アレルギー性鼻炎は一年を通して症状が安定せず、多くの方が悩みを抱えています。市販薬で症状を抑えたいが、種類が多くどの薬にどのような特徴があるのか把握できずパッケージやCMの情報だけで購入される方もいるのではないでしょうか。
今回はアレルギー専用鼻炎薬『アレジオン®20』について効果や特徴、アレグラ®FXとの違いやおすすめの方、注意点などについて解説します。
アレジオン®20とは
アレジオン®20はハウスダストや花粉などが原因で起こるアレルギー性のくしゃみ・鼻みず・鼻づまりに対して効果のある『エピナスチン塩酸塩』が配合されたエスエス製薬が販売するアレルギー専用鼻炎薬です。
有効成分の『エピナスチン塩酸塩』は病院で処方される医療用医薬品としても使用されています。今回ご紹介するアレジオン®20は医療用と同じ有効成分を同じ濃度で配合し、市販薬として薬局やドラッグストアなどで購入することができます。
このように医療用医薬品の成分が市販薬として販売が可能となったものを『スイッチOTC』と呼びます。またアレジオン®20は第2類医薬品※でセルフメディケーション税制対象商品でもあります。※2021.01現在
セルフメディケーション税制とは健康診断や予防接種などを受けている人で、セルフメディケーション税制対象の市販薬を家族の購入分含め、年間に¥12,000円を超えて購入した人が確定申告をすることで、所得控除を受けられる仕組みです。
では有効成分のエピナスチン塩酸塩について詳しく見ていきましょう。
エピナスチン塩酸塩はどのような作用があるか
エピナスチン塩酸塩は第2世代抗ヒスタミン薬です。抗アレルギー・抗ヒスタミン・抗炎症の3つの作用でくしゃみ・鼻みず・鼻づまりを抑えます。これら3つそれぞれの働きについて詳しく見ていきましょう。
抗アレルギー作用
花粉やハウスダストを始めとした、アレルギーを持つ特定の物質(アレルゲン)が身体の中に侵入してくると、ヒスタミンなどのアレルギー誘発物質が放出されます。この物質が受容体に結合することによって鼻ではくしゃみ・鼻みず・鼻づまりが引き起こされます。
エピナスチン塩酸塩は抗アレルギー作用によって肥満細胞からのアレルギー誘発物質の放出を抑えることで、これらの諸症状を抑えます。
抗ヒスタミン作用
アレルギー誘発物質の一つであるヒスタミンはヒスタミン受容体に結合することで、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりなどの鼻炎症状を引き起こします。抗ヒスタミン作用とはヒスタミン受容体にフタをしてヒスタミンが受容体に結合できないようにする作用です。これにより鼻炎症状を抑えます。
抗炎症作用
鼻炎は鼻の粘膜が炎症を起こし腫れた状態で、これにより鼻みずや鼻づまりが起こります。エピナスチン塩酸塩はこの抗炎症作用により鼻の粘膜の炎症を抑え、鼻みずや鼻づまり症状の改善をします。
アレジオン®20の特徴
眠くなりにくい
鼻炎薬の副作用として有名な眠気は抗ヒスタミン薬が脳内に入ることで起こります。アレジオン®20は第2世代抗ヒスタミン薬と呼ばれ、薬が脳内に入りにくいため、眠くなりにくいのが特徴です。したがって仕事や勉強などで、眠くなりにくい鼻炎薬をお探しの方におすすめです。
インペアードパフォーマンスを起こしにくい
鼻炎薬の服用によって眠気以外にも知らず知らずのうちに集中力や判断力、作業能率が低下する「気づきにくい能力ダウン(インペアード・パフォーマンス)」という症状があります。
しかしアレジオン®20は上記で説明したように、薬が脳内へ入りにくいという特徴からインペアードパフォーマンスが起こりにくいと言われています。仕事や勉強などでも集中力・判断力を維持したい方におすすめです。
1日1回の服用
アレジオン®20は1日1回の服用で24時間効果を発揮します。寝る前に1回1錠の服用で朝から効果を発揮し日中の鼻炎症状を抑えます。また1日1回寝る前に服用すれば良いので、鼻炎薬を外出先に携帯する必要がなく、飲み忘れもしにくいです。
アレグラ®FXとの違いは?
