蓄膿症に効くチクナインの効果は?飲み合わせや妊娠・授乳中の使用も解説

「黄色いドロドロとした鼻水が止まらない」
「鼻づまりや頭痛が出てきた」

それは蓄膿症のサインかもしれません。蓄膿症は市販薬で症状を改善することができます。

今回は薬剤師が蓄膿症に効くチクナインの効果や飲み合わせ、妊娠・授乳中の使用について解説します。

蓄膿症(副鼻腔炎)とは

蓄膿症とは古くから使用される俗称で、正しくは副鼻腔炎を指します。副鼻腔炎は細菌や風邪のウイルス、アレルギーなどにより、副鼻腔内に炎症が起こることで発症します。

副鼻腔は鼻の周囲にある空洞で、4種類の副鼻腔がそれぞれ左右にあります。副鼻腔は自然口と呼ばれる通り道で鼻の中とつながっており、副鼻腔から出る鼻水などの分泌物や異物は、この通り道を通って副鼻腔の外に出ていきます。

風邪(細菌感染やウイルス)やアレルギーがきっかけで鼻の中に炎症が起こると、鼻の粘膜が腫れたり、ドロドロとした鼻水が出てきたりします。この粘膜の腫れや鼻水によって副鼻腔と鼻の間にある自然口がふさがると、副鼻腔から異物や分泌物を排出できなくなり、鼻水や膿が溜まってしまい、これが副鼻腔炎になります。

副鼻腔炎になると、黄色い鼻水、鼻づまり、後鼻漏(鼻水がのどに落ちる)、頭痛、顔面痛、嗅覚障害(匂いがわからない)、せきなどの症状があらわれます。

チクナインの効果と特徴

今回ご紹介するチクナインは、漢方薬の辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)を配合した蓄膿症(副鼻腔炎)改善薬です。チクナインの効果や特徴をわかりやすく解説します。

9種の生薬が膿を出して、炎症を抑える

辛夷清肺湯には9種の生薬を組み合わせた漢方薬で、『菌の増殖』と『膿(うみ)』に着目したお薬です。

鼻の菌の繁殖が進むと、副鼻腔まで炎症が起こり、さらに悪化することで炎症部分に膿が発生します。

チクナインは9種の生薬の働きで菌の増殖を抑えながら、炎症をしずめ、膿(うみ)の排出をうながすことで、蓄膿症(副鼻腔炎)を改善します。

1日2回の服用で眠くなる成分は含まない

チクナインは1日2回(朝夕)の服用で効果があり、眠くなる成分も含まれないので、仕事や家事で忙しい方にも続けやすいお薬です。

錠剤と顆粒の2タイプ

漢方薬といえば『粉の薬』のイメージをもつ方も多いと思います。しかしチクナインは誰にでも飲みやすいように顆粒と錠剤の2タイプの商品が販売されています。

粉の薬が苦手な方は錠剤タイプ、粒が飲み込みにくいお子様やご年配の方は顆粒タイプといったように飲みやすさでタイプを選べるのはうれしいですね。

錠剤タイプは5歳から、顆粒タイプは2歳から服用できます。

チクナインの成分

チクナインは漢方薬の『辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)』を配合しており、9つの生薬から構成されています。各生薬のはたらきを以下に示します。

生薬はたらき配合量
シンイ鼻づまりを改善し1.5g
オウゴン炎症や熱感を抑え、化膿を止める1.5g
チモ炎症や熱感を抑え、化膿を止める1.5g
サンシシ炎症や熱感を抑え、化膿を止める0.75g
ショウマ炎症や熱感を抑え、化膿を止める0.75g
ビャクゴウ粘膜を潤して、鼻汁や痰の排泄を促す1.5g
バクモンドウ粘膜を潤して、鼻汁や痰の排泄を促す3.0g
ビワヨウ痰を潤して、切れやすくする0.5g
セッコウ炎症や熱感を抑え、化膿を止める3.0g

辛夷清肺湯は鼻の炎症を抑えて膿の排出を促すことで、蓄膿症の症状である黄色い鼻水や鼻づまり、頭痛などの症状を改善します。

チクナインの飲み合わせについて

チクナインは、他のお薬と併用しても問題ないのでしょうか?ここでは「頭痛薬と一緒に飲めるの?」「病院から処方された抗生物質と一緒にのめるの?」など、他のお薬との飲み合わせについて具体的な疑問を解消していきます。

チクナインとロキソニンの飲み合わせは?

