市販の咳止めの商品と購入時の注意点。市販薬で対処できるシーンとは

薬を飲む女性

咳がとまらないからお薬を飲みたいのに、どれを選べばよいかわからないという状況に陥ったことはありませんか。咳に使える商品はドラッグストアやコンビニをはじめ様々な場所で購入できる一方、商品の種類を選ぶのが多すぎて大変です。

この記事では、咳止め商品の詳しい解説に加え、市販薬で対処可能なシーンについて解説します。

薬剤師からのポイント

キーポイント

咳止めはむやみに飲まないこと

皆さんは咳はなんのために起こっているのかご存知ですか。正解は異物から体を守るためです。外界にはほこりや煙、細菌やウイルスなど様々なものであふれています。呼吸をする際にそれらの異物が体に入ってしまうことを防ぐための防御反応として咳があります。

そのため、むやみに咳止めを飲んでしまうと体の防御反応がうまく働かなくなってしまいます。

子供には使用できない咳止め薬がある

咳止め薬に使用される有効成分には数多くありますが、11歳までの子供には使用できない有効成分があります。それはコデイン系の有効成分です。コデイン系の有効成分は咳止め薬としてよく使用される成分であるものの、副作用として呼吸抑制などが知られており、11 歳までの子供には使用できません。

妊娠・授乳中は特に注意

妊娠・授乳中のご婦人はお薬の使用に対して特に注意が必要です。有効成分によっては、赤ちゃんまで有効成分が届くことで悪影響を及ぼしたり、母乳への分泌が起こる場合があります。。お薬の使用にあたっては自己判断で服用せず、必ず主治医の指示に従ってください。

咳は自己判断が難しい症状

喉を押さえる女性

咳には様々な種類があり、自己判断が難しいと言えます。風邪などの細菌やウイルス感染によって引き起こされる咳から、アレルギーなどの自己免疫によって引き起こされる咳もあります。

原因によって治療方法も異なるため、咳の症状が長引く場合や症状がどんどん辛くなる場合には医療機関を受診しましょう。

短期的な対処法として活用

咳止め薬に限らず、ドラッグストアやコンビニなどで購入可能な市販薬は短期的な対処法として使用しましょう。長く続く咳は風邪以外の症状である可能性もあり、詳しい検査をしていただく必要があるかもしれません。

あくまで、すぐに医療機関へ行くことができないけれども、一時的に咳をとめたいという場合に市販薬を活用してください。

咳止めの主な成分

咳止め薬の主な成分をご紹介します。

成分によって使用方法が異なっているため、使用にあたっては十分お薬のことを理解してから使用してください。

ジヒドロコデインリン酸塩

咳止め薬として市販薬だけでなく医療用医薬品としても使用される成分です。咳をとめる効果が期待される一方で、呼吸抑制などの副作用も報告されており注意が必要です。

コデイン系に分類されるため、11 歳までの子供は服用できません。

デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物

鎮咳性去痰薬として使用される有効成分です。咳中枢に作用して咳反射を抑制します。

テオフィリン・ジプロフィリン

テオフィリン・ジプロフィリンは気管支拡張が期待される有効成分です。狭くなっている気道を広げ息を吸いやすくする効果があります。

dl-メチルエフェドリン塩酸塩

dl-メチルエフェドリン塩酸塩は気管支拡張効果が期待される有効成分です。生薬として使用されるマオウから発見された成分でせきやたんなどに対して使用されます。

お薬の飲み合わせに特に注意が必要な成分です。

咳止めの市販薬を紹介

次に先ほど紹介した有効成分が含まれる市販薬をご紹介いたします。

クールワンせき止めGX

クールワンせき止めGXには有効成分としてジヒドロコデインリン酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩が配合されています。ジヒドロコデインリン酸塩は咳中枢に作用して咳を抑え、dl-メチルエフェドリンリン酸塩は気管支を拡張することで咳を鎮めます。

