みなさんは鼻炎に効く薬を選ぶ際に、何に一番気にしていますか?効き目はもちろんのこと、眠気などの副作用を気にする方が多いのではないでしょうか。特に勉強や部活動に励んでいる学生にとって眠気が少ないほうが良いですよね。
今回は、子どもが服用する眠くなりにくい鼻炎薬「アレグラFXジュニア」について見ていきましょう。
アレグラFXジュニアとは
アレグラFXジュニアとは、成人用のアレグラFXと同じ『フェキソフェナジン』を有効成分とするアレルギー専用鼻炎薬です。7歳~14歳までの小中学生を対象としたOTC医薬品で、薬局やドラッグストアで購入が可能です。
アレグラFXジュニアは要指導医薬品として登場しましたが、現在では第2類医薬品に分類されています。注)
注)2024.1現在
要指導医薬品を含むOTC医薬品の分類について詳しく知りたい方は『医薬品の分類について』をご覧ください。
医療用医薬品と同じ成分フェキソフェナジンを使用
アレグラFXジュニアの有効成分であるフェキソフェナジンは医療用医薬品の『アレグラ®』と同成分になります。第2世代抗ヒスタミン薬に分類され、第1世代に比べ代表的な副作用の眠気が少ないという特徴があります。
アレルギー性鼻炎の治療には抗ヒスタミン薬を選択されることが多いですが、中には子どもに使えない薬があります。一方、アレグラ®は子どもにも使える薬で、子どもから大人まで幅広い世代で処方されています。
そして、医療用医薬品としてのこれまでの実績やある程度の安全性から、2012年にOTC医薬品としても販売されるようになりました。
効能効果について
アレグラFXジュニアはヒスタミンの作用を妨げる『抗ヒスタミン薬』です。花粉やハウスダストなどのアレルゲンが体内に入るとヒスタミンと呼ばれる物質が放出されます。そのヒスタミンが、鼻や血管などにある『H1受容体』にくっつくことで鼻水やくしゃみを誘発します。
アレグラFXジュニアはヒスタミンとH1受容体がくっつくのを妨げることでアレルギー性鼻炎特有の鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状を緩和します。
薬剤師からのポイント
1錠あたりの成分量が異なる
アレグラFXジュニアの1錠あたりの有効成分量は30㎎とアレグラFXの60mgと比べ半分です。そのため、誤って成人用のアレグラFXを服用すると飲み過ぎとなる場合もありますので注意してください。
年齢で飲む量が異なる
年齢によって飲む量が異なります。
- 7歳~11歳 1日2回 1回1錠
- 12歳~14歳 1日2回 1回2錠
です。特に小さなお子様が服用する際は十分に確認するようにしましょう。
適応が異なるため注意
アレグラFXジュニアは鼻水・くしゃみなどのアレルギー症状の緩和に適応があります。医療用医薬品”アレグラ”の適応にある蕁麻疹や皮膚疾患に対し、使用できないため注意しましょう。
大人用と何が違うのか
大人用の『アレグラFX』とはフェキソフェナジンの含量が違います。アレグラFXは60mgなのに対し、アレグラFXジュニアでは30mgとなります。そのため、大人用を誤って小児に服用させた場合は過量投与になる場合もあるため気を付けてください。
また、錠剤の大きさが大人用と比べて小さく作られているので、子どもでも飲みやすい形状となっています。
なぜ子どもにおすすめなのか
勉強や部活動に懸命に励む子どもにとってアレグラFXジュニアがなぜおすすめなのでしょうか。それは『眠気が少ない』『インペアード・パフォーマンスが少ない』という2点です。
眠気が少ない
上記で述べたヒスタミンはアレルギー症状を誘発するだけではなく、覚醒(目が覚める)にも関わっています。一般的な抗ヒスタミン薬の成分が脳へ移動することで覚醒を妨げ、眠気を誘発しますが、アレグラFXジュニアは脳へ移動しにくいため眠気が少ないとされています。
インペアード・パフォーマンスが少ない
インペアード・パフォーマンスとは、集中力や判断力が気づかないうちに低下してしまうことを言います。本人や周りからも気づきにくいため注意が必要です。眠気と同様に成分が脳内へ成分が移動することにより引き起こるため、脳内に移動しにくいフェキソフェナジンでは起こりにくいとされています。
使用する際の注意点
使用する際の注意点はいくつかありますので、以下にまとめました。
- 薬を服用させる場合は、必ず保護者の監視のもとで
- フェキソフェナジンの成分によって過去に薬剤アレルギーを起こしたことがある方は服用しないように
- 7歳未満の方は服用は禁止
- 他のアレルギー薬や抗ヒスタミン剤を含む薬、水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウムを含む制酸剤、エリスロシンを服用している方は使用しない
- 3~4日間服用しても症状の改善がない時は医師、薬剤師に相談
さいごに
アレグラFXジュニアは1日2回の服用で24時間効果が持続する薬で、子どもでも飲みやすく工夫されています。また、眠気や集中力の低下など副作用が少ないため、勉強や部活動のパフォーマンスを妨げにくい薬です。
受験シーズンや部活動の大会前などでアレルギー性鼻炎薬を飲む際はこちらを試してみてはいかがでしょうか。
参考資料
・久光製薬株式会社:アレグラFXジュニアホームページ
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Ryo Omura
医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
理念
・誰にでもわかりやすい医療ヘルスケア情報を発信
・医療職の働き方にも自由度を。リモートワーク環境の構築
メディアから医療を変える「デジタルチーム医療」を中心に活動。
スマートなメディア制作を心がけております。