「抗生物質を飲み始めてからお腹の調子が悪くなった…」
「下痢が続いているけど、どうしたらいい?」
そんな悩みを抱えていませんか?抗生物質は細菌感染を治療するために必要な薬ですが、時には腸内環境を乱して下痢を引き起こすことがあります。
この記事では、抗生物質による下痢の原因やその対処法、そして予防策について詳しく解説します。
抗生物質による下痢の原因とは?
抗生物質は、感染症を引き起こす細菌を抑える効果がありますが、腸内の善玉菌も同時に攻撃してしまうことがあります。この善玉菌が減少することで、腸内バランスが崩れ、下痢が引き起こされるのです。
善玉菌と悪玉菌のバランスの崩れ
抗生物質は、腸内の悪玉菌を抑える一方で、腸内で健康を保つために重要な善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌など)も減らしてしまいます。その結果、腸内のバランスが崩れ、下痢を引き起こすことがあります。
クロストリジウム・ディフィシル感染症
抗生物質によって腸内細菌が減少すると、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)という病原菌が増殖する可能性があります。この菌が増えることで、抗生物質関連の下痢や重症化した腸炎(偽膜性大腸炎)を引き起こすことがあります。
抗生物質の種類による影響
抗生物質の種類によって、下痢を引き起こすリスクは異なります。特に、広域ペニシリン、第二、第三世代セファロスポリンをはじめとする広範囲に作用する抗生物質は、腸内の多くの細菌に影響を与えるため、下痢が起こりやすいと言われています。
抗生物質による下痢の主な症状
抗生物質による下痢は、通常、抗生物質を服用してから数日後に発症します。以下のような症状が現れることが多いです。
軽度の下痢
抗生物質服用中に起こる下痢の多くは、軽度で自然に治ることが多いです。便が水っぽくなる、1日に何度もトイレに行く必要があるなどの症状が見られます。
腹痛や腹部の不快感
下痢に伴って、腹痛や腹部の張り、違和感を感じることがあります。特に腸内のガスが増えて、お腹が張ることが多いです。
重症の場合
偽膜性大腸炎のような重症の下痢の場合、発熱や強い腹痛、血便などの症状が現れることがあります。こうした症状が見られた場合は、すぐに医師に相談してください。
抗生物質による下痢の予防方法
抗生物質を服用する際に、腸内環境を保つためにできる予防策をいくつか紹介します。これらの方法を取り入れることで、下痢のリスクを減らすことができます。
乳酸菌やビフィズス菌を摂取する
腸内の善玉菌をサポートするために、ヨーグルトや乳酸菌飲料、ビフィズス菌を含むサプリメントを積極的に摂取することが効果的です。これにより、腸内のバランスを整え、下痢の予防に繋がります。
食物繊維を摂取する
食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を良好に保つ役割があります。野菜や果物、全粒穀物など、食物繊維を多く含む食品を意識的に摂るようにしましょう。ただし、過剰に摂取してしまうと下痢を引き起こすことがあるので、注意してください。
水分補給をしっかり行う
下痢が起こると、体から多くの水分が失われます。脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給が必要です。水やスポーツドリンクを摂取し、電解質を補うことも大切です。
抗生物質の服用方法に注意する
抗生物質は、医師の指示に従い、正しい用法・用量を守って服用しましょう。自己判断で服用を中止したり、間違った量を飲むことは、病気の治りを遅らせてしまったり、下痢を悪化させる原因となることがあります。
下痢が発生した場合の対処法
抗生物質による下痢が発生した場合、3つの対処法を取り入れることで、症状を和らげましょう。
市販薬の使用
下痢止め薬は基本的には使用せず、「整腸剤」を服用しましょう。市販には乳酸菌やビフィズス菌が配合された整腸剤が多く販売されています。
食事に気をつける
下痢の時は、消化に良い食べ物を摂取しましょう。おかゆやスープ、柔らかい野菜など、胃腸に負担をかけない食事が効果的です。また、脂っこい食べ物や辛いもの、カフェインを含む飲み物は控えてください。
医師に相談する
下痢が長引く場合や、強い腹痛や発熱、血便がある場合は、すぐに医師に相談しましょう。偽膜性大腸炎を疑う場合、抗生物質の種類や量を調整する必要がある場合があります。
まとめ
抗生物質は感染症治療に欠かせない薬ですが、腸内環境を乱して下痢を引き起こすことがあります。腸内の善玉菌を守るために、乳酸菌の摂取や食事に気をつけることが大切です。
また、下痢が発生した場合は、適切なケアを行い、症状が悪化する前に医師に相談しましょう。抗生物質による下痢を防ぎながら、対処しましょう。
参考資料
A.患者の皆様へ 偽膜性大腸炎
NSTimes 3 月号 下痢を起こしやすい薬剤について
偽膜性大腸炎と診断されました。 どのような病気ですか?
偽膜性大腸炎 一般社団法人 日本救急医学会一般向けホームページ:用語委員会
腸内フローラのバランスは崩れやすい – 乳酸菌とおなかのこと
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
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