて4種類紹介していきます。
ビタミンA
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を保つために重要なビタミンの1つです。特に肉や魚などの動物性食品やレバーなどに多く含まれています。皮膚や粘膜の機能を正常に保ち、風邪などの感染予防や免疫力の増強に役立っています。
しかしビタミンAを過剰にとりすぎると体内から排出できず、頭痛や脱毛、筋肉痛などの症状となる事があるため注意しましょう。
ビタミンB2
ビタミンB2は皮膚や髪などの細胞の再生に大きく関わるビタミンであり、口などの粘膜を保護する働きがあります。また体内でエネルギーを作る際のサポート役としても働くため、私たちの健康に必要不可欠なビタミンとなっています。ビタミンB2が不足すると細胞の新陳代謝がうまく働かず、口内炎や口角炎、皮膚の痒みや髪のトラブルなどが起こりやすくなってしまいます。
ビタミンB6
ビタミンB6はタンパク質の分解や合成に必須のビタミンとなります。さらに免疫機能の維持やホルモンの調節、赤血球の合成などにも働き、体の発育にとても重要です。
ビタミンB6が不足すると皮膚を作るタンパク質の代謝が悪くなり、肌荒れや口内炎ができやすくなることがあります。また免疫が低下することで体調不良の原因になりかねません。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンが作られる際に必要となるビタミンであり、健康な皮膚や血管を作ることに役立っています。また白血球に働きかけて免疫を高める役割も担っています。
つまりビタミンCが不足すると疲れやすくなったり、感染症にかかりやすくなってしまうのです。しかしビタミンCは一度にたくさん取ったとしても体内にたまる量は限られているため、効果を持続させるためには毎日摂取するのが良いでしょう。
ビタミン不足を防ぐための食事のコツとは?

ビタミンを効率よく摂るには、ちょっとした食事の工夫がポイントになります。
- 「彩り」を意識する:野菜や果物は色が濃いものほどビタミンが豊富です。
- 動物性食品も適度に:ビタミンB2やB6、ビタミンAはレバー、サバ、卵などに豊富。
- 加熱に注意:ビタミンCは熱に弱いため、生食できる野菜も取り入れましょう。
バランスの良い食事が、口内炎予防への第一歩です。
市販薬で治せる?ビタミン不足の口内炎におすすめの対処法
ビタミン不足が原因の口内炎には、ビタミンB群を補う医薬品が効果的です。
たとえば「チョコラBBプラス」は、粘膜の修復をサポートする成分が配合されており、症状の緩和に役立ちます。
ただし、長引く場合や痛みが強い場合は、自己判断せず医師に相談することが大切です。
口内炎を繰り返す人は要チェック!他の病気の可能性も
何度も口内炎ができる、治ってもすぐ再発するという方は、次のような病気が関係している場合があります。
- 鉄分やビタミンB12の欠乏(悪性貧血)
- ベーチェット病、クローン病などの自己免疫疾患
- ウイルスによる感染症
「2週間以上治らない」「強い痛みがある」といった場合は、医療機関を受診しましょう。
まとめ
口内炎は一時的な不調と思われがちですが、実は体の不調や栄養不足のサインかもしれません。特にビタミンB群やCが不足すると、口の中の粘膜が弱くなり、口内炎ができやすくなります。
普段の食事でバランスよく栄養をとることに加え、睡眠やストレス管理も重要です。もし何度も繰り返すようであれば、他の病気が隠れている可能性もあるため、早めの受診を心がけましょう。
「食べる」「話す」といった日常の快適さを守るために、口の中の健康を大切にしましょう。
参考資料
・小川浩司,和山行正,橋口一弘:アフタ性口内炎における細胞診による単純ヘルペスウイルス、水痘、帯状疱疹ウイルスおよびサイトメガロウイルスの検出:93巻,1990年度,6号,920-924
・花輪剛久,口内炎発症予防及び治療を目的とした病院薬局製剤, 薬剤学:65巻,2005年度,1号,43−47
・桝重正一,ビタミンAの栄養と生理機能解析に関する研究:50巻,1997年,1号,1−14
・白鳥早奈英,最新版知っておきたい栄養学,学研実用BSET
・口内炎の原因|くすりと健康の情報局|第一三共ヘルスケア
・口内炎の原因と治し方|Chocola.com|エーザイ株式会社
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Ryo Omura
医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
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