飲みすぎた翌日におきる「二日酔い」は、頭痛やめまい、吐き気など本当にきつく、少しでも早く治したいものです。そこで、二日酔いの頭痛に効果のあるアルピタンについてその効果や副作用、どのタイミングで飲めばよいかも含めて詳しく説明します。
アルピタンとは
『アルピタン』シリーズはアルコールによる不調を改善する一般用医薬品(第2類)で、小林製薬から発売されています。現在、アルピタンシリーズは、アルコールなどによる頭痛に効く『アルピタン』とアルコールによる酒残りに効く『アルピタンγ』の2種類の商品が販売されており、アルコールの飲みすぎによる二日酔いの症状に合わせて選ぶことができます。
アルピタンの効果や成分
アルピタンは、お酒による不調の改善を目的とした市販薬ですが、実際にどのような症状に効くのでしょうか。ここでは、アルピタンの効果や成分だけでなく、年齢に応じた飲む量や気を付けるべき副作用についても見ていきます。
効能効果
効能効果は以下の通りです。
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、頭痛、はきけ、嘔吐、めまい、腹痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹のものには使用しないこと)、暑気あたり、むくみ、頭痛、二日酔
成分
アルピタンには五苓散料エキスが下記の成分量で含まれています。
成分(1日量:3包(4.5g)中) | 分量 |
五苓散料エキス | 2.3g |
タクシャ チョレイ ブクリョウ ビャクジュツ ケイヒ | 5.0g 3.0g 3.0g 3.0g 2.0g |
※添加剤(ヒドロキシプロピルセルロール、乳糖)を含有する。
このお薬は天然物(生薬)を用いているため、お薬の色が多少異なることがあります。
h3用法用量
1日3回食前または食間(食事と食事の間を意味して、食後2~3時間後)に水またはお湯で服用します。1回に飲む量は、年齢に応じて以下の量を飲んでください。
年齢 | 用法用量 |
大人(15才から) | 1回1包 |
7才から14才まで | 1回2/3包 |
4才から6才まで | 1回1/2包 |
2才から3才まで | 1回1/3包 |
1才まで | 服用しないこと |
副作用
服用後の副作用として、まれに皮膚に発疹(目で見たり触ってみて分かる変化)やかゆみが出ることがあります。
アルピタンと五苓散の違い
アルピタンの成分は五苓散と同様の成分が含まれていますが、五苓散を有効成分とする市販の漢方薬は成分の種類や量が販売元によって異なります。
五苓散には2つの種類がある。
五苓散は5つの生薬成分(タクシャ・チョレイ・ブクリョウ・ジュツ・ケイヒ)が配合されており、「ジュツ」には白朮(ビャクジュツ)と蒼朮(ソウジュツ)が2種類があります。アルピタンでは白朮(ビャクジュツ)を使った五苓散料エキスが使用されています。
アルピタンは有効成分の含有量が多い
アルピタンのもう一つの特徴は、お薬の有効成分の量が多いことです。薬局やドラックストアで購入できる漢方薬はその成分量が決まっていて、アルピタンの有効成分量は承認基準内で最大量となっているため、作用が強くあらわれることがあります。
他の漢方薬を飲んでる方は注意が必要
アルピタンに含まれる5つの成分は他の漢方薬にも配合されています。例えば、頻尿などに使われる八味地黄丸にも、タクシャ・ブクリョウ・ケイヒの3つの成分が配合されています。普段から漢方薬を飲まれている方は気づかないうちに特定の成分を飲み過ぎてしまう可能性がありますので、服用前に医師や薬剤師に必ず相談してからお薬を使用するようにしましょう。
アルピタンとアルピタンγ(ガンマ)は違うの?
アルピタンシリーズでは、アルピタンの他に酒残りに効く『アルピタンγ』も販売されています。そこで、アルピタンとアルピタンγの成分、効能効果の違いについても詳しく解説します。
成分の違い
『アルピタンγ』の成分はアルピタンと同じ5つの生薬成分に加え、肝臓の働きを助ける生薬成分の茵蔯蒿(インチンコウ)が追加されています。5つの生薬成分(タクシャ・チョレイ・ブクリョウ・ビャクジュツ・ケイヒ)が配合されていますが、含有量はアルピタンと比べると若干の違いがあります。
効能効果の違い
『アルピタンγ』の効能効果は、体力中等度以上をめやすとして、のどが渇いて、尿量が少ないものの次の諸症:嘔吐、じんましん、二日酔、むくみです。
『アルピタンγ』にもアルピタンと同じ漢方成分が含まれているので、身体の水分バランスを整える作用があります。さらには、加齢や飲みすぎのため弱った肝臓の働きを助けるインチンコウが追加されたことで、アルコールの分解と代謝を促進して酒残りも改善してくれます。
アルピタンはいつ飲めばいい?
アルピタン、アルピタンγは、どちらも頭痛や酒残りなど二日酔いの症状を和らげるお薬ですので、飲み過ぎた翌日の頭痛や酒残りがひどい時に飲んでください。
漢方薬は一般的に胃が空っぽの時に飲んだ方がよく吸収されますので、食前もしくは食間(食事と食事の間:目安としては食後2~2時間後)にお薬を飲みましょう。
まとめ
『アルピタン』シリーズは、身体の水分バランスを調整する働きで、頭痛や吐き気、二日酔いの症状を改善してくれます。
二日酔いそのものは病気ではありませんが、過剰なアルコール摂取は急性胃炎や胃潰瘍を起こすこともあります。
アルピタンは二日酔いの諸症状を改善する市販薬ですが、頭痛、吐き気、腹痛などの症状が長引く時や時間が経つにつれて症状がひどくなる時は、自分自身で判断するのではなく、救急の医療相談窓口や近隣の医療機関に相談し、適切な治療を受けることも必要です。
参考資料
・「アルコール頭痛」の症状とアルピタンのメカニズム|アルコールによる不調を改善|アルピタンシリーズ|小林製薬
・アルピタンγ(ガンマ) – 製品情報 – 小林製薬株式会社
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
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