『ロキソニン』というお薬をご存知でしょうか。一度は頭痛や生理痛に対して服用したことがある方も多いと思います。しかし、安易に飲み過ぎることで副作用の影響を受ける恐れもあるので注意が必要です。今回はロキソニンを継続して服用することによる影響とその副作用について紹介していきます。
ロキソニンとは
『ロキソニン』は1986年に現在の第一三共株式会社から医療用医薬品として発売された比較的歴史のある解熱鎮痛剤です。現在は医療用医薬品のみならず、第一類医薬品として医師の処方箋が無くてもドラックストアや薬局などで購入することができます。
気軽に『ロキソニン』を使用できるようになった一方で、『ロキソニン』をはじめとする解熱鎮痛剤にはいくつかの副作用が報告されています。今回は『ロキソニン』の副作用について解説するとともに、副作用を起こさないために心がけることについて詳しく解説します。
ロキソニンの飲みすぎによる影響
どんなお薬にも必ずリスクが伴います。『ロキソニン』をはじめとする一部の解熱鎮痛剤では、副作用として胃障害や腎障害などが報告されており、長期にわたりお薬を服用する場合には注意が必要です。
胃への負担
『ロキソニン』は体の中に吸収されたあと『プロスタグランジン』という物質の生成を抑制します。『プロスタグランジン』は発熱や痛みの原因になることから、『プロスタグランジン』の生成を抑制することで、『ロキソニン』は主作用である解熱鎮痛効果を発揮します。
しかしながら『プロスタグランジン』は胃や腎臓にも存在しており、それぞれの臓器を守るという重要な役割を担っています。
胃では『プロスタグランジン』が胃粘膜細胞保護、粘液分泌、アルカリ化などの働きを担っています。『ロキソニン』によって『プロスタグランジン』の生成が抑制されると、上記の役割を果たせなくなり、胃酸によって胃が荒れてしまうことがあります。
腎臓への負担
『プロスタグランジン』は腎臓においても生成され、腎臓にある血管を拡張させるという役割を担っています。『ロキソニン』によって『プロスタグランジン』の生成が抑制されると、腎臓の血管が収縮し、腎臓のろ過機能が十分に働かなくなってしまう場合があります。
特に高齢の慢性腎臓病患者に『ロキソニン』を漫然投与すると、薬剤性腎障害が起こりやすくなると報告されており、注意が必要です。
※飲みすぎないことが重要です。
その他
『ロキソニン』はあくまで痛みを抑えるだけで、痛みの原因を取り去ってくれるわけではありません。痛みが長く続く場合、痛みの原因が明らかでない場合には病院やクリニックを受診することをお勧めします。
ロキソニンを正しく飲むために
4時間程度は間隔をあけるように
『ロキソニン』を1日に何度か服用する場合には、前回の服用から4時間は空けるようにしましょう。『ロキソニン』は服用してから4-6時間は体内に残り、薬の効果を発揮しています。服用間隔を短くすると体内の『ロキソニン』濃度が上昇し、副作用リスクも上がることが考えられます。
なるべく空腹時は避けましょう
『ロキソニン』には先に説明した胃障害の副作用があるため、なるべく空腹時を避けて服用することをおすすめします。空腹時の服用を避けられないときには、クッキーなどの軽食をとってから服用することをおすすめします。
多めの水分で服用をしましょう
『ロキソニン』に限らず、錠剤やカプセル剤はコップ1杯の水かぬるま湯で服用してください。十分な水があると、お薬が水に溶けて体に吸収されやすくなります。また、水が少ないとお薬が食道や胃などにくっついてしまい、炎症などを引き起こすリスクがあります。
まとめ
今回はドラックストアなどで購入可能な『ロキソニン』について、薬の効果、副作用および副作用を起こさないために必要な服用方法について詳しく解説しました。『ロキソニン』は手に入れやすく、とても便利なお薬ですが、お薬の使用には必ずリスクが伴います。漫然と服用するのではなく、必要なタイミングで使用するように心がけましょう。
ご自身のお薬をよく理解し、正しくお使いください。
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参考資料
・ロキソニンS 説明文書
・平田 純生、門脇 大介、成田 勇樹|Drug-induced kidney injury by non-steroidal anti-inflammatory drugs:
Do COX-2 selective inhibitors and acetaminophen induce kidney injury?|日腎会誌 2016;58(7):1059‒1063.
・日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム錠 添付文書
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Ryo Omura
医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
理念
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Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。