パイロンPLはロキソプロフェンと併用できる?効果や眠気、授乳中の対応も解説

市販の総合かぜ薬パイロンPLは、発熱やのどの痛みなどさまざまな風邪症状に効果がある一方、のどの痛みが治まらずにパイロンPLとロキソプロフェンの併用を考える方もいるのではないでしょうか。今回は薬剤師がパイロンPLの効果やロキソプロフェンとの併用、眠気、授乳中の対応について解説します。

パイロンPLの効果

パイロンPLはシオノギヘルスケアが販売する市販の総合かぜ薬です。

頭痛、発熱、寒気、のどの痛みなど風邪のさまざまな症状に効果があります。

風邪を引いた時に病院から『PL配合顆粒』を処方された経験がある方もいるのではないでしょうか。

パイロンPLはこのPL配合顆粒をベースに作られており、現在3種類の風邪薬が販売されています。商品ごとに成分や成分量が異なるため、ここからはそれぞれの商品の効果と特徴を見てみましょう。

パイロンPLの特徴

パイロンPLは以下の3種類の商品が販売されており、症状の経過や気になる症状によって商品が選べます。それぞれの商品の効果と特徴を知って、ご自身に合ったパイロンPLを選んでみましょう。

パイロンPL顆粒・パイロンPL錠

パイロンPL顆粒・パイロンPL錠は解熱鎮痛成分のアセトアミノフェン、サリチルアミド、鼻水や鼻づまりを抑えるプロメタジンメチレンジサリチル酸、痛みを抑えるはたらきを助ける無水カフェインの4成分を配合した風邪薬です。

かぜの9症状(のどの痛み、発熱、鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、悪寒、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)に効果があります。

一方、医療用のPL配合顆粒と比べると有効成分量が8割に抑えられているため、風邪の引き始めに早めに対処したい方に向いています。

パイロンPL顆粒Pro・パイロンPL錠Pro

パイロンPL顆粒・パイロンPL錠Proは解熱鎮痛成分のアセトアミノフェン、サリチルアミド、鼻水や鼻づまりを抑えるプロメタジンメチレンジサリチル酸、痛みを抑えるはたらきを助ける無水カフェインの4成分を配合した風邪薬です。

かぜの9症状(のどの痛み、発熱、鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、悪寒、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)に効果があります。

医療用のPL配合顆粒と同量の有効成分を配合しているため、医療用と同じものが欲しい方やツライ風邪症状に対処したい方に向いています。

パイロンPL錠ゴールド

パイロンPL錠ゴールドは解熱鎮痛成分のアセトアミノフェン、サリチルアミド、鼻水や鼻づまりを抑えるプロメタジンメチレンジサリチル酸、痛みを抑えるはたらきを助ける無水カフェインの4成分に咳止め成分のデキストロメトルファンと去痰成分のブロムヘキシンを配合した風邪薬です。

かぜの11症状(せき、たん、のどの痛み、発熱、鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、悪寒、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)に効果があります。

パイロンPL顆粒・錠に咳止め成分と去痰成分を追加した処方であるため、咳や痰の風邪症状に対処したい方に向いています。

成分まとめ表

成分(1日量)パイロンPL顆粒・錠
(3包中/6錠中)
パイロンPL Pro
(4包中/8錠中)
パイロンPL錠ゴールド
(6錠中)
アセトアミノフェン
(解熱鎮痛成分)
360mg600mg360mg
サリチルアミド
(解熱鎮痛成分)
648mg1,080mg648mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸
(鼻水・くしゃみ・鼻づまりを抑える成分)
32.4mg54mg32.4mg
無水カフェイン
(鎮痛補助成分)
144mg240mg144mg
デキストロメトルファン
(咳止め成分)
48mg
ブロムヘキシン
(去痰成分)
12mg

パイロンPLはロキソプロフェンと併用できる?

