肌ケアに化粧水や美容液を使用している方は多いですが、化粧水などで補給した水分を逃さないように「フタ」をするワセリンはご存知ですか?
今回はワセリンの1種である「プロペト」について肌ケアにおける役割やワセリンとの違い、市販薬の情報について詳しく紹介します。
プロペトとは
「プロペト」という製品は有効成分に白色ワセリンを配合した医療用医薬品です。白色ワセリンには保湿やお肌の保護作用があり、医療の現場では患部の皮膚を保護したい時や、軟膏を混ぜ合わせる時の基剤として使用します。
また、白色ワセリンは副作用の心配が少なく、低刺激のため赤ちゃんから大人まで幅広い年齢の方が使用できるお薬です。
ちなみに医療用医薬品とは原則として医師が発行した処方箋がないと手に入れることができません。つまり、このプロペトは病院に受診して初めて使用ができるお薬です。
ワセリンの働き
ワセリンとは天然成分である石油から抽出した炭化水素類から色を抜き、精製して作られた保湿成分です。不純物をできるだけ取り除いて作られているため、においがなく顔をはじめとした全身に使用することができます。
ワセリンはお肌の表面に油の膜をつくることで、肌内部からの水分の蒸発を防ぎ、肌のうるおいを保つ働きがあります。また、お肌の表面に油の膜をつくることで、ハウスダストなどの外部刺激からお肌を守ってくれる働きがあります。
プロペトは「水分を外に逃がさない」
保湿剤は大きく2種類に分かれます。
1つは「お肌の内部の水分を外に逃がさない」ようにするもので成分にワセリンが配合されている保湿剤です。
もう1つは「お肌の水分を保つ」もので、成分としてはヘパリン類似物質や尿素などが配合されている保湿剤です。尿素配合の代表的な市販薬には「ケラチナミン」「フェルゼア」、ヘパリン類似物質配合の代表的な市販薬には「ヒルマイルド」「ヘパソフト」などの保湿剤があります。
プロペトと白色ワセリンについて
プロペトの成分は白色ワセリンですが、医療現場では「白色ワセリン」という名前の医薬品が処方されることがしばしばあります。実際に「白色ワセリン」を処方された方もおられるのではないでしょうか。ここではプロペトと白色ワセリンの違いについて紹介します。
プロペトと白色ワセリンの違いは?
プロペトと白色ワセリンの違いは白色ワセリンの純度の違いです。どちらも有効成分に白色ワセリンが1g中に1gと同じ濃度で配合されていますが、白色ワセリンの中に含まれる不純物を取り除いたものがプロペトです。
つまり、より白色ワセリンの純度を高めたものがプロペトです。
医師が処方する医療用医薬品として使用される
プロペトと白色ワセリンはどちらも医師が発行する処方箋によって使用できる医療用医薬品です。
どちらも皮膚保護剤として使用されたり、様々な軟膏製品の基剤(軟膏のうち薬効成分以外の大部分)として用いられたりします。
プロペトは目の周りにも塗布が可能
さらにプロペトに限っては、眼科用軟膏基剤(目の周りに使用する薬を長く皮膚に留めたり、皮膚への吸収を良くするもの)としても使用できます。
目の周りは皮膚が薄いため、他の皮膚に比べ薬を吸収しやすい、刺激に反応しやすいなどの特徴があります。
プロペトは白色ワセリンの不純物を取り除き、より純度を高めたワセリンのためより刺激性が低いことから眼科用軟膏基剤としての使用が認められています。
あくまでも眼科用軟膏基剤は目の周囲に塗るものになります。目の中に入れないよう注意してください。
プロペトの市販薬はあるの?
