ビタミンCってお肌によさそうといったイメージをお持ちの方は多いと思います。サプリメントは少し高いし、せっかくであれば日常生活で摂取したいですよね。
今回はビタミンCを多く含む食べ物と摂取量について管理栄養士が解説します。
そもそもビタミンCとは
ビタミンCとは水に溶けやすい水溶性のビタミンのひとつです。肌を健やかに保つ、血管の老化を防ぐ、酸化によるストレスをブロックする作用があります。
摂取したビタミンCは体内で消費され、水溶性のため余分な分は体外へ排出されます。
また、ビタミンCは人間の体内で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。
ビタミンCの作用
ビタミンCは体の機能を正常に保つために必要な栄養素です。
以下のような栄養素の代謝を円滑にする働きや、健やかな体づくりを促す働きがあります。
体の酸化還元の反応に関与する
ビタミンはエネルギー産生のほか体内で起こる化学反応を助け、健康な体を維持できるようにしています。
ビタミンCは、酸化されることにより他の物質を還元する力を持っているため、強力な抗酸化物質と言えます。その力により体内で脂質代謝をはじめ、さまざまな酵素反応を助ける働きがあります。
コラーゲンの生成
ビタミンCは皮膚や軟骨をつくるコラーゲンというたんぱく質の合成に必要なビタミンです。コラーゲンは皮膚や骨を強くします。このため、ビタミンCは健康な皮膚や骨の維持、傷の修復に必要不可欠です。
鉄の吸収率が高くなる
ビタミンCは鉄の吸収を助ける働きがあります。
特に、小松菜やほうれん草、納豆・豆腐などの植物性食品に含まれる非ヘム鉄は体内への吸収率が低いことから、いちごやキウイなどのビタミンCが豊富に含まれる食材と一緒に摂ることで鉄の吸収率を高めることが期待できます。
野菜ではパプリカやブロッコリーなどに含まれていますが、ビタミンCは加熱することで失われやすい栄養素です。電子レンジを使用してビタミンCの損失を最低限に抑えたり、生食で食べるなどしてビタミンCを摂取すると良いでしょう。
貧血にお悩みの方は鉄だけでなく、鉄の吸収をサポートするビタミンCにも着目し、合わせて摂取するように心がけましょう。
1日に必要なビタミンCの摂取量は?
日本人の食事摂取基準2020年度版によると、ビタミンCは成人女性で1日100mgの摂取が推奨されています。また、ビタミンCは水溶性のため多く摂取しても余計な分は体外へ排出されます。そのため通常は摂り過ぎの心配はありません。さらに排泄過程で腸内細菌を活性化させるので、余計に摂取したとしても無駄にはなりません。
しかし、サプリメント等でビタミンCを1日10g以上の過剰摂取は下痢、吐き気、胃けいれんなど体への悪影響の可能性も示唆されています。食事からの摂取を基本とし、サプリメントを使用する際は過剰摂取への注意が必要です。
ビタミンCの摂取が減ったときの症状
ビタミンCが不足した場合、疲れを感じやすい、さらに悪化すると毛細血管が弱くなり、歯茎や皮膚から出血が起こる壊血病が発症する可能性があります。また、骨がもろくなり骨折やすい、骨の変形や貧血なども表れる恐れがあります。さらにストレスや喫煙によってもビタミンCの消費量が高まります。
喫煙者はタバコを吸わない人と比べて約2倍のビタミンCが必要と言われており、よくタバコを吸う方はより多くのビタミンCの補給が必要です。
ビタミンCを効率的に摂取できる食べ物
ビタミンCは果物をはじめ、野菜やいも類に多く含まれています。さまざまな食品から摂取することで必要量を満たすことが可能です。
果物 | いちご(62mg)、ゴールドキウイ(140mg)、レモン(50mg) グレープフルーツ(36mg)、柿(127mg)、オレンジ(39mg) |
野菜 | 赤パプリカ(170mg)、ブロッコリー(120mg)、菜の花(130mg) キャベツ(41mg)、ほうれん草(20mg) |
いも | じゃがいも(28mg)、さつまいも(25mg) |
ビタミンCは水に溶けやすいうえ、熱にも弱いため3分以上茹でるとビタミンC量が半減してしまいます。水にさらした後も早めに水気を切りましょう。
