水虫の悩みは男性も女性も関係なくあります。足裏や指の間のかゆみは放っておいても自然には治りません。今回はそんな水虫に対する市販薬「ブテナロック®Vα」について成分や効果、どの点に注意しなければならないのでしょうか。また、水虫の予防方法についても併せて確認していきましょう。
ブテナロック®Vαとは?
ブテナロック®Vαの最大の製品特徴は、やはり効き目重視型の商品であるという点です。なぜ、効き目重視型の商品であるのかという点については後述しますが、市販で扱える水虫に対して本当に効果がある成分を配合し、水虫で起こりやすい症状である「痒み」や「炎症」を抑えることに集中した商品であるといえます。
剤形も豊富に取り揃えている
ブテナロック®には、症状に合わせて適切な剤型を選択するために。以下のように充実した剤型があります。
水虫薬の適した剤型は、「ジュクジュク型」なのか「カサカサ型」なのか、患部がどこなのかによっても変わります。
水虫の症状に効果的な成分
ブテナロック®Vαは、「ブテナフィン塩酸塩」と呼ばれる殺菌成分を配合しており、剤型も充実しているため、あらゆるタイプの水虫にも使用可能の製剤です。しかし、「爪水虫」と呼ばれる白癬菌が爪の中に侵入するおそれがあり、爪が濁って見えたり、爪自体が分厚くなった水虫に対して、現状ブテナロックVαを含めた市販の水虫薬では対応できないため受診が必要です。
また、ブテナロック®Vαは痒み止め成分を4種類配合しており、痒みを抑える効果も他の商品に比べて高いといえます。
水虫について簡単に解説
水虫は皮膚糸状菌(白癬菌)が皮膚に寄生することで生じる感染症です。水虫は生じる部位によって様々な呼び名があり、最も多い足白癬を「水虫」、股部白癬を「いんきんたむし」、体部白癬を「ぜにたむし」と呼びます。他にも、爪白癬、手白癬もあります。
白癬菌は、たんぱく質であるケラチンを栄養源として、毛包や爪、皮膚に寄生して痒みを引き起こします。この痒みの持続により炎症が起こると水疱が形成され、掻くことで皮膚がむけ、悪化します。
ブテナロック®Vαの7つの成分について詳しく解説
ブテナフィン塩酸塩
白癬菌の細胞膜成分であるエルゴステロールの合成を早い段階で阻害することにより、細胞膜を破壊し白癬菌を抑えることができます。
クロルフェニラミンマレイン酸塩
ヒスタミンの受容体にヒスタミンと言う物質が結合することにより痒みが生じますが、これをブロックすることで痒みを抑えることができます。
l-メントール
薄荷などに入った成分で、スッとした清涼感により痒みを抑える働きがあります。
イソプロピルメチルフェノール
殺菌成分ですが、直接白癬菌には効果を示しません。しかし、患部に雑菌が繁殖するのを抑えることで化膿やにおいを抑えることができます。
グリチルレチン酸
炎症によって生じる赤みなどを抑えてくれます。
ジブカイン塩酸塩
局所麻酔剤であり、知覚神経を麻痺させて痒みを抑えてくれます。
クロタミトン
皮膚に軽い灼熱感を与えることで痒みを抑えてくれます。
薬剤師からのアドバイス!正しい使い方と注意点
成分の特徴と使い方について解説
第三世代抗真菌成分で白癬菌を増殖初期で抑えます。
ブテナロック®Vαに配合された「ブテナフィン」と呼ばれる有効成分は、白癬菌に対する抗菌作用が高く、角質への浸透力にも優れた第三世代と呼ばれる抗真菌成分です。第三世代抗真成分は、水虫薬の中でも特に効果が高いと言われていますが、ブテナフィンは第三世代抗真菌成分の中でも効果が優れています。
第三世代抗真菌成分として医療用でも汎用されており、市販薬でも効果が期待できる「テルビナフィン」と呼ばれる成分があります。テルビナフィンの効果は強力ですが、ブテナロック®Vαに配合されたブテナフィンと比較した試験がありますのでご紹介させて頂きます。
18歳から61歳までの男性76名を対象として、テルビナフィンクリームとブテナフィンクリームの有効性を比較したところ、ブテナフィンが迅速な結果を生み出し、テルビナフィンクリームよりもブテナフィンクリームで効果が優れていたと報告されています。この単一の試験結果のみを持って、テルビナフィンよりもブテナフィンの方が優れていると断定できるものではありませんが、ブテナフィンの有効性を裏付ける参考材料にはなるのではと考えます。
また、抗真菌薬が効果を発揮するには皮膚への浸透性と、皮膚にいかにとどまるかのかと言う点も非常に重要です。
引用元 https://www.idoj.in/article.asp?issn=2229-5178;year=2010;volume=1;issue=1;spage=8;epage=9;aulast=Das
そして、ブテナフィンは真菌が棲息する角質層や毛包への浸透性と分布性が良好であると報告されています。これらのことから、市販薬で「ブテナフィン」を配合した商品は、効き目重視型と言えるのではないかと考えられています。
引用元 https://journals.asm.org/doi/abs/10.1128/AAC.37.2.363
