花粉症による鼻水、くしゃみ、鼻づまりに悩まされ、ドラッグストアや薬局で市販薬を購入する方も多いのではないでしょうか。市販の花粉症薬には内服薬、点眼薬、点鼻薬などがあります。今回は病院でも処方される、ステロイドを配合した点鼻薬について市販薬の有無や成分の特徴などを解説します。
薬剤師からのポイント
季節性アレルギーに対して使用ができる
市販のステロイド点鼻薬は季節性アレルギー専用の点鼻薬です。季節性アレルギーとは、いわゆる『花粉症』であり、花粉症による鼻水、くしゃみ、鼻づまりを改善します。一方チリやホコリなどのハウスダストが原因の通年性アレルギー症状には使用できないので注意しましょう。
眠気の心配が少ない
ステロイド点鼻薬には一般の点鼻薬に配合されている眠くなる成分は配合されていません。そのため、仕事や勉強に集中して取り組みたい方も眠気を気にせずに使用できます
使用期間を確認しよう
市販のステロイド点鼻薬は、1年間に3ヶ月までのの使用と決められています。また3ヶ月の期間は、市販のステロイド点鼻薬に限らず、病院などから処方されてたステロイド点鼻薬(医療用医薬品)の使用期間も合わせての期間になるため、過去に病院で点鼻薬を処方されていた方も注意が必要です。
黄色の鼻水には注意
頭や額、頬に痛みがあり黄色や緑色の鼻水が出るときは、感染性の副鼻腔炎の可能性があります。感染性の副鼻腔炎には、病院での抗菌薬の投与や去痰薬の投与など他の治療法が必要な場合があり注意が必要です。鼻水の有無だけでなく、鼻水の『色』や顔まわりに『痛み』がないか確認してみましょう。
市販のステロイド点鼻薬はある?
ステロイド点鼻薬は市販薬として存在します。そのため、ステロイド点鼻薬はドラッグストアや薬局などで購入できます。
販売されている商品とその成分
では実際にドラッグストアや薬局で購入できるステロイド点鼻薬を商品ごとに有効成分や特徴をまじえながら、紹介していきます。
ナザールAR
ナザールARは佐藤製薬から発売されているステロイド点鼻薬で、以下の2商品が発売されています。
【商品名】
・ナザールαAR0.1%
・ナザールαAR0.1%C(クールタイプ)
どちらも有効成分に『ベタメタゾンプロピオン酸エステル』を配合し、ステロイドの抗アレルギー作用や抗炎症作用によって、鼻水、鼻づまり、くしゃみを改善します。
また薬液自体に粘性をもたせることで、つらい患部にしっかり有効成分をとどめ効果を発揮しやすいよう工夫して作られている点もポイントです。
ナザールARは指定第2類医薬品に分類されるため、ドラッグストアをはじめ、ECサイト(インターネット)でも購入できます。
フルナーゼ
フルナーゼはグラクソ・スミス・クラインから発売されているステロイド点鼻薬です。
有効成分に『フルチカゾンプロピオン酸エステル』を配合し、ステロイドの抗アレルギー作用や抗炎症作用によって、鼻水、鼻づまり、くしゃみを改善します。
フルナーゼは要指導医薬品に分類されるため、薬剤師がいる店舗でなければ購入できません。また要指導医薬品は、点鼻薬を使用する本人のみが購入できるお薬のため、代理でフルナーゼを購入できないことも注意しましょう。
パブロン鼻炎アタックJL
パブロン鼻炎アタックJLは大正製薬から発売されているステロイド点鼻薬です。
有効成分に『ベタメタゾンプロピオン酸エステル』を配合し、ステロイドの抗アレルギー作用や抗炎症作用によって、鼻水、鼻づまり、くしゃみを改善します。
また薬液が患部でジェル化するため、液だれしにくい作りになっています。パブロン鼻炎アタックJLは指定第2類医薬品に分類されるため、ドラッグストアをはじめ、ECサイト(インターネット)でも購入できます。
アレルカットEX
アレルカットEXは第一三共ヘルスケアから発売されているステロイド点鼻薬です。
有効成分に『ベタメタゾンプロピオン酸エステル』を配合し、ステロイドの抗アレルギー作用や抗炎症作用によって、鼻水、鼻づまり、くしゃみを改善します。
添加物にl-メントールやハッカ油を加えることで、清涼感のある使用感です。
また薬液自体に粘性をもたせることで、つらい患部にしっかり有効成分をとどめ、効果を発揮しやすい作りになっています。
アレルカットEXは指定第2類医薬品に分類されるため、ドラッグストアをはじめ、ECサイト(インターネット)でも購入できます。
ステロイド点鼻薬の特徴
『ステロイド』と聞くと、「なんとなく怖い」「副作用が心配」などのイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
