「熱はないけど、のどの調子が良くない」という経験はないでしょうか。のどの痛みはウイルスや細菌の感染・乾燥・のどの使い過ぎなど様々な原因によって引き起こされます。また、のどの痛みに対して効果を発揮する市販薬は多く、どの薬を使えばいいかわからない方も多いでしょう。この記事では特にのどの痛みのみに着目した市販薬を紹介します。
薬剤師からのポイント
のどの痛みに効く成分を選ぼう
のどの痛みに効果のある成分は多く、さまざまな商品が販売されています。
代表的な成分は次の通りです。
かぜ薬では副作用のリスクが高くなる
一般的なかぜ薬にはのどの痛みに効果のある成分だけでなく、さまざまな成分が配合されています。特に抗ヒスタミン成分に分類される有効成分には、眠気を誘発する副作用があり注意が必要です。
のどの痛みに特化した商品はあるの?
のどの痛みに効く成分は市販薬にも配合されており、商品としては大きく分けて『風邪薬+のどの痛みに効く成分』と『のどの痛みにメインで効く成分』があります。
『風邪薬+のどの痛みに効く成分』が配合されている商品についてはこちらの記事で紹介しています。のどの痛みに加えて風邪症状がある方はぜひご覧ください。
のどの痛みに効く主な成分
まずはのどの痛みに効果を発揮する有効成分と働きについて紹介します。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症剤)
NSAIDs (非ステロイド性抗炎症剤) はお薬の分類を指す言葉です。代表的な有効成分としてロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンなどがあります。
名前の通り、炎症の原因となる物質の産生を抑える働きがあります。
トラネキサム酸
トラネキサム酸は炎症を引き起こす物質であるプラスミンの働きを抑制することで抗炎症効果を発揮します.のどの痛み以外にも肝斑などの治療に使用される有効成分です.
カンゾウ
カンゾウはカンゾウという植物の一部を乾燥させたものを指します。葛根湯を代表する様々な漢方薬に配合されており、鎮咳 (咳を鎮める)、去痰 (痰を出しやすくする)、抗炎症などさまざまな効果がある生薬成分です。
グリチルリチン酸
グリチルレチン酸は先ほど挙げた生薬であるカンゾウから抽出される有効成分です。炎症を抑えるはたらきがあります。
アズレンスルホン酸ナトリウム
アズレンは主にうがい薬やスプレー、トローチなどに配合されている成分です。炎症を鎮める効果や口腔内にできた傷の治りを早める効果が報告されています。
喉の痛みに効く市販薬(飲み薬)
のどの痛みに効果を発揮する代表的な市販薬 (飲み薬) は次の通りです。
コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα
コルゲンコーワ鎮痛解熱LXαはロキソプロフェンナトリウムとトラネキサム酸の2種類の有効成分が配合された飲み薬です。2種類の有効成分が炎症の原因となる物資の発生を抑えてくれます。
用法用量
症状が現れた際には、下記の量をなるべく空腹時を避け水またはお湯で服用してください。
また次の服用までに4時間を空けてください。
年齢 | 1回服用量 | 1日服用量 |
成人(15歳から) | 1錠 | 2回まで 彩度症状が現れた場合には3回目を服用可 |
14歳まで | 服用しないで下さい | 服用しないで下さい |
ペラックT錠
ぺラックT錠は炎症やアレルギーを抑える作用のある、トラネキサム酸およびカンゾウエキスの他に、皮膚や粘膜の機能を正常に働かせるビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCが配合されているお薬です。空気の乾燥、風邪などが原因となるのどの炎症によく効き、7歳から服用可能なお薬です。
用法用量
次の量を1日3回、朝昼晩に服用してください。
年齢 | 1回服用量 | 1日服用回数 |
成人(15歳から) | 2錠 | 3回(朝昼晩) |
14歳まで | 1錠 | 3回(朝昼晩) |
6歳まで | 服用しないで下さい | 服用しないで下さい |
ハレナース
トラネキサム酸とカンゾウエキスの2つの抗炎症成分が扁桃腺のはれを鎮めます。
このお薬は水なしで飲むことができる顆粒のお薬です。また、ハレナースはのどの痛みに効果のあるぺラックT錠と同じ有効成分が同量配合されています。
年齢 | 1回服用量 | 1日服用回数 |
成人(15歳から) | 1包 | 3回(朝昼晩) |
7歳から14歳まで | 1/2包 | 3回(朝昼晩) |
6歳まで | 服用しないで下さい | 服用しないで下さい |
パブロンのど錠
トラネキサム酸やグリチルリチン酸二カリウムに加え粘膜機能の正常化を助けるビタミン B2やビタミン B6などが配合されています。チュアブル錠なので水なしで服用可能なお薬です。
用法用量
年齢 | 1回服用量 | 1日服用回数 |
