足のかゆみや小さな水疱がある場合、水虫の可能性があります。水虫は男女問わず起こり得るものでどのような対処をすれば良いか迷う方もいるのではないでしょうか。対処の一つとして市販薬を使って治療する方法があります。
今回は水虫に対する市販薬のラミシール®プラスクリームについて成分や効果、注意点などを解説していきます。
ラミシール®プラスクリームとは
ラミシール®プラスクリームは、水虫の原因菌を殺す成分を配合している水虫治療薬です。その他、皮膚を柔らかくする成分や、かゆみを抑える成分、清涼感をもたらす成分を配合しているため、様々な角度から水虫の症状に働きかけます。
足の指の間のかゆみ、我慢できませんよね。掻いても掻いてもかゆみがぶり返し、掻かずにはいられません。一方で、靴を履いたまま仕事をしている場合、掻くこともできずツラいかと思います。
この薬はクリームタイプであるため、さらっと滑らかで、のびがよく、べたつきにくいのが特徴です。足の間がふやけているジュクジュクタイプの水虫にも、ガサガサで粉をふいているゴワゴワ・粉ふきタイプの水虫にも使用することができます。
使用回数は1日1回なので、仕事中に塗る必要がないのが助かりますね。
ラミシール®プラスクリームの特徴とは
特徴として、かゆみを抑えながら水虫治療します。ラミシール®プラスクリームには炎症を抑える成分と、かゆみを抑える成分が配合しているので、ダブルの効果でかゆみに効果を発揮します。
かゆみを抑えながら原因の水虫菌を殺していくという戦略です。
水虫について簡単に解説
水虫の原因は白癬菌(はくせんきん)というカビの一種であり、細菌ではなく真菌に分類されます。白癬菌は皮膚を構成するケラチンというタンパク質が大好物で、皮膚に感染し増殖すると水虫を発症します。
この菌は手や体にも感染しますが、9割近くは足に感染します。原因は靴を長時間履くことで蒸れることにより、カビが繁殖しやすい状態になるからです。
水虫の原因と症状について
水虫の原因などについて知りたい方はこちらで解説しております。
成分の特徴
テルビナフィン塩酸塩
テルビナフィン塩酸塩はラミシール®プラスクリームの主な有効成分です。水虫の原因となる白癬菌を殺す作用があります。
白癬菌の細胞膜を構成するエルゴステロールの合成を抑えることで、抗真菌作用を発揮します。白癬菌の他にカンジダに対しても有効であることが知られています。
クロタミトン
かゆみを抑える成分です。「オイラックス®」という薬があります。もしかしたらこちらの方をご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
もともと疥癬(ヒゼンダニというたいへん小さなダニが人の皮膚に寄生しておこる、かゆみを伴う皮膚の病気)の治療薬として使われていましたが、かゆみを抑える効果が認められたため、かゆみ止めとして使われるようになりました。
グリチルレチン酸
炎症を抑える成分です。この成分は甘草(カンゾウ)という植物から得られます。甘味があるので漢方薬や食料品の甘味料として使われることもあります。
漢方薬としてはカンゾウ根という名前で使用され、胃潰瘍、気管支炎、咽頭痛、肝炎などに使われることがあります。
l-メントール
この成分をご存じの方も多いと思いますが、清涼感が得られる成分です。皮膚に塗るとスーっとした感じがあり、かゆみがスッと和らぐ感覚が得られます。
尿素
尿素には保湿作用や硬くなった皮膚を柔らかくする作用があるので、よく美容クリームに配合されていることがあります。水虫が乾燥したゴワゴワ・粉ふきタイプの場合、皮膚を柔らかくすることで、有効成分を浸透しやすくします。
薬剤師からのポイント
根気よく治療を続けることの重要性
ラミシール®プラスクリームは白癬菌を殺す成分や、かゆみを抑える成分、炎症を抑える成分など水虫に総合的に作用しますが、1〜2回使用する程度では十分な効果が得られません。
白癬菌を完全に除去できないと再発する恐れがあります。ラミシール®プラスクリームの公式ウェブサイトにも書かれているように、まずは一週間しっかり続けることが重要です。
ただし、患部が清潔にしていない状態で使用すると、薬の効果が十分に発揮されない場合があります。説明書の内容に従って、使用前は患部を清潔にしてください。
また、ジュクジュクタイプの水虫の場合には患部をできるだけ乾燥させることも重要です。自宅では靴下を履かずに過ごすなどして乾燥を心掛けましょう。
