鼻炎薬は鼻みずやくしゃみなどの鼻症状を改善してくれる一方、眠気などの副作用が生じます。
そんな鼻炎薬の中でもアレグラ®FXは眠気を生じにくい市販薬として有名ですが、アレグラ®FXと同じ有効成分を配合した「アレルビ」という商品をご存知でしょうか。
今回は、同じ有効成分を持つアレグラ®FXとアレルビの違いについて紹介していきます。
市販薬「アレルビ」とは
アレルビとは皇漢堂製薬株式会社が製造販売する有効成分フェキソフェナジン塩酸塩を配合したアレルギー専用鼻炎薬です。医薬品分類は第2類医薬品に該当します。
では、アレルビの有効成分や効果などもう少し詳しく見ていきましょう。
有効成分はフェキソフェナジン
フェキソフェナジン塩酸塩(以下、フェキソフェナジン)は2000年に日本国内で医療用医薬品として承認されたアレルギー性疾患治療剤です(商品名:アレグラ®)。
その後、2012年にスイッチOTC化されドラッグストアで購入できるようになりました。
フェキソフェナジンは、アレルギーの原因物質であるヒスタミンの働きを抑制するだけでなく、細胞からのヒスタミンの遊離を抑制する働きがあります。
そのほかにも、抗炎症作用により花粉やハウスダストによるくしゃみや鼻みずなどのアレルギー症状を改善します。
効能効果
一般用医薬品であるアレルビは、花粉、ハウスダスト(室内塵)などによるくしゃみ・鼻みず・鼻づまりといった鼻のアレルギー症状の緩和に対して効果があります。
一方、フェキソフェナジンを医療用医薬品として服用する場合、アレルギー性鼻炎以外にもじんましんや皮膚疾患に伴うそう痒(かゆみ)に対して使用します。
副作用
アレルビを服用すると、アナフィラキシーショック・肝機能障害・無顆粒球症などの重篤な症状が稀に起こることがあります。また、口のかわき・便秘・下痢・眠気などの症状が出る可能性もあります。
使用上の注意点
花粉など季節性のアレルギー性鼻炎による症状に使用する場合は、花粉飛散期に入って症状が出始めたら早めに服用を開始しましょう。また、継続して服用することで効果が得られます。
もし1週間服用しても効果が感じられない場合は、医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。
アレルビとアレグラ®FXの違いを解説
アレルビとアレグラ®FXにはどのような違いがあるのでしょうか。
製造会社
アレルビは皇漢堂製薬株式会社が製造販売をしています。一方で、アレグラ®FXの製造販売元はサノフィ株式会社で、発売元は久光製薬株式会社です。
有効成分
アレルビとアレグラ®FXはいずれも有効成分フェキソフェナジン塩酸塩60mg(1錠中)を配合しています。
効能効果
一般用医薬品のアレルビやアレグラ®FXの場合、有効成分であるフェキソフェナジン塩酸塩に対して効能効果が定められています。
したがって、アレルビとアレグラ®FXの効能効果は同じです。花粉、ハウスダストなどによるくしゃみ・鼻みず・鼻づまりを緩和することができます。
価格
アレルビとアレグラ®FXのメーカー希望小売価格はいずれも14錠包装で税別1,314円、28錠包装で税別1,886円と同価格となっています。
しかし、56錠包装はアレルビが税別2,850円、アレグラ®FXが税別3,500円とアレルビの方が650円安くなっています。またアレルビのみ84錠包装が発売されています。(2021年1月時点)
服用方法
アレルビとアレグラ®FXいずれも服用方法は同じです。1日2回、1回1錠で服用します。1日2回のタイミングは朝、夕に水またはお湯で服用します。また空腹時に服用することも可能です。
なぜアレルビの価格は安い?
アレルビは同じフェキソフェナジンを有効成分とするOTC医薬品と比べ、広告宣伝費がかかっていません※。また、製造販売元である皇漢堂製薬は「品質の良い商品を安く販売すること」を企業理念として掲げています※。
これらのことから、ドラッグストアやECサイトで販売しているアレルビの市場価格が安くなっています。※メーカー確認済(2021年1月)
アレルビの効果の強さは?
