【薬剤師解説】市販薬の分類について知ろう!ポイントを解説

ドラッグストアや薬局で購入することができる市販薬に分類があるのをご存知でしょうか?分類によって購入方法が異なります。身体がだるい時に薬が飲めないと辛いですよね。せっかく買いに出たのに買えなかった!など店頭で困らないためにも市販薬の分類について学んでいきましょう。

市販薬について

まずはOTC医薬品とは何でしょうか。OTC医薬品とはドラッグストアや薬局、薬店などで処方せん無しで買える医薬品のことです。以前は大衆薬や市販薬と呼ばれていましたが、OTC医薬品と呼称が変更しています。一方、病院などで処方せんに基づいて渡される薬を医療用医薬品といいます。

市販薬の分類を知ろう

要指導医薬品と一般用医薬品

OTC医薬品は要指導医薬品一般用医薬品の2つに分類されます。

一般用医薬品の場合、さらに第1類医薬品、指定第2類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品の4つに分類されます。これらの分類は副作用などのリスクや取り扱う注意の度合いにより決められているおり、それぞれで販売時のルールが異なります。

販売時のルールは何が違うの?

大きく異なるのは「誰が対応するか」です。OTC医薬品を販売できるのは薬剤師と登録販売者ですが、登録販売者の場合、販売できる範囲が限られています。以下の表にまとめました。

OTC医薬品分類 ※第2類医薬品には指定第2類も含む(2021.4月時点)

OTC医薬品の中で要指導医薬品と第1類医薬品は「薬剤師のみ」販売できます。副作用など十分注意が必要となるため、国家資格を持った薬剤師が販売することと定められています。他にもインターネットや郵便での販売に関しては要指導医薬品のみ不可となっているので覚えておきましょう。

なぜ要指導医薬品だけカテゴリーが違うの?

ご覧の通り、他の医薬品と比べて要指導医薬品は厳重に取り扱われていますよね。危ない薬と思うかもしれませんがそうではありません。これから解説していきます。

元々は医療用医薬品(注

要指導医薬品は、病院で処方される医療用医薬品からOTC医薬品に転用されたばかりの薬です。そのため、まだ取扱いには十分注意が必要です。より安全に使用できるよう薬剤師による情報提供が義務付けられており、登録販売者では販売できないようになっています。

(注 プレフェミン®を除く。プレフェミン®は欧州にて長年にわたり一般用医薬品として販売実績を有しており、それをもとに日本では2014年に医療用医薬品の承認を経ずにOTC医薬品として承認を得たダイレクトOTC医薬品)

安全性について

要指導医薬品は、医療用医薬品としての有効性と安全性がある程度認められた薬がOTC医薬品へ転用されています。しかし、薬剤師の指導をしっかり聞き、正しい用法用量を守りましょう。

原則3年過ぎると一般用医薬品へ

原則3年間は要指導医薬品として販売され、安全性などが確認されれば一般用医薬品へと変わります。また、適宜分類が切り替わるため、パッケージやサイトなどで確認してみましょう。

市販薬購入時の注意点

誰が対応するか確認しましょう

「要指導医薬品」と「第一類医薬品」は薬剤師しか販売できません。ドラッグストアなどは薬剤師が不在の時間帯もありますので、必ず確認しておきましょう。

本人しか買えない医薬品もある

要指導医薬品の購入は本人のみです。子どもに使用する市販薬を家族の方が代理で購入することはできません。

定期的に服用している薬がある

病院や医院から薬を処方されている方も中にはおられるでしょう。成分が重複している場合や飲み合わせのよくない場合があるので、購入前に薬剤師に相談することをおすすめします。

長く続く症状は医療機関の受診を

OTC医薬品はあくまで軽い症状を自分自身で管理する「セルフメディケーション」を目的としています。症状が長引くものに関しては早めに医療機関への受診をしましょう。

まとめ

OTC医薬品の分類について解説しました。分類を把握することで、店頭で購入できない失敗を防ぐことができます。また、OTC医薬品を適切に使用することは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義されるセルフメディケーションにつながります。必要な時は医療機関の受診を勧めますが、軽症の場合などは薬剤師や登録販売者の情報をもとに上手に活用していきましょう。

 

こちらの記事も読まれています

医療用医薬品とは

セルフメディケーションとは

市販薬を服用する上で気を付けてほしいこと

参考資料
・販売方法について:日本OTC医薬品協会 
・薬の分類と選び方:武田健康サイト 
・医療用医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品:中外製薬 
・セルフメディケーションとは:くすりと情報の健康局 
要指導医薬品の製造販売後調査等の実施方法に関するガイドライン 
薬事法第 36 条の5第2項の「正当な理由」等について 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Nobuhiro Nagao

病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。

一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。

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