プロペトの市販薬として、第一三共ヘルスケアが販売しているプロペトピュアベールがあります。
有効成分の白色ワセリンがプロペトと同じ1g中に1gと同じ濃度で配合されています。
また防腐剤無添加、酸化防止剤無添加、無香料・無着色と刺激に弱いお肌を考え作られています。
プロペトピュアベールを販売しているのは第一三共ヘルスケアですが、製造販売元は医療用医薬品のプロペトと同じ丸石製薬株式会社になります。
プロペトピュアベールの効果
プロペトピュアベールは以下の効果があります。
・手足のヒビ
・アカギレ
・皮膚のあれ
・その他皮膚の保護
プロペトピュアベールの副作用
プロペトピュアベールに含まれる白色ワセリンは一般的に副作用が起こりにくいとされています。まれに副作用として皮膚の赤みや皮膚のブツブツ、かゆみを生じることがあります。
使用上の注意点
プロペトピュアベールの有効成分である白色ワセリンは天然の油性成分のため、温度によりやわらかさが変わったり、溶けたりすることがあります。そのため、30℃以下の直射日光が当たらない場所に保管しましょう。
また、薬などでアレルギーを起こしたことのある人や皮膚のジュクジュク・ただれがひどい人は使用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談しましょう。
プロペトピュアベールはどんな方におすすめ?
乾燥の季節など肌乾燥が気になる方
プロペトピュアベールは白色ワセリンの働きによって、お肌内部の水分をとじこめることで、お肌の乾燥を改善します。そのため乾燥の強い冬に起こりやすい、顔の乾燥はもちろん手や腕など全身の保湿に使用できます。
また、唇の保湿にも使用できます。ただし、ワセリンはあくまで肌内部の水分をとじこめるもので、お肌に水分を補うわけではありません。顔に使用する場合は化粧水や乳液でしっかりとお肌にうるおいを与えた後に使用しましょう。
日常生活で水を扱う機会が多い方
ワセリンには水をはじくという特性があります。そのため、普段から洗濯や食器洗いなどで手が乾燥しやすい主婦の方や美容師、飲食など水を扱う機会が多い仕事の方にプロペトピュアベールは特におすすめです。
大人から赤ちゃんまで年齢問わず使える
プロペトピュアベールは年齢や性別に関係なく大人から赤ちゃんまで使用できます。また、肌が弱い人やアトピー性皮膚炎の人、赤ちゃんなど刺激に対して敏感なお肌にも不純物を限りなく取り除き、刺激が少ないプロペトピュアベールはおすすめです。
さいごに
プロペトと白色ワセリンにはどちらも有効成分の白色ワセリンが同じ濃度で配合されています。一方で、白色ワセリンの純度をさらに高めたものがプロペトになります。
そのため外部刺激に弱い敏感肌の人や、アトピー性皮膚炎、赤ちゃんの乾燥肌ケアにプロペトは特におすすめです。
「仕事や家事が忙しく病院になかなか受診できない!」そんな時は市販薬のプロペトピュアベールを試してみてはいかかでしょう?
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プロペトピュアベールに関するQ&A
Q.何歳から使用できますか?
A.年齢の制限はありません。
ただし小児に使用する場合は、保護者の指導監督の元使用しましょう。
※メーカー確認済(2020/12)
Q.使用できない部位はありますか?
A.目の中には使用しないでください。また外用にのみ使用してください。
Q.妊娠中・授乳中でも使用できますか?
A.プロペトピュアベールは妊娠・授乳中に使用できます。
※メーカー確認済(2020/12)
Q.1日何回塗ればいいの?
A.使用回数の制限はありません。使用できるタイミングで1日2〜3回の使用をおすすめします。
Q.ステロイドは入っていますか?
A.プロペトピュアベールにステロイドは入っていません。
Q.薬剤師や登録販売者による販売が必要?
A.登録販売者がいれば購入できます。
プロペトピュアベールは第3類医薬品※です。薬剤師が不在でも、登録販売者のいるドラッグストアなどで購入できます。※2020/12/23現在
Q.ECサイトなどネットで購入することはできる?
A.インターネットなどの通販サイトでの購入が可能です。
参考資料
・プロペトピュアベール(詳細)/第一三共ヘルスケア
・プロペト添付文書
・白色ワセリン添付文書-健栄製薬
https://general.kenei-pharm.com/cms/wp-content/uploads/2016/04/白色ワセリン.pdf
健栄製薬一般向け情報サイト/乾燥肌対策におすすめ!ワセリンの上手な使い方
https://general.kenei-pharm.com/learn/dry-skin/2582/
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。