目薬をなんとなく使っていませんか?市販の目薬は、手に入れやすい分開封してからの使用期限がわからず、清潔な状態で使用できないこともあるかもしれません。目薬を正しく清潔に使うため、一度開封した目薬の使用期限や保管方法を知っておくのはとても大切なことです。今回は薬剤師が市販の目薬の開封後の使用期限と防腐剤の関係、また正しい保管方法を紹介します。
薬剤師からのポイント
期限は商品によって異なる
目薬の期限は、長持ちする成分かどうか、防腐剤が入っているかどうかなど、商品の特徴によって異なります。特に防腐剤の有無は開封してからの使用期限に大きく影響するため、チェックするようにしましょう。
開封した日を記録しておこう
開封してしばらく経つと、いつ開封したものか分からなくなってしまいます。トラブルを防ぐため、目薬の本体や袋に開封した日や使用期限の目安を記載しておくなど、開封日を忘れない工夫をしておきましょう。
市販の目薬の使用期限について
薬局やドラッグストアで売っている目薬には、必ず使用期限が記載されています。しかし、その期限は、未開封時のものです。一般的に開封後の目薬の使用期限は、医療用の目薬は1カ月、市販の目薬は3カ月程度とされています。症状が改善して余ったものは使用せず、捨てるようにすることをおすすめします。
目薬を暖房器具の近くや直射日光が当たる場所に保管していると、温度が上がりすぎて品質が落ちる可能性もあるため注意が必要です。また、目薬専用の袋が付属しているものは必ず入れて保管しましょう。遮光性のものが多く、紫外線の影響による品質劣化を防ぎます。
『防腐剤なし』だとさらに短い期限
防腐剤無添加の目薬の使用期限は、通常の目薬よりさらに短いとされています。例えば、人工涙液型点眼剤のソフトサンティアは、防腐剤無添加の目薬です。この目薬は、使用上の注意に『開栓後、約10日以上すぎた場合は使用しないでください。』との記載があります。防腐剤が無添加のためコンタクトレンズを使っている方でも安心して点眼することができますが、目やまぶた、まつ毛に触れてばい菌が繁殖しないよう、特に注意が必要になります。
防腐剤とは
防腐剤とは、目薬の中でばい菌が繁殖して不潔にならないよう添加されている成分です。
例えば、
などがあります。目薬を長持ちさせてくれる成分ですが、使いすぎると角膜を傷つけてしまう恐れもあります。特に塩化ベンザルコニウムは、コンタクトレンズに吸着して角膜上皮に障害を引き起こす可能性が高いため、注意が必要です。必ず注意書きを読み、用量用法を守って使うようにしましょう。
使用期限の切れた目薬はどのような状態?
使用期限の切れた目薬は、効果が落ちているだけではなく、ばい菌が繁殖して不潔な状態です。しばらく使っていなかったものは、濁った色をしていないか、浮遊物はないかなどの確認をしてください。
目薬を清潔に保つために
目薬を使用するときは、目薬の先端がまつ毛や目に触れないよう注意しましょう。触れた部分にばい菌が付き、繁殖して汚染されてしまいます。目薬と目の間を、最低でも5㎝以上開けると良いでしょう。ばい菌がつかないよう適切な使い方をしましょう。
まとめ
市販の目薬は、防腐剤が添加されているものは3カ月以内、防腐剤無添加のものは10日〜1,2カ月と商品によりさらに期限が短くなります。。また、まつ毛などに触れてばい菌が繁殖しないよう注意して使うことがポイントです。
目薬の使用期限を守って、正しくお薬を使っていきましょう。
この記事が皆さんのお薬選びのお役に立てると幸いです。
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参考資料
・Santen 製品紹介(目薬)ソフトサンティア
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/products/otc/soft_santear.jsp
・全日本民医連 くすりの話 薬の使用期限
https://www.min-iren.gr.jp/?p=29311
・ロート製薬 目薬に関するご質問
https://faq.rohto.com/faq_detail.html?id=2&category=3&page=1
・ワタナベ眼科 目薬について
http://www.jpncl.com/c25.htm
・西新宿さいとう眼科 点眼剤と防腐剤
https://www.nishishinjyuku-saito-ganka.com/archives/103/
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。