水虫か分からない場合は受診をお勧めする理由
ラミシール®プラスクリームにはかゆみを抑える成分が配合されているため、ある程度かゆみを抑えることができるでしょう。しかし、かゆみの原因は水虫のみでなく、あせもなど他の要因も考えられます。
水虫の疑いがある時にラミシール®プラスクリームを一週間試して効果が症状が改善されなければ、皮膚科を受診して適切な薬を処方してもらいましょう。
ラミシール®プラスクリームの使用不可な人や場所について
これまでに薬にアレルギー反応を起こしたことがある場合、その薬に入っていた成分を確認してください。同じもしくは似たような成分がラミシール®プラスクリームにも配合されている場合、使用は控えてください。
また、目や目の周囲、粘膜、陰嚢、外陰部への使用も控えてください。他の薬を服用したり塗ったりしている方は、そのことを医師や薬剤師の申し出るようにしましょう。
薬同士の作用により、お互いの作用が過剰もしくは減弱する恐れがあります。
詳しく知りたい方はこちらで解説しています。
水虫を予防するためにできること
お風呂に入る時に指の間を入念に洗うようにし、お風呂を上がった後、しっかり拭くなど足の指の間が蒸れないようにできるだけ注意して、清潔な状態をしっかり保つようにしましょう。
ラミシール®プラスクリームに関するQ&A
Q.何歳から使用できますか?
A.7歳から使用できます。
Q.使用できない人はいますか?
A.本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状(例えば、発疹・発赤、かゆみ、はれ等)を起こしたことがある人。
Q.誰でも使用できる?(妊娠中・授乳中も含めて)
A.以下に該当する場合は使用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください
- 医師の治療を受けている人
- 妊婦又は妊娠している可能性のある人
- 乳幼児
- 薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人
- 患部が顔面又は広範囲の人
- 患部が化膿している人
- 「湿疹」か「みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし」かがはっきりしない人(陰嚢にかゆみ・ただれ等の症状がある場合は、湿疹等他の原因による場合が多い)
Q.どのくらい続ければいいの?
A.まずは一週間続けて使用してください。使用する前にお風呂で患部を洗い、清潔な状態で使用するのがよいでしょう。
ただし、あまり強く擦りながら洗うことで患部を傷つけてしまい、症状が悪化することがあるので、優しく洗うよう心がけましょう。
Q.薬剤師がいないと買えない?
A.ラミシール®プラスクリームは第2類医薬品です。薬剤師または登録販売者が店頭に常駐している場合に購入可能です。
Q.ECサイトなどネットで購入することはできる?
A.ネットでの購入も可能です。
店頭で買うことに抵抗を感じる方は活用してはいかがでしょうか。
さいごに
水虫による我慢できない「かゆみ」つらいですよね。そのような水虫の悩みでも、適した薬を使えば水虫を撃退することができます。
何よりも患部を清潔に保つことが重要なポイントです。お風呂に入った際に、石鹸を付けた指でなでるように優しく洗うようにしましょう。
ただし、症状がひどい場合には石鹸も控えたほうがいいかもしれません。石鹸でしっかり洗いたくなりますが、強く洗うことで表皮が剥げて真皮に石鹸が真皮に付着し、痛みを感じるおそれがあります。
症状が改善しない場合、医師または薬剤師に相談しましょう。清潔にして薬を塗る、できる限り患部の蒸れを避ける、このようなことに注意してしばらく薬を使用することで効果が期待できます。根気強く治療していきましょう。
こちらの記事も読まれています
ブテナロックの特徴
エクシブシリーズの特徴
水虫の症状について
参考文献
・ラミシールプラスクリーム公式ウェブサイト
・テルビナフィン(内服薬)の解説|日経メディカル
・オイラックスA|第一三共ヘルスケア
・甘草(グリチルレチン酸)|丸善製薬株式会社
・「尿素」って何?|NIPRO
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。