アレグラ®FXは有効成分フェキソフェナジン塩酸塩を配合した第2世代の抗ヒスタミン薬です。市販薬のアレグラ®FXはCMなどに有名タレントを起用しており、アレルギー専用鼻炎薬の中でも認知度のある商品です。
アレグラ®FXとアレジオン®20はともに第2世代の抗ヒスタミン薬であり、個人差はありますが効果や眠気、口渇などの副作用などにさほど差はありません。
大きな違いとしては服用回数がアレグラ®FXが1日2回に対して、アレジオン®20は1日1回であることです。そのため外出が多い方や多忙で飲むのを忘れそうな方などは1日1回で服用できるアレジオン®20がおすすめです。ご自身の性格や生活スタイルに合わせて薬を選んでみましょう。
他の花粉症治療薬との強さの違い
アレグラ®FX以外にも市販の花粉症治療薬は数多くあり、アレジオン®20が他の薬と比べて効果が高いのか気になる方も多いでしょう。「この薬が効果があります」と伝えることができれば良いですが、どの薬が最も効果的かを示すデータは現時点ではありません。(2023.2時点)
また、「市販薬は医療用医薬品に比べて弱いのでは?」と考えられる方もいますが、アレジオン®20の成分である『エピナスチン』をはじめ、ロラタジンやフェキソフェナジンなど医療用医薬品と同様の成分が市販薬でも使用されています。
結論、どちらの点においても強さの比較はできず、上記で述べたようにご自身に合う薬を選ぶことが重要となります。選ぶポイントとしては『眠気』『服用回数』などに着目してみてください。
アレジオン®20を服用できない方
•アレジオン®20、またはエピナスチン塩酸塩によってアレルギー症状を起こしたことがある方
•15歳未満の小児
•肝臓病の診断を受けた方
上記のいずれかに当てはまる場合、服用はしないでください。
アレジオン20は朝飲んでも良い?
アレジオン20の飲み方は「就寝前」とお薬説明書に記載されています。これは、販売元であるエスエス製薬が以下の点から設定しています。
・使用者がいつ服用すればよいか混乱しないため
・就寝前の服用で効果が確認されているため
・就寝前の服用が最も飲み忘れが少ないという調査結果があったため
引用元:https://www.ssp.co.jp/alesion/products/faq/
よくある質問|Q.なぜ就寝前の服用となっているのですか? より
アレジオン20を使用する場合はお薬の説明書通り「就寝前」に服用するようにしましょう。もし、朝方に服用したい場合は他の花粉症治療薬の使用を検討してみてください。
薬剤師からのポイント
アレジオン®20は医療用医薬品と同じ成分を同じ濃度で配合しています。もし、効果があまり感じられない場合でも決められた用量以上の服用はできませんので注意しましょう。
1週間位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医療機関を受診するようにしてください。受診した際は医師や薬剤師にアレジオン®20を内服していたことを伝えましょう。
また、眠気の感じやすさには個人差があります。必ずしも眠気が現れないわけではないので注意して服用しましょう。
さいごに
医療用医薬品と同じ成分を同じ濃度で配合したアレジオン®20は3つの作用で鼻炎症状を抑えます。また、1日1回のシンプルな飲み方で24時間効果が持続する薬です。眠気や集中力の低下などの副作用も少ないため、服用を忘れがちな方や眠気を避けたい方は一度試してみてはいかがでしょうか。
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アレジオン®20に関するQ&A
Q.何歳から服用できますか?
A.15歳から服用できます。
Q.飲んでどのくらいで効きはじめますか?
A.個人差はありますが、服用後30分ほどで効果が出始めます。
Q.誰でも服用できる?(妊娠中・授乳中も含めて)
A.下記に当てはまる方はお近くの医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。
- 医師の治療を受けている方
- アレルギー性鼻炎か、かぜ等他の原因によるものかわからない方
- 気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎等の他のアレルギー疾患の診断を受けたことがある方
- 鼻づまりの症状が強い方
- 妊婦または妊娠していると思われる方(産婦人科の主治医にご相談ください)
- 高齢者の方
- 薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある方
また、授乳中の方は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けてください。
Q.飲み忘れたけど、気付いた時に飲んでもいいの?
A.次回服用の時間が近い場合は服用しないでください。また飲み忘れたからといって1度に2回分の服用はしないでください。
Q.目薬や点鼻薬と一緒に使ってもよいか?
A.アレルギー用薬の目薬や点鼻薬との併用は可能です。しかし、併用する商品によっては眠気等が強く現れることも考えられますので、薬剤師、登録販売者に相談してください。
Q.薬剤師や登録販売者による販売が必要?
A.登録販売者がいれば購入できます。アレジオン®20は第2類医薬品※です。
薬剤師が不在でも、登録販売者のいるドラッグストアなどで購入できます。 ※2020年1月時点
Q.ECサイトなどネットで購入することはできる?
A.通販サイトなどで購入できます。
参考資料
・エスエス製薬:アレジオン20ホームページ
・日薬理誌(Folia Pharmacol Jpn) 125,265~270(2005)
・アレルギー専用鼻炎薬 アレグラFX|久光製薬株式会社 (allegra.jp)
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。