チクナインとロキソニンは併用しても問題ないでしょう。蓄膿症の頭痛症状がひどく頭痛薬のロキソニンと一緒に服用したいと考える方もいらっしゃると思います。チクナインはロキソニンをはじめ、イブやバファリンなどの頭痛薬と併用しても問題ないでしょう。

チクナインと抗生物質の飲み合わせは?

すでに病院から処方されている抗生物質とチクナインを一緒に服用したいと考える方もいらっしゃると思います。チクナインと抗生物質は併用しても問題ないでしょう。

チクナインの飲み合わせで注意する薬は?

基本的には併用を禁止されている薬はありませんが、漢方薬と併用する際には注意が必要です。同じ生薬を使用している漢方薬を併用することにより、副作用のリスクが高まる可能性があります。

そのため、漢方薬と併用する際には同じ生薬が含まれていないかなど医師、薬剤師、登録販売者に相談しましょう。

チクナインは妊娠中でも服用できる?

妊娠中は身体が敏感な時期であるため、服用できるかどうか主治医に相談してみましょう。

チクナインには生薬の辛夷(シンイ)が配合されていますが、妊娠中は体力が充実しておらずこちらの辛夷は体力が充実している人向けの生薬のため注意が必要です。

チクナインは授乳中でも服用できる?

チクナインは授乳中でも服用できます。

蓄膿症(副鼻腔炎)で注意すべき症状

チクナインは蓄膿症を改善する効果があるお薬ですが、あくまで軽度の症状であり、重症化している場合には耳鼻咽喉科などで適切な治療を受ける必要があります。

医療機関への受診が必要な症状

  • 目がひどく痛む、目がかすむ、見えにくい
  • 38.5℃以上の発熱が続く
  • ひどい頭痛が続く
  • 鼻水が1週間以上続いている

このような症状があるときは副鼻腔炎が慢性化している可能性があります。慢性化すると薬での治療にも時間がかかり、場合によっては手術が必要なケースもあるため早めに医療機関に相談しましょう。

まとめ

チクナインは、蓄膿症(副鼻腔炎)による黄色い鼻水、鼻づまり、頭痛などに効き目のある漢方薬です。配合されている辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)が鼻の炎症を抑え、膿の排出を促すことで蓄膿症の症状を改善します。

また、チクナインと一緒にロキソニンなどの頭痛薬と併用可能です。

チクナインは、ツライ蓄膿症を改善する市販薬ですが、症状が慢性化しているときは早めに医療機関に相談して適切な治療を受けるようにしましょう。

参考文献

チクナイン(内服薬)の特徴/小林製薬
https://www.kobayashi.co.jp/brand/chikunain/about_tkn.html 

副鼻腔炎(蓄膿症)/淡海医療センター
https://www.seikoukai-sc.or.jp/omi-mc/departments/head/sinusitis 

副鼻腔炎(蓄膿症)・治りにくい慢性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)とは?/サノフィ株式会社
https://www.allergy-i.jp/hanadumari/sinusitis/about/ 

辛夷清肺湯/小林製薬の漢方・生薬
https://www.kobayashi-kampo.jp/kampo05/?_gl=1*egx3wi*_ga*MjEzODU3MjAzLjE2OTk2NjgyNTM.*_ga_PS6GZXMKMT*MTcwNjA3OTExMi4yNS4xLjE3MDYwNzkxMTIuNjAuMC4w 

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)/小太郎漢方製薬株式会社
https://www.kotaro.co.jp/kampo/explain/shini-exp/ 

妊婦への投与に注意が必要な漢方薬/福岡県薬剤師会
https://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/17.pdf 

長引く鼻水・鼻づまり 副鼻腔炎/大正製薬ダイレクトオンラインショップ
https://www.taisho-direct.jp/simages/contents/column/body/sinusitis/02.html 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Yosuke Fukuoka

薬剤師

【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。

Author profile

Nobuhiro Nagao

病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。

一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。

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