季節も冬に近づき、ドラッグストアには「乾燥対策」の商品がずらりと並びはじめました。保湿クリームの商品の1つに「ケラチナミン」がありますが、種類も多く「同じケラチナミンなのに何が違うの?」こういった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?今回は目的に合わせて、使い分けができる「ケラチナミン乳状液20とケラチナミン乳状液10の違いや効果」について解説します。
ケラチナミン乳状液とは?
ケラチナミン乳状液とは興和株式會社から発売されている、尿素を配合した乾燥性皮膚用薬です。商品に配合されている「尿素」が、角質層水分保持作用や角質軟化作用によって肌のうるおいとなめらかさを保つ働きが特徴です。
また「かゆみ止め」成分や「抗炎症」成分が配合されているので、乾燥からくる皮膚の「かゆみ」や「あれ」に対してもケアができる商品です。剤形は乳液タイプなので、クリームに比べ使用感はさっぱりしているのが特徴です。
ケラチナミン乳状液の効果
どちらも効能効果は同じで、かゆみを伴う乾燥性皮膚に効果があります。乾燥性皮膚とは簡単に表現すると「乾燥肌」のことを指します。具体的には皮膚のツッパリ感やカサつき(カサカサしたり、ピリピリする感じ)が現れたり、時には皮膚が白く粉を吹いたようになったり、かゆみを伴うこともあります。
特に乾燥肌の症状が出やすいのは、すね、肘、膝、手の甲、かかとです。また顔ではほほや目の周り、口の周り、唇などの部位が症状が出やすいです。
ケラチナミン乳状液20とケラチナミン乳状液10の共通点は?
尿素配合
ケラチナミン乳状液20とケラチナミン乳状液10には共に「尿素」が配合されています。尿素の働きには角質層水分保持作用と角質軟化作用があります。
サポート成分は同じ濃度で配合
ケラチナミン乳状液20とケラチナミン乳状液10には共にサポート成分として「ジフェンヒドラミン塩酸塩」が1.0%「グリチルレチン酸」が0.3%と共に同じ濃度で配合されています。
ジフェンヒドラミン塩酸塩は抗ヒスタミン作用により、かゆみの原因になるヒスタミンの働きを抑え、かゆみを抑えます。グリチルレチン酸は抗炎症作用により、かゆみの元になる炎症反応を抑えます。
無香料
ケラチナミン乳状液20とケラチナミン乳状液10は共に無香料の商品です。そのためシーンを選ばず、香りが苦手な方もお使いいただけます。
ケラチナミン乳状液20とケラチナミン乳状液10の違いは?
尿素の配合濃度
ケラチナミン乳状液20には尿素が「20%」ケラチナミン乳状液10には尿素が「10%」配合されています。尿素の%濃度の違いは角質軟化作用に影響します。尿素濃度が高いほど角質を柔らかくする働きは高くなるので、ケラチナミン乳状液20の方がケラチナミン乳状液10に比べ、硬く厚くガサついた皮膚を、やわらかくなめらかにすることができます。
使用年齢
ケラチナミン乳状液20は15歳以上の方が使用できます。ケラチナミン乳状液10は基本は2歳からの使用になります。ただし患部が広範囲の場合は3歳からの使用になります。※メーカー確認済み(2020/10)
容量
ケラチナミン乳状液20には容量が100gと200gの2種類あります。200gはポンプタイプの作りになります。ケラチナミン乳状液10は容量が100gの1種類のみになります。
ケラチナミン乳状液20とケラチナミン乳状液10の使い分けは?
ケラチナミン乳状液20は「ひじ」「ひざ」「かかと」など皮膚が硬く厚い場所に向く
ケラチナミン乳状液20には尿素が20%配合されています。そのため、皮膚が硬く厚くなりやすい「ひじ」「ひざ」「かかと」「くるぶし」をやわらかく、なめらかに保ちたい方に適しています。
ケラチナミン乳状液10は「手」「腕」「スネ」「背中」など広範囲の保湿に向く
ケラチナミン乳状液10には尿素が10%配合されています。そのため、皮膚をやわらかくする必要はなく、「手」「腕」「スネ」「背中」など広範囲を保湿したい方に適しています。
薬剤師からのポイント
「目的」「使用部位」で使い分けよう!
皮膚をやわらかくなめらかに保ちたい方はケラチナミン乳状液20が適してします。特に皮膚をやわらかくする必要はなく広範囲の保湿をしたい方はケラチナミン乳状液10が適してします。また皮膚が硬く厚くなった部位に使用する場合はケラチナミン乳状液20を選びましょう。
顔への使用は控えよう
尿素は人によって、お肌の刺激感(ピリピリ感、ヒリヒリ感など)を感じる方もいらっしゃいます。また顔は他の部位に比べ、皮膚が薄く、刺激を感じやすい為、顔への使用は控えましょう。
敏感肌の方は注意が必要
尿素の刺激性により、しみたり、症状が悪化する可能性があるので敏感肌やアトピー肌、きず、あかぎれなどには使用しないようにしましょう。
さいごに
ケラチナミン乳状液20とケラチナミン乳状液10を選ぶ際は、「目的」「使用部位」をはっきりさせることで、あなたのお悩みに合った商品を選ぶことができます。ただし、尿素配合商品は人によって刺激感(ピリピリ感)を感じる場合もあるので、その時は使用中止して医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。
参考資料
・ケラチナミンコーワ乳状液10・20/興和株式会社/Kowa
・ニプロ(「尿素」って何?)
・乾燥肌(ドライスキン)-第一三共ヘルスケア
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。