成人(15歳から) | 2錠 | 3回(朝昼晩) |
7歳から14歳まで | 1錠 | 3回(朝昼晩) |
6歳まで | 服用しないで下さい | 服用しないで下さい |
飲み薬以外の市販薬
のどの痛みに効果のある市販薬の中には飲み薬だけでなくスプレーやトローチ、うがい薬などが存在します。ご自身の好みに合わせて商品をお選びください。
のどスプレー
のどスプレーには、ルルのどスプレー、ストナのどスプレー、浅田飴AZのどスプレーなどがあります。これらの商品は有効成分である『アズレンスルホン酸ナトリウム』が配合された薬液を患部に直接噴射することで炎症を鎮めます。
トローチ
トローチには、コルゲンコーワトローチ、龍角散ノドローチSなどがあります。これらの商品は有効成分である『グリチルレチン酸』が配合されており、口の中で飴のように溶かしながら服用するお薬です。
うがい薬
うがい薬には、パブロンAZうがい薬(アズレン)、コルゲンコーワうがい薬、浅田飴AZうがい薬(アズレン)などがあります。これらの商品は有効成分が配合された薬液を口に含みうがいをすることで効果を発揮します。うがい薬は飲み込まずに吐き出すようにしてください。
選ぶ際の注意点
ご自身でお薬を購入する際には次のことに注意してください.
子供や授乳中の方は使用できる商品が限られる
小児や妊娠・授乳中のご婦人は使用できる商品が限られています。
体が小さく代謝機能が大人よりも劣る小児は副作用リスクが高まるため、薬の選択に注意が必要です。
妊娠・授乳中のご婦人は有効成分が胎盤や母乳を通じて赤ちゃんまで届くことがあり注意が必要です。お薬を使用する際には、主治医にご確認ください。
処方薬と重複しないように
現在治療中の病気を有する方も注意が必要です。特に肝斑の治療にはトラネキサム酸が使用されることがあり、トラネキサム酸が配合されている商品を使用する際には注意が必要です。
飲んでも治らない場合
購入した市販薬を 5〜6日使用してものどの痛みがおさまらない場合には医療機関を受診してください。のどの痛みは単なるかぜや使いすぎだけでなく、扁桃炎や咽頭炎などによっても引き起こされます。
5〜6日使用しても症状が改善しない場合には耳鼻咽喉科をはじめ医療機関を受診ください。
まとめ
今回はのどの痛みに効果のある市販の医薬品について解説しました.
のどの痛みは「ウイルスや細菌の感染」「のどの乾燥」「のどへの刺激」といった要因で起こり、生活の質を低下させます。辛いのどの痛みを放置せず、薬を飲むことは早期治療にとって重要です。
しかしながら、市販薬を使用しても症状の改善が見られない場合には早めに病院を受診し適切な処置を受けてください。
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ぺラックT錠
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参考資料:
コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα
https://hc.kowa.co.jp/wp-content/uploads/2015/07/075e82a42dc29d1f3e2b6b720e52978d.pdf
ぺラックT錠:説明文書 第一三共ヘルスケア
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/pelack_t_tab/
ハレナース:添付文書
https://www.kobayashi.co.jp/seihin/hrn/pdf/hrn.pdf
アズレン含嗽用顆粒0.4%「ツルハラ」
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2260700C1149_1_01
ストナのどスプレー |佐藤製薬株式会社
https://search.sato-seiyaku.co.jp/pdf/63.pdf
浅田飴AZのどスプレーS | 医薬品 | 株式会社浅田飴
https://www.asadaame.co.jp/medicine/az_spray.html
ルルのどスプレー |第一三共ヘルスケア
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/package_insert/pdf/lulu_nodo_spray_1.pdf
鎮咳去痰剤 – 龍角散ノドローチS
https://www.taikyo.co.jp/products/detail0015.html
コルゲンコーワトローチ
https://hc.kowa.co.jp/wp-content/uploads/2016/04/9a425a4281e68c71daaa2f6aa2425084.pdf
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。