King&Princeの永瀬廉さんがCMに出演していることでも有名な乾燥肌治療薬ヒルマイルドですが、「医療用医薬品のヒルドイドと何が違うの?」と疑問を抱いた方も多いでしょう。
今回は市販薬ヒルマイルドと医療用医薬品ヒルドイドの違いについて効能効果や成分、濃度などの観点から解説します。また、ヒルマイルドのクリームタイプとローションタイプの使い分けも合わせて紹介します。
ヒルマイルドとは
ヒルマイルドは乾燥肌治療薬
ヒルマイルドは健栄製薬株式会社から販売されている乾燥肌治療薬です。有効成分として保湿力を持つヘパリン類似物質を0.3%配合したヒルマイルドは乾燥肌を治してくれます。
有効成分「へパリン類似物質」を0.3%濃度で配合
ヘパリン類似物質は多糖類の一種で、私たちの体内に存在するヘパリンと似た構造を持っています。また、ヘパリン類似物質は保湿作用・血行促進作用・抗炎症作用があるため、肌に塗ることで乾燥・肌荒れ・炎症などを改善します。
ヒルマイルドはクリームとローションの2種類のタイプ
ヒルマイルドの場合、クリームタイプは油性基剤、ローションタイプは水性基剤をベースとしているため、それぞれ特徴が違います。
油性基剤をベースとするクリームタイプは粘度が高く、しっとりとした使用感が得られます。水性基剤がベースであるローションタイプはべとつきが少なく伸びが良いため、広範囲に塗ることができます。
ヒルドイド®︎とは
ヒルドイド®︎はヘパリン類似物質0.3%を有効成分とする医療用医薬品で、マルホ株式会社が製造販売を行っています。
ヒルドイドの剤形としてはクリーム、ソフト軟膏、ローション、フォーム、ゲル剤が存在し、ゲル剤を除く4剤形が保湿剤として使用されています。
医療用医薬品「ヒルドイド」との違いは?
製造会社
ヒルマイルドとヒルドイドの製造会社は違い、ヒルマイルドは健栄製薬株式会社、ヒルドイドはマルホ株式会社が製造販売しています。
ヒルマイルドを販売している健栄製薬株式会社は消毒用エタノールのトップメーカーとして有名で代表商品には「手ピカジェル」や「酸化マグネシウムE便秘薬」などがあります。
一方、ヒルドイドを販売しているマルホ株式会社は「皮膚科領域の医療用医薬品と言えばマルホ」というくらい皮膚のお薬に特化した代表メーカーです。
効能効果
ヒルマイルド
ヒルマイルドは手指の荒れ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、手足のひび・あかぎれ、乾皮症、小児の乾燥性皮ふ、しもやけ(ただれを除く)、きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛に対して効果があります。
ヒルドイド
ヒルドイドは皮膚の保湿