薬局やドラッグストアで購入可能なOTC医薬品イブシリーズ。「頭痛・生理痛に効くのは知っているけど、どんな違いがあるのかはわからない」という方も多いのではないでしょうか。本記事ではイブシリーズに配合されている成分やそれぞれの製品の違いについて詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
イブとは
イブシリーズとはエスエス製薬株式会社から発売されているOTC医薬品で、医師の処方箋がなくても、薬局やドラッグストアなどで購入することができます。イブシリーズはその名前の通り、すべての製品に『イブプロフェン』という解熱鎮痛成分が配合されています。
イブシリーズの商品とその特徴
イブシリーズにはイブ錠をはじめイブA錠、イブA錠EX、イブクイック頭痛薬、イブクイック頭痛薬DX、イブメルトなどの種類があり、製品ごとに次のような違いがあります。
イブ錠
イブ錠は有効成分として『イブプロフェン』のみが配合されている製品です。有効成分が『イブプロフェン』のみということもあり、最も価格が安い(メーカー希望小売価格)という特徴があります。
イブA錠
イブA錠は有効成分として『イブプロフェン』のみならず、『イブプロフェン』の鎮痛作用を助ける『アリルイソプロピルアセチル尿素』、『無水カフェイン』が配合されている製品です。
イブA錠EX
イブA錠EXに配合されている有効成分はイブA錠と同様ですが、『イブプロフェン』の配合量がアップしているという特徴があります。
イブクイック頭痛薬
イブクイック頭痛薬はイブA錠の有効成分に加え、『酸化マグネシウム』という有効成分が配合されています。後ほど詳しく説明しますが、この酸化マグネシウムが『イブプロフェン』の吸収を早め、迅速な鎮痛効果が期待できます。
イブクイック頭痛薬DX
イブクイック頭痛薬DXはクイックアクションプラス製法という製法により、有効成分である『イブプロフェン』の吸収をさらに早めた製品です。また、『イブプロフェン』の配合量もイブクイック頭痛薬よりも多くなっています。
イブメルト
イブメルト錠は有効成分が『イブプロフェン』のみであるものの、口腔内崩壊錠となっており、水なしで服用することが可能な製品です。
それぞれの製品の特徴について下の表にまとめました。
成分(1回量) | イブ錠 | イブA錠 | イブA錠EX | イブクイック頭痛薬 | イブクイック頭痛薬DX | イブメルト |
イブプロフェン | 150mg | 150mg | 200mg | 150mg | 200mg | 200mg |
アリルイソプロピルアセチル尿素 | × | 60mg | 60mg | 60mg | 60mg | × |
無水カフェイン | × | 80mg | 80mg | 80mg | 80mg | × |
酸化マグネシウム | × | × | × | 100mg | 100mg | × |
成分の働き
イブシリーズには解熱鎮痛成分である『イブプロフェン』をはじめ、様々な有効成分が配合されています。ここからはそれぞれの有効成分について詳しく解説します。
イブプロフェン
『イブプロフェン』は非ステロイド性抗炎症薬に分類されるお薬です。この分類のお薬は体内で主にプロスタグランジンという物質の生成を抑制します。
プロスタグランジンは体内における炎症反応に関与しており、痛みや発熱を引き起こします。『イブプロフェン』はプロスタグランジンの生成を抑制することで、解熱鎮痛効果を発揮します。
アリルイソプロピルアセチル尿素
『アリルイソプロピルアセチル尿素』は、、鎮痛薬の作用を助ける働きがあります。
無水カフェイン
『無水カフェイン』は眠気に対する覚醒作用と頭痛に対する鎮痛作用が報告されています。
酸化マグネシウム
酸化マグネシウムは胃酸を中和する制酸作用があります。
胃酸を中和することで胃粘膜を保護し、胃が荒れるのを防ぎます。
また、『イブプロフェン』は胃酸があると溶けにくいという特徴があります。酸化マグネシウムを同時に服用すると、酸化マグネシウムの働きによって胃酸が中和されているため『イブプロフェン』がすぐに溶け、吸収が早まることが報告されています。
薬剤師からのポイント
あくまで対処療法
解熱鎮痛剤はあくまで対処療法でしかありません。原因が完治しないと痛みや熱は続きます。長期の使用は控え、5-6回使用しても良くならない場合は病院やクリニックなどの医療機関を受診しましょう。
ワクチン接種後の発熱にも効果がある
厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aにおいて「市販の解熱鎮痛薬」の例として、『アセトアミノフェン』や非ステロイド抗炎症薬(『イブプロフェン』や『ロキソプロフェン』)が挙げられています。
*あくまで痛みや発熱を確認してから服用するようにしましょう。
まとめ
今回は頭痛・生理痛に使用できるOTC医薬品『イブシリーズ』について各製品の特徴を踏まえて詳しく解説しました。製品ごと配合量が異なっていたり、有効成分が吸収されるまでの時間が早くなっていたりと違いがあります。
突然現れる頭痛・生理痛を我慢せず、お薬を使用することも選択肢の1つになるのではないでしょうか。自身が使用するお薬をよく理解し、正しく服用してください。
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参考資料
・イブ シリーズ一覧|エスエス製薬 https://www.ssp.co.jp/product/brand/eve/
・速溶性イブプロフェン製剤の開発_薬剤学,69(5),329-335(2009) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpstj/69/5/69_329/_pdf
・SG配合顆粒 添付文書 https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1149116D1033_2_02/?view=frame&style=SGML&lang=ja
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
Ryo Omura
医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
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