コデイン系の成分が配合されているため、11歳までの子供は服用できません。

用法用量

年齢1回服用量1日服用回数
大人 (15歳から)2錠3回
12歳から14歳まで1錠3回
11歳まで服用しないでください服用しないでください

メジコンせき止め錠Pro

メジコンせき止め錠Proは有効成分であるデキストロメトルファンが医療用医薬品と同量配合されている市販薬です。デキストロメトルファンが咳中枢に作用し咳を抑えます。

14歳までの方は服用できないため注意して下さい。

用法用量

3回年齢1回服用量1日服用回数
大人 (15歳から)2錠3回
14歳まで服用しないでください服用しないでください

新コンタックせき止めW持続性

新コンタックせき止めW持続性はデキストロメトルファンおよびジプロフィリン 2種類の有効成分が配合されている咳止め薬です。咳とたんに対して使用可能です。この商品は速く溶ける層とゆっくり溶ける層があり、「速く溶けて長く効く」という特徴があります。

用法用量

年齢1回服用量1日服用回数
大人 (15歳から)1カプセル2回 (朝・夕)
14歳まで服用しないでください服用しないでください

咳止めの市販薬を選ぶ際の注意点

女性薬剤師

クスリには必ずリスクが伴います。咳止めの市販薬を購入する際には次のことに注意してください。

治療中の病気がある場合は注意

治療中の病気がある方は特に注意が必要です。咳止め薬の中には病気を悪化させてしまったり、他のお薬と相互作用を起こしてしまう成分が含まれている場合があります。治療中の病気がある場合には主治医に相談の上、服用するようにしてください。

車の運転は控える

咳止め薬に配合されているコデイン系やデキストロメトルファンはじめとするいくつかの有効成分には副作用として眠気が報告されています。そのため、服用後の車の運転はできません。また車の運転だけでなく、危険を伴う機械作業もできないため、お仕事などで車の運転や機械作業を行う方は服用するお薬に眠気を引き起こす成分が含まれていないことを確認してください。ご自身でわからない場合には、薬剤師や登録販売者に聞いてみてください。

まとめ

今回は市販の咳止め薬について成分の特徴をはじめ、使用する際の注意点について解説しました。

咳は体の防御反応であることから、咳止め薬の使用は必要最低限に留め、お薬のことをよく理解してから服用する必要があります。

また、咳止め薬に配合されている有効成分の中には副作用リスクが高いものも存在するため、使用にあたっては注意が必要です。

ご自身が使用するお薬をよく理解し正しく服用してください。

 

こちらの記事も読まれています

龍角散の効果

市販の風邪薬を選ぶときのポイント

のどの痛みに効く市販薬

参考資料

くすりと健康の情報局_咳(せき)の原因
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/20_seki/#:~:text=%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%82-,%E5%92%B3%EF%BC%88%E3%81%9B%E3%81%8D%EF%BC%89%E3%81%AF%E5%A4%96%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E7%95%B0%E7%89%A9%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E9%98%B2%E5%BE%A1%E5%8F%8D%E5%BF%9C,%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93%EF%BC%89%E3%81%8C%E6%84%9F%E3%81%98%E5%8F%96%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82 

クールワンせき止めGX_製品情報
https://www.coolone.jp/products/sekigx.html 

メジコンせき止め錠Pro_製品情報
https://www.shionogi-hc.co.jp/medicon.html 

新コンタックせき止めW持続性_製品情報
https://contac.jp/products/con_sekidome.html 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Nobuhiro Nagao

病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。

一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。

Author profile

Yosuke Fukuoka

薬剤師

【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。

関連記事

  1. 喉の痛みに効果のある市販の風邪薬は?商品の種類や特徴を紹介

  2. ヒルマイルドとヘパソフトの違いとは|剤形や分類、濃度を知り乾燥肌を改善しよう

  3. 風邪薬

    市販の風邪薬の副作用。リスクを回避するために身につけるべき知識とは

  4. あなたに合うナザール点鼻薬はどれ?症状から商品を見極めよう

  5. 考える女性

    ロキソニンの飲みすぎによる影響とは?副作用を防ぐ3つのポイント

  6. タイレノールAとは?解熱鎮痛成分「アセトアミノフェン」のみ配合の市販薬の特徴