唇の荒れを治す「リップクリーム市販薬」を3つ紹介。何の成分に注目?

唇を抑える女性

冬の唇トラブルの中でも、とにかく痛いのが口角炎(こうかくえん)です。口角がぱっくりと割れてしまい大きく口が開けられないので、会話や食事も大変ですよね。今回はそんなつらい「口角炎」に効果を持ったおすすめリップクリーム特徴や使用感について解説していきます。

口角炎とは?

口角炎(こうかくえん)とは、「上下の唇があわさる口角に炎症が起き、唇の端が赤くはれた状態」になり、唇の皮がむけたり、かさぶたになったりする病気です。口角炎になると、唇が乾燥したり、口角がぱっくり割れる(または亀裂が入る)こともあります。食事や会話の際に口を大きくあけると口角が裂け、痛みをともないます。

口角炎の原因

では、口角炎を引き起こす原因は何でしょうか?さまざまな要因が考えられ、原因は一つではないこともあります。自分がどれに当てはまるかみていきましょう。

乾燥

口角炎の主な原因に唇の乾燥があります。冬場の強い乾燥はもちろんですが、実は唇をなめるくせもその1つです。唇をなめると一時的にはうるおった感じがしますが、唇の油分は減り、唾液に含まれる消化酵素が唇の乾燥をひどくしてしまいます。そのため唇の乾燥はさらにひどくなり、口角がぱっくり割れてしまいます。

カンジダ感染

真菌の一種であるカンジダ菌によって口角炎になることがあります。カンジダ菌は人間のからだにもともと住み着いている菌なので、健康な時には悪さをすることはなく口角炎が起こることはありません。しかし、からだの免疫が低下することによってカンジダ菌が悪さをするようになり口角炎が起こりやすくなります。一般的に高齢者の口角炎の原因に多く見られます。

ストレス・疲れ

いきすぎたストレスや疲労はからだの免疫を低下させてしまいます。免疫が低下することでカンジダ菌が悪さをするようになり、口角炎が起こりやすくなります。

ビタミンなど栄養が足りていない

具体的にはビタミンB2、ビタミンB6や鉄が足りていない場合に口角炎が起こりやすくなります。ビタミンB2やビタミンB6は皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあります。口角も皮膚や粘膜に該当するため、ビタミンB2やビタミンB6の不足によって口角の皮膚や粘膜を健康に維持することができなくなり口角炎が起こりやすくなります。

不規則な生活や野菜不足の方は食事の見直しやビタミン剤などで補うようにしましょう。

病気やお薬によるもの

病気の場合、糖尿病や肝臓・胃腸の病気、HIVなど治療中の場合に口角炎が起こりやすくなります。また薬を服用中の場合、内服のステロイドや免疫抑制剤、一部の抗生物質を服用中の場合に口角炎が起こりやすくなります。

口角炎に効果がある市販薬おすすめリップクリーム3選

実際にどんな商品で口角炎を治すとよいでしょうか。口角炎に効能効果のある市販薬は、『モアリップ』と『ヒビプロLP』『ユースキンリリップキュア』があります。では、各商品の特徴について見ていきましょう。

モアリップ

資生堂から発売されている医薬品(第3類医薬品)タイプのリップクリーム。5つの有効成分が配合されています。抗炎症成分のグリチルレチン酸で唇のあれを抑えながら、アラントインであれた唇の修復を促し、口角炎や口唇炎を改善します。メンソレータムヒビプロLP、ユースキンリリップキュアと同じ有効成分を同じ量配合しています。

有効成分はたらき配合量(1g中)
グリチルレチン酸唇の炎症を抑える3mg
トコフェロール酢酸エステル  
 (ビタミンE誘導体)
皮膚の新陳代謝を促す2mg
アラントイン荒れた唇の修復を促す5mg
パンテノール皮膚・粘膜の健康を維持する5mg
ビタミンB6皮膚・粘膜の健康を維持する1mg

ここがポイント

直接口に塗れるタイプ
クリームは「細め」
クリームは「やわらかめ」

無香料・無着色だから「香り」や「色」が気になる方におすすめです。実際に使用してみましたが、クリームは「やわらかめ」で、伸びがよくしっとり感があるのが特徴です。そのためテクスチャーがしっとりうるおうタイプが好きな方や、添加物にlメントールを配合しているのでほどよい清涼感がお好きな方におすすめです。

また、チューブタイプなのでそのまま唇に塗ることができ、手が汚れる心配がありません。

メンソレータムヒビプロLP

ロート製薬から発売されている医薬品(第3類医薬品)タイプのリップクリーム。こちらも5つの有効成分が配合されています。抗炎症成分のグリチルレチン酸で唇のあれを抑えながら、アラントインであれた唇の修復を促し、口角炎や口唇炎を改善します。モアリップと同じ有効成分を同じ量配合しています。