商品の種類や選び方について
1剤に配合したかゆみ止め成分の種類が、他製品に比べて多く、特に「かゆみ」が強い方に向いている製品です。繰り返しにはなりますが、ブテナロック®Vαには痒み止め成分が以下の4種類配合されています。
- ジブカイン塩酸塩
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- ℓ-メントール
- クロタミトン
このように多くの痒み止め成分が配合されている商品は他を探しても見つかりません。痒みが強い方にはより適した商品だといえます。
使用期間や効果を実感するまでの期間
治療により皮膚表面が改善したように見えても、皮膚の奥には白癬菌が残っている場合が多いです。再発を防ぐためにも、皮膚の新陳代謝が1カ月程度かかることを考慮し、改善してからも1カ月以上は使用を継続するようにして下さい。
水虫を予防するためにできること
水虫を予防するためには以下のことに注意しましょう。
- 白癬菌は高温多湿の条件下で急速に増殖するため、乾燥と清潔を心掛ける
- 感染者とのスリッパやバスマット、爪切りなどの共用は避ける
- 感染はヒトからヒトだけでなく、動物からヒト、土壌からヒトでも引き起こされる
- 他の部位に拡がらないように、薬を塗布後は必ず手を石鹸で洗う(手が患部の場合はその患部を除いて洗う)
ブテナロック®Vαに関するQ&A
Q.何歳から使用できますか?
A.乳幼児jは使用する前に医師または薬剤師に相談するようにして下さい。それ以外では、特に使用年齢による制限は設けられていません。
Q.使用できない人はいますか?
以下の部位にはご使用をお控え下さい。
- 目や目の周囲、顔面、粘膜(例えば、口腔、鼻腔、膣等)、陰のう、外陰部等
- 湿疹
- 湿潤、ただれ、亀裂や外傷のひどい患部
Q.誰でも使用できる?(妊娠中・授乳中も含めて)
過去に本剤に含まれている成分を使用してアレルギー症状を起こしたことがある方は服用をお控え下さい。また、以下に該当する場合はお近くの医師や薬剤師に相談するようにしてください
- 医師の治療を受けている方
- 妊婦又は妊娠していると思われる方
- 薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある方
- 患部が広範囲である方
- 患部が化膿している方
- 「湿疹」か「みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし」かがはっきりしない方
なお、授乳中にブテナフィンを外用したとしても、赤ちゃんへの影響はほとんどありません。授乳中に使用しても差し支えはありませんが、赤ちゃんの体調変化には十分注意しておきましょう
Q.どのくらい続ければいいの?
A.水虫の感染部位などにより治療期間は異なりますが、治療により皮膚の表面がきれいになったように見えても、皮膚の奥には白癬菌が残っている場合が多いです。再発を防ぐためにも、症状がなくなってからも1カ月以上は使用を継続するようにしましょう。
Q.薬剤師がいないと買えないのかな?
A. ブテナロック®Vαは指定第二類医薬品のため薬剤師以外に、登録販売者からも購入することができます。
Q.ECサイトなどネットで購入することはできる?
A.インターネットや郵便での購入も可能です。ただし薬剤師や登録販売者が使用者の状況などを確認の上、販売の可否を判断することもあります。
さいごに
ブテナロック®Vαは効き目重視型の医薬品であり、特に痒みを伴う水虫に適した商品です。また、爪水虫を除く様々な水虫の症状や患部に対しても、剤型を豊富に揃えているため適した剤型を選択することが可能です。服用可能年齢も幅広く、子供から大人まで使用することができるため、家庭の常備薬としてもおすすめです。
水虫は男女問わず感染する疾患であり、自然に治る疾患ではありません。受診や店頭での購入に戸惑う方は、インターネットでも購入できる利便性も兼ね備えた商品で、重症化する前に治療するようにしましょう。
ただし、使用中にかぶれや発疹などが現れた場合、2週間程度使用しても症状が改善しない場合は使用を中止し、医師や薬剤師、登録販売者に相談するようにしてください。
参考資料
・水虫・たむし治療薬 ブテナロック®Vα|久光製薬株式会社
・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
・今日のOTC薬 改定第4版
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Ryo Omura
医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
理念
・誰にでもわかりやすい医療ヘルスケア情報を発信
・医療職の働き方にも自由度を。リモートワーク環境の構築
メディアから医療を変える「デジタルチーム医療」を中心に活動。
スマートなメディア制作を心がけております。