冬になると、多くの女性を悩ませる症状の1つに手荒れがあります。特に水仕事をする方は、一息ついた時に「この手のカサつきはなに!?」と驚くこともあるかと思います。
今回は乾燥して荒れてしまった肌にうるおいとなめらかさを取り戻す皮膚用薬であるライオン株式会社のフェルゼアHA20クリームについて、効果や配合されている尿素の働き、顔への使用等の注意点など解説します。
フェルゼアHA20クリームとは?
フェルゼアHA20クリームは「今日を愛するLION」のCMでおなじみのライオン株式会社から発売されている乾燥肌治療薬です。配合されている尿素は角質層水分保持作用や角質軟化作用を有しているため、肌のうるおいとなめらかさを保つ働きが特徴です。
また、抗炎症成分や血行促進成分も配合されているので、手指の荒れに対してもケアができる商品です。剤形はクリームタイプのため、使用感はしっとりしています。
フェルゼアHA20クリームの効果
フェルゼアHA20クリームは手指のあれ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、老人の乾皮症、さめ肌に効果があります。角化症やさめ肌はなじみの少ない言葉なので、下記で解説します。
角化症
角化症は皮膚の角質層(皮膚の一番外側の部分)が厚くなったり硬くなったりする病気のことです。多くの病気の中でも皮膚が硬くなる病気の総称として角化症と呼びます。
原因は遺伝的なものと外部の刺激によるものに大きく別れます。特に女性がイメージしやすいのが、かかとの角化症です。かかとがカチカチに厚く、硬くなり、夏などの露出が多い時期に相談が増えることが多いです。
さめ肌
さめ肌は皮膚の毛穴にブツブツとした発疹ができる病気で主に二の腕にできるのが特徴です。正式には毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)と呼ばれ、発疹は触るとザラザラとした感触ですが、痛みなどの自覚症状を伴うことはありません。二の腕以外にも太もも、肩、背中、おしりにできることもあります。
手荒れの原因は?
冬場の手荒れの原因はさまざまですが、大きな要因の1つに皮脂膜のバリア機能が関係しています。皮脂膜とはお肌の一番外側に存在し、外界からの刺激に対してお肌を守るバリアの働きをしています。この皮脂膜はお肌から分泌される皮脂と汗が混ざり合うことにより作られます。
しかし冬は気温が低く湿度も低いことから、肌自体が乾燥しやすく汗をかきにくいので、バリア機能を果たす皮脂膜が作られにくいです。また水仕事で使用する洗剤は、汚れだけでなくお肌に必要な皮脂膜まで取り除いてしまうため、冬は皮脂膜のバリア機能がかなり弱った状態です。
これらの原因により、お肌は水分を保つことができなくなったり、外界からの刺激を受けやすくなる為、手指は乾燥したり荒れてしまう、いわゆる手荒れの状態になります。
成分の特徴
尿素
フェルゼアHA20クリームには尿素が20%配合されています。主にお肌にうるおいとなめらかさを与える目的で配合されてます。尿素配合の保湿クリームでは尿素濃度が10%と20%のタイプに大きく分かれており、一般的には20%タイプの方がよりお肌をやわらかく、なめらかに保つことができます。また尿素には大きく2つの働きがあります。
角質層水分保持作用
簡単に表現すると保湿作用です。尿素には角質の水分をしっかりとつかまえて、お肌の乾燥を防ぐ働きがあります。そのため、お肌に尿素を塗ることで、お肌をみずみずしい状態に保つことができます。
角質軟化作用
フェルゼアHA20クリームに配合している尿素の働きで意外と知られていないのが角質軟化作用です。効能効果にある角化症とは皮膚の角質層が硬く厚くなり、お肌がガサつく状態です。尿素にはお肌の余分な角質を取り除き、お肌をやわらかく、なめらかにする働きがあります。
グリチルリチン酸二カリウム
フェルゼアHA20クリームにはグリチルリチン酸二カリウムが0.5%配合されています。抗炎症作用により、お肌の荒れの元になる炎症反応を抑えます。
トコフェロール酢酸エステル
フェルゼアHA20クリームにはトコフェロール酢酸エステルが0.5%配合されています。血行促進作用により、皮膚の生まれ変わりを助けます。
薬剤師からのポイント
手荒れの他に硬くガサついた、かかとにも使える
尿素には角質軟化作用がある為、角質が硬くガサついた、かかと、ひじ、ひざ、くるぶしを柔らかくなめらかにすることができます。つまりお肌の乾燥にはもちろん、気になるお肌のガサつきにもこれ1つでケアができます。
さいごに
フェルゼアHA20クリームは尿素20%、抗炎症成分、血行促進成分配合で、乾燥などからくる手荒れだけでなく、硬くガサついた皮膚をなめらかにできる商品です。
そのため、冬場のお肌の乾燥やガサついたお肌をなめらかにしたい方に適した商品です。ただし、尿素20%配合商品は人によって刺激感(ピリピリ感)を感じる場合もあるので、その時は中止して、低濃度の尿素10%を試してみてください。
フェルゼアHA20クリームに関するQ&A
Q.何歳から使用できますか?
A.フェルゼアHA20クリームは15歳以上の方から使用できます。
お子様に使用したい場合は生後1ヶ月から使用できるフェルゼアクリームMを。
Q.使用できない部位はありますか?
A.以下の部位には使用できません。
・目のまわり、粘膜等
・引っかき傷等のきずぐち、亀裂(ひび割れ)部位
・かさぶたの様に皮膚がはがれているところ
・炎症部位(ただれ・赤くはれているところ)
また、以下の人は使用前に医師、薬剤師、登録販売者に相談しましょう。
・医師の治療を受けている人
・薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人
・薬や化粧品等による刺激症状又はアレルギー症状(発疹・発赤、かゆみ、かぶれ等を起こしたことがある人)
Q.顔には使用できますか?
A.フェルゼアHA20クリームは基礎化粧等の目的で顔面には使用できません。
※メーカー確認済み(2020/10)
Q.妊娠中・授乳中でも使用できますか?
A.フェルゼアHA20クリームは妊娠・授乳中でも使用できます。
※メーカー確認済み(2020/10)
Q.1日何回塗ればいいの?
A.お肌の症状が気になる時に、1日数回、適量を患部にすりこんでください。
Q.ステロイドは入っていますか?
A.フェルゼアHA20クリームにステロイドは配合されていません。
Q.薬剤師がいないと買えない?
A.買えます。
フェルゼアHA20クリームは第3類医薬品です。薬剤師が不在でも登録販売者のいるドラッグストアなどで購入できます。
Q.ECサイトなどネットで購入することはできる?
A.インターネットなどの通販サイトでの購入が可能です。
参考資料
・花王(冬に手荒れが起きやすいのはなぜ?)
・角化症の原因・症状を解説/ロート製薬:商品情報サイト
・毛孔性苔癬の原因・症状を解説/ロート製薬:商品情報サイト
・ニプロ(「尿素」って何?)
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。