有効成分はたらき配合量(1g中)
グリチルレチン酸唇の炎症を抑える3mg
トコフェロール酢酸エステル
 (ビタミンE誘導体)
皮膚の新陳代謝を促す2mg
アラントイン荒れた唇の修復を促す5mg
パンテノール皮膚・粘膜の健康を維持する5mg
ビタミンB6皮膚・粘膜の健康を維持する1mg

ここがポイント

手で塗るタイプのチューブ
クリームは「太め」
クリームは「硬め」

こちらも無香料・無着色だから「香り」や「色」が気になる方におすすめです。またメントール無配合のため敏感なくちびるにもしみにくいです。実際に使用してみましたがモアリップやユースキンリリップキュアと違うのはクリームの使用感が「硬め」に作られています。クリームの基剤にワセリンを多めに使用しているためです。

そのためテクスチャーが硬めが好みの方や唇のひびわれをしっかり保護したい方におすすめです。また剤形はチューブタイプですが注意点として唇にそのままは塗れません。手にとって気になる部分に塗ってください。

ユースキンリリップキュア

ユースキン製薬から発売されている医薬品(第3類医薬品)タイプのリップクリーム。こちらも5つの有効成分が配合されています。抗炎症成分のグリチルレチン酸で唇のあれを抑えながら、アラントインであれた唇の修復を促し、口角炎や口唇炎を改善します。モアリップ、メンソレータムヒビプロLPと同じ有効成分を同じ量配合しています。

有効成分はたらき配合量(1g中)
グリチルレチン酸唇の炎症を抑える3mg
トコフェロール酢酸エステル
(ビタミンE誘導体)
皮膚の新陳代謝を促す2mg
アラントイン荒れた唇の修復を促す5mg
パンテノール皮膚・粘膜の健康を維持する5mg
ビタミンB6皮膚・粘膜の健康を維持する1mg

ここがポイント

無香料・メントール無配合のため、「香り」や「清涼感」が気になる方におすすめ。また添加物で口角炎の際に不足しがちなビタミンB2を配合しています。注意点としてクリームの色は黄色に着色されているので、「服に色が着くのが心配!」など有色のリップクリームが苦手な場合は、「市販薬」の『モアリップ』や『メンソレータムヒビプロLP』を選びましょう。

なお剤形はジャータイプのため、唇にそのままは塗れません。手にとって気になる部分に塗ってください。

薬剤師からのポイント

使用感や使用シーンに合わせて選びましょう!

今回ご紹介した薬は口角炎を治療できる市販薬のリップクリームです。使用感が「やわらかめ」が好きな方や手を汚さずに外出先でも使用したい方はモアリップ がおすすめです。使用感が「硬め」が好きな方や荒れた唇をしっかり保護したい方はヒビプロLPがおすすめです。

口角炎以外にも使える

今回紹介した商品は、口角炎以外にも唇のひびわれ、唇のただれ、口唇炎にも効能効果があります。口唇炎とは唇全体に炎症や亀裂が起こる病気です。唇が全体的に乾燥し、皮がむけたり、唇が腫れたりして、かゆみをともなう場合もあります。そのため口角だけでなく、唇全体のトラブルにも使えます。

リップは手の中で少し温めて使いましょう

冬場の時期はリップクリームが固くて塗りにくかったり、チューブから出しづらい場合があります。そんな時はリップを手の中で少し温めてから使用するとチューブから出しやすく、クリームも全体に広がりやすいです。

こんな症状がある時は注意

口や唇のまわりが、ヒリヒリ・ピリピリした後に「水ぶくれ」ができた場合には口角炎ではなく口唇ヘルペスの可能性があります。口唇ヘルペスの場合は使用する薬が異なることや、初めての口唇ヘルペスは症状がひどく出る場合があるので、その時はお医者様に相談してください。

さいごに

市販薬のリップクリームには口角炎を治療できるものがあります。そのためリップクリームを選ぶ際には必ず「効能効果」に口角炎と記載されているものを選びましょう。また日頃の乾燥ケアも口角炎にならないための重要なケアなので普段の乾燥対策用リップと治療用リップの2つを冬場の時期は準備しておくと良いでしょう。また各商品の詳細は下記のページをご参考ください。

 

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参考資料
「口角炎・口唇炎」の原因・症状について解説/ロート製薬 
口角炎について/岸本 麻子, 井野 千代徳, 多田 直樹, 井野 素子, 南 豊彦 
モアリップ(第3類医薬品)/資生堂-資生堂薬品株式会社  
メンソレータム ヒビプロLP/ロート製薬:製品情報 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Yosuke Fukuoka

薬剤師

【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。

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Ryo Omura

医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
理念
・誰にでもわかりやすい医療ヘルスケア情報を発信
・医療職の働き方にも自由度を。リモートワーク環境の構築
メディアから医療を変える「デジタルチーム医療」を中心に活動。
スマートなメディア制作を心がけております。

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