水虫は男女問わず発症する病気で、約5人に1人は発症しているといわれる国民病でもあります。そのため、市販の水虫薬もたくさん販売されており、剤形も豊富に取り揃えられています。
その反面、店頭で「どれが自分に合うのかな」と迷うこともあるでしょう。今回は自分の水虫がどのタイプなのかを知り、症状に合う市販薬の選び方を紹介します。
水虫の症状について
水虫は白癬菌と呼ばれる真菌(カビ)が原因であり、ヒトへ感染する病気です。症状として、かゆみや水疱(水ぶくれ)、ジュクジュクまたはザラザラ肌をひき起こすなどさまざまです。
これらの症状から水虫は以下の種類に分類することができます。
症状からみる水虫の種類
水虫は主に趾間(しかん)型、小水疱(しょうほう)型、角質増殖(かくしつぞうしょく)型に分類されます。また、爪まで感染した爪水虫もあります。
それぞれの症状について紹介します。
水虫の種類の画像を見たい方はこちらをご覧ください。
趾間型(しかんがた)
足の指と指の間にでき、赤くなったり皮がめくれたりします。乾燥している場合は皮がめくれてカサカサし、湿潤している場合はジュクジュクとただれたりします。むずむずとかゆみが起こる場合もあります。
小水疱型(しょうすいほうがた)
足の裏(特に土踏まず)にでき、プツプツと小さな水疱ができます。放っておくと次第にかゆみを伴い、だんだんと皮がめくれてきます。小水疱型の場合、強いかゆみを感じることが多いです。
角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)
足の裏(とくにかかと)の角質に白癬菌が入り込み、角質層が厚くなることでカサカサやひび割れなどが生じます。角質増殖型の場合は、ほとんどかゆみを感じることはありません。
爪水虫(つめみずむし)
爪が白く濁ったり表面にシワができたりします。ひどくなると爪がボロボロになることもあります。
手の水虫やふとももの水虫(いんきんたむし)など、白癬菌は足以外にも付着して症状を起こすことがあります。しかし、白癬菌は高温多湿を好むため、足での発症が最も多いです。
症状に合わせた最適な水虫薬の選び方
「もしかすると水虫かも」と思われた方は、白癬菌が角質層の奥まで浸透する前に早めの治療をすることをおすすめします。
病院に受診するべきか市販薬で対応して良いのか迷っている方は、「水虫の市販薬を購入できない方」への記事も紹介しています。気になる方は、こちらをご覧ください。
市販薬には、クリームタイプやスプレータイプなどさまざまな剤形が取り揃えられていますが、どれが良いの?と悩みますよね。
ここでは、症状に合わせた最適な剤形の選び方を紹介します。
趾間型には「クリーム」や「液」
趾間型にはカサカサ(乾燥している)かジュクジュク(浸潤している)かで使い分けをしましょう。
カサカサの場合は、液タイプが適しています。有効成分が液体に混ぜ合わせてあり、容器の先が細いタイプが多いため、指の間に使いやすいです。
ジュクジュクの場合は、クリームタイプが適しています。クリームタイプには油分が含まれているため、湿っている皮膚に留めることができます。
小水疱型には「スプレー」
足の裏にできる水虫は範囲が広いことが特徴です。そのため、広範囲に使用できるスプレータイプが適しています。
角質増殖型には「軟膏」や「クリーム」
かかとなど角質が厚くかさかさしている場合は、伸びやすいクリームタイプが塗りやすいです。商品によっては角質を柔らかくする成分を配合しているものもあります。
爪水虫に市販薬は使えない
爪水虫には使える市販薬はありません※。一方、医療用医薬品には飲み薬や塗り薬で治療することができるため、早めに受診しましょう。
※2023.4時点
飲み薬は処方箋医薬品のみ
水虫に対する飲み薬は医療用医薬品には存在しますが、市販薬では販売されていません。
市販薬で対処する場合は塗り薬をきちんと続けて使用することが重要です。
※2023.4時点
成分を確認する
医療機関で一度治療を行った際に処方された薬の成分を確認してみましょう。医療用医薬品と同じ成分を配合した市販薬も販売されているため、同じ成分の薬で対処したい方は見てみましょう。
水虫薬の効果的な塗り方
水虫に効く塗り薬は入浴後に塗ると効果的でしょう。入浴後は皮膚が清潔で角質が柔らかくなっていることで成分が浸透しやすくなっているといわれています。
ただし、入浴時に清潔にしたい一心でゴシゴシ洗うと皮膚を傷つけてしまうかもしれませんので、優しく洗い清潔なタオルでしっかりと水分を拭き取るようにしましょう。
完全に治すことが重要。まずは1ヶ月継続を!
水虫は症状が落ち着き治療をやめてしまうと、まだ残っている白癬菌が増殖し、再発する可能性があります。
皮膚のターンオーバー(皮膚が新しく生まれ変わる周期)は約28日といわれているため、まずは1ヶ月使用してみましょう。また、2週間使用しても効果の実感がなく、症状に改善が見られなければ皮膚科への受診をしましょう。
症状ごとにおすすめの剤形を紹介しましたが、もっとも大切なことは使い続けやすい商品を選ぶことです。そのなかで、上記のおすすめを参考にしていただけたら幸いです。
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ラミシールプラスクリームの特徴
参考資料
・水虫「あきらめ」派が1割‐男性の半数は経験者|薬事日報ウェブサイト
・足白癬|電子コンテンツ
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
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