効率的に摂取するためには、生で食べる、蒸し調理や電子レンジを使用した加熱方法がおすすめです。ビタミンCの損失を抑えることができます。また、スープにすることで汁に溶けだしたビタミンCを余すことなく摂取することができます。
加熱に弱い特徴はありますが、いも類はでんぷん質によりビタミンCが守られているため、加熱しても損失は少ないとされています。また、購入後は時間が経つにつれておいしさも栄養分も減少します。
新鮮な旬の野菜や果物を手早く調理していただくことがポイントです。
管理栄養士からのポイント
ビタミンCの働きを最大限に活かすポイントを3つご紹介します。
健やかな身体づくりのために、ぜひお役立て下さい。
毎食取り入れる
1度摂取したビタミンCは体内で持続的に働くわけではありません。摂取1.5~3時間後に血液中のビタミンC濃度が高くなるものの、6時間後には元に戻ってしまいます。そのため、こまめに補給することが大切になってきます。毎食野菜や果物を取り入れるようにし、ビタミンCの継続的な摂取を心がけましょう。
ビタミンCは季節によって含有量が異なる
旬の食材はおいしさだけでなく、含まれる栄養素も豊富です。
春から初夏にかけてスーパーに並ぶ新じゃがは収穫後すぐに出荷されるため、通常のじゃがいもよりビタミンCが約4倍も多く含まれています。また、ほうれん草も旬を迎える冬の時期には夏場より約3倍も多く含まれています。
このようにビタミンCを効率的に摂取するためには、旬の食材を選択して摂取することがビタミンC充足への近道です。
バランスの良い食事と栄養補助食品・市販薬
ビタミンCは野菜や果物に多く含まれています。
仕事などで忙しさのあまり、ラーメンだけ、パンだけの炭水化物中心の食事で済ませてしまうとビタミンCの不足に繋がります。そのような時は、サラダや皮を剥く必要のないカットフルーツなど手軽に食べられるものをプラスしてバランスの整った食事をするように心がけましょう。
それでもビタミンCが不足気味で食事からの摂取が難しい方には、栄養補助食品や市販薬の活用も方法のひとつです。
活用の際は使用量を守ること、他に服用している薬がある場合は相互作用や阻害の可能性がないか確認するようにしましょう。
また、食事から糖質(ご飯や麺など)・脂質(油やバターなど)・たんぱく質(肉や魚など)・ビタミン(野菜・果物)がしっかり摂れている状態で栄養補助食品の働きは発揮されます。
バランスの良い3食の食事を基本とし、食事で補えない部分は栄養補助食品や市販薬を上手に取り入れることが大切です。
まとめ
ビタミンCは、肌の調子を整える、疲労回復の促進や免疫力の強化など体の機能を正常に保つために必要な栄養素です。また、ビタミンCは鉄の吸収率をアップさせる働きがあります。
水に溶けやすく熱に弱い性質のため、野菜や果物を食べる際は生食や最小限の加熱が効率的に摂取するためのポイントです。
肌や貧血のサポートに欠かせないビタミンC。手軽に摂ることができますので、継続的に毎日の食事に取り入れていきましょう。
参考資料 【最終観覧日:全て2021年6月11日】
・ビタミンCの働きと摂取目安量、多く含む食品を紹介|森永製菓
・ビタミンCの働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
・厚生労働省eJIM | ビタミンC | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 一般の方へ
・ビタミンCの真実 (vit-c.jp)|東京都健康長寿医療センター研究所
・日本人の食事摂取基準(2020 年版)の概要|学建書院
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Miho Yamada
給食委託会社や特別養護老人ホームに在職し、13年間給食管理や栄養ケアマネジメントに携わる。
現在はフリーランスとして活動中。
経歴を活かしコラム執筆をはじめ、レシピ開発、献立作成等を通じて食の大切さを伝えている。
Mizuki Ochiai
一般皮膚科・美容皮膚科勤務6年目 / 医師事務作業補助者 / 医療事務
現役皮膚科スタッフとしてお肌のトラブルや食物アレルギーなどを中心に管理栄養士の視点からわかりやすく有益な情報を発信していきます!