ステロイド点鼻薬は治療効果が高く、医療機関でも花粉症の第一選択薬として使用されているお薬です。特徴として、短期的な使用ではなく、定期的使用によって十分な治療効果が期待できるお薬です。
また今回ご紹介したステロイド点鼻薬に配合しているステロイドは『アンテドラッグステロイド』といい、患部では優れた効き目を発揮し、体内では分解されて低活性になる、薬の有効性と安全性を考えて開発されたステロイドを使用しています。
さらにステロイド点鼻薬には一般の点鼻薬のように、眠くなりやすい成分を配合していないので、お仕事や車の運転など眠気を心配される方にも使用しやすい点鼻薬です。
市販薬で対応する際の注意点
ここまで市販で購入できるステロイド点鼻薬の商品や特徴をお話してきましたが、使用する際にはいくつか注意点があります。以下の点を十分に確認してから、使用を開始しましょう。
症状を十分に確認すること
市販で購入できるステロイド点鼻薬は『季節性アレルギー』にしか使用できません。花粉症は季節性アレルギーに該当するため、使用可能です。一方でチリやホコリなどのハウスダストが原因の通年性アレルギー症状には使用できないので注意しましょう。
また、鼻水の色や他の症状がないかも十分に確認しましょう。頭や額、頬に痛みがあり黄色や緑色の鼻水が出るときは、感染性の副鼻腔炎の可能性があります。感染性の副鼻腔炎には、病院での抗菌薬の投与や去痰薬の投与など他の治療法が必要な場合があり注意が必要です。
使用期間を超えて使用しないこと
ステロイド点鼻薬は1年間のうちでの使用期間が重要です。長期間使用してしまうと鼻の乾燥感や違和感、鼻出血などが起こることがあるため、1年間に3ヶ月までと使用期間が決められています。また市販のステロイド点鼻薬に限らず、病院などで他のステロイド点鼻薬を使用した期間も3ヶ月に含まれるため注意が必要です。
子供は使用できない
市販のステロイド点鼻薬は基本的に18歳から使用できます。フルナーゼのみ15歳から使用できますが、いずれも子供は使用できませんので注意しましょう。
まとめ
市販のステロイド点鼻薬は鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの花粉症で起こるつらい症状に対して効果を発揮します。ステロイドの副作用も起こりにくく、眠くなりやすい成分も配合されていません。一般の点鼻薬で十分に効果を感じられなかったり、眠気を心配される方は試してみてはいかがでしょうか。
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参考資料
製品概要/眠くならない鼻炎薬ナザールαAR0.1%シリーズ(佐藤製薬)
https://www.stona.jp/nazal-ar/product/outline.html
製品情報/フルナーゼ
https://www.flunase.jp/feature/
パブロン鼻炎アタックJL<季節性アレルギー専用>/製品詳細/大正製薬製品カタログ
https://www.catalog-taisho.com/04572.php
エージーアレルカットEXc<季節性アレルギー専用>(詳細)/第一三共ヘルスケア
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/ag_allercut_exc/
通年性アレルギー-15.免疫の勉強-MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/15-免疫の病気/アレルギー反応およびその他の過敏性疾患/通年性アレルギー
季節性アレルギー-15.免疫の勉強-MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/15-免疫の病気/アレルギー反応およびその他の過敏性疾患/季節性アレルギー
アレルギー性鼻炎ガイド2021年版
https://allergyportal.jp/documents/bien_guide_2021.pdf
花粉症の点鼻薬・点眼薬。内服薬と併用してもいいの?/アレルラボ
https://brand.taisho.co.jp/allerlab/articles/042/
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
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