のどの痛みや発熱がつらく、パイロンPLとロキソプロフェンを併用できるか気になる方もいるのではないでしょうか。

残念ながらパイロンPLとロキソプロフェンは併用できません。ロキソプロフェンに配合されている成分のロキソプロフェンは解熱鎮痛成分であり、パイロンPLにも2種類の解熱鎮痛成分が配合されています。

パイロンPLとロキソプロフェンを併用してしまうと、解熱鎮痛成分が重複してしまい、胃腸障害のリスクが高まる恐れや肝臓、腎臓への負担が大きくなるため思わぬ副作用を招いてしまう可能性があります。

ロキソプロフェンを服用したい時は

ロキソプロフェンを服用したいときは、パイロンPLを服用してから4時間以上時間を空けてから服用しましょう。ロキソプロフェンを服用後にパイロンPLを服用したい時も同様に4時間以上時間を空けてから服用しましょう。

のどの痛みがつらい時は

のどの痛みがつらい時は、パイロンPLを服用しながら『アズレン』が配合されたトローチやのどスプレーを追加で使用してみましょう。

アズレンにはのどの痛みの原因となる炎症を抑えるはたらきがあるので、風邪でツライのどの痛みを緩和してくれるでしょう。

パイロンPLのよくある質問

ここではパイロンPLを服用するときによくある質問について解説します。

パイロンPLはコロナに使える?

パイロンPLはコロナでも使用できます。新型コロナウイルスへの対応は風邪を引いてしまったときと同様に対症療法が基本です。下記の『パイロンPLシリーズの選び方』を参考にご自身の症状にあった商品を選んでみましょう。

パイロンPLは眠気が出るの?

パイロンPLは服用後に眠気が出ることがあります。鼻水や鼻づまりを改善する成分プロメタジンメチレンジサリチル酸は抗ヒスタミン成分と呼ばれ、抗ヒスタミン成分には眠気を誘うはたらきがあります。

パイロンPL服用後は車の運転は控えるようにしましょう。

パイロンPLは授乳中に使える?

パイロンPLは授乳中でも服用できますが、服用前にかかりつけの医師に確認してみましょう。わずかな量ですが、パイロンPLに配合されているカフェインが母乳中に移行するといわれています。

パイロンPLシリーズの選び方

パイロンPLシリーズは症状の経過や気になる症状に合わせて商品を選ぶことができます。

ここではパイロンPLシリーズの選び方を解説します。

風邪の引き始め・軽い症状ならパイロンPL顆粒・錠

パイロンPL顆粒・錠は医療用のPL配合顆粒の8割処方であるため、風邪の引き始めや軽い症状に早めに対処したい方に向いています。

ツライ風邪症状・医療用と同じものならパイロンPL顆粒・錠Pro

パイロンPL顆粒・錠Proは医療用のPL配合顆粒と同量の有効成分を配合しているため、医療用と同じものが欲しい方やツライ風邪症状に対処したい方に向いています。

咳症状がある方はパイロンPL錠ゴールド

パイロンPLシリーズで唯一、咳止め成分と去痰成分が配合されているのがパイロンPL錠ゴールドであるため、ツライ咳や痰が気になる方に向いています。

まとめ

市販の総合かぜ薬であるパイロンPLは残念ながらロキソプロフェンとの併用はできません。しかしパイロンPLは3種類の商品が販売されているため、ご自身の気になる症状に合わせて正しく商品を選ぶことで、ツライ風邪症状を少しでも緩和できます。 またパイロンPLを服用してものどの痛みがつらいときにはアズレン配合のトローチやのどスプレーを追加してみるとよいでしょう。

参考文献

パイロンPLシリーズ/シオノギヘルスケア
https://www.shionogi-hc.co.jp/pylon-PL.html 

内服剤の正しい飲み方 上手なセルフメディケーション/OTC医薬品協会
https://www.jsmi.jp/book/naifuku.html 

パイロンPLシリーズのよくある質問
https://www.shop.shionogi-hc.co.jp/Product/XS0046.html?categoryId=medicine 

PL配合顆粒/添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1180107D1131_2_06/ 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Yosuke Fukuoka

薬剤師

【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。

Author profile

Nobuhiro Nagao

病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。

一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。

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