市販の花粉症治療薬は数多くあり、アレルビが他の薬と比べて効果が高いのか気になる方も多いでしょう。「この薬が効果があります」と伝えることができれば良いですが、どの薬が最も効果的かを示すデータは現時点ではありません。(2023.2時点)
また、「市販薬は医療用医薬品に比べて弱いのでは?」と考えられる方もいますが、アレルビの成分である『フェキソフェナジン』をはじめ、ロラタジンやエピナスチンなど医療用医薬品と同様の成分が市販薬でも使用されています。
結論、どちらの点においても強さの比較はできず、ご自身に合う薬を選ぶことが重要となります。選ぶポイントとしては『眠気』『服用回数』などに着目してみてください。
アレルビはどこで売ってる?
アレルビは第2類医薬品に分類されるため、薬局やドラッグストア、インターネットでの購入が可能です。また、登録販売者による販売も可能であるため、気になることがありましたら、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
薬剤師からのポイント
眠気の少ない鼻炎薬を求める方におすすめ
鼻炎薬を服用後に気になるのが「眠気」の心配です。アレルビの有効成分であるフェキソフェナジンは抗ヒスタミン作用を持つ成分で、第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれています。
抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代に分かれていますが、第二世代は第一世代よりも中枢へ移行しにくいため眠気がでにくいことが特徴です。
したがって、アレルビは仕事や勉強中に眠気が出ては困る方や眠気の出にくい鼻炎薬をお探しの方におすすめです。
車の運転をする方でも服用できる
アレルビは車などの乗り物、機械類の運転操作をする方でも服用することができます。多くの鼻炎薬は、『してはいけないこと』の欄に「服用後、乗り物又は機械等の運転操作をしないでください」と記載されています。
ただ、有効成分に『フェキソフェナジン』を配合しているアレルビの説明書にはこの文言が記載されていません。
そのため、車などの乗り物、機械類の運転操作をする方でも服用することができます。
ただし注意としては、鼻炎薬を服用していなくても、アレルギー性鼻炎の時期は就寝時、鼻がつまって睡眠の質が低下してしまうことで、日中眠気が出てしまう場合があるので、アレルビを服用後も運転操作自体は注意して行いましょう。
さいごに
アレルビとアレグラ®FXはいずれもフェキソフェナジン塩酸塩を有効成分とするアレルギー性鼻炎用薬です。アレグラ®FXを既に服用した経験がある方は、アレルビとどちらが服用しやすいか試してみてはいかがでしょうか。
まだフェキソフェナジンを有効成分とする市販薬を服用したことがない方は、市場価格が安く、購入しやすいアレルビから試してみるのもと良いでしょう。
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アレルビに関するQ&A
Q.何歳から服用できますか?
A.15歳から服用できます。
Q.服用できない人はいますか?
A.本剤または本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある方は服用できません。
Q.誰でも服用できる?(妊娠中・授乳中も含めて)
A.下記に当てはまる方はお近くの医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。
- 医師の治療を受けている方
- アレルギー性鼻炎か、かぜ等他の原因によるものかわからない方
- 気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎等の他のアレルギー疾患の診断を受けたことがある方
- 鼻づまりの症状が強い方
- 妊婦または妊娠していると思われる方
- 高齢者の方
- 薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある方
また、授乳中の方は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けてください。
Q.飲み忘れたけど、気付いた時に飲んでもいいの?
A.次の服用まで6~8時間間隔を空けられるようであれば気づいたときに服用していただいて構いません。次の服用まで6時間未満の場合、飲み忘れた分は服用せず、次の服用まで待ちましょう。また一度に2錠をまとめて服用することは避けてください。
Q.薬剤師や登録販売者による販売が必要?
A.登録販売者がいれば購入できます。アレルビは第2類医薬品※です。薬剤師が不在でも、登録販売者のいるドラッグストアなどで購入できます。 ※2020年1月時点
Q.ECサイトなどネットで購入することはできる?
A.通販サイトなどで購入できます。
参考資料
・鼻炎薬 製品情報|皇漢堂製薬
・アレルギー専用鼻炎薬 アレグラFX|久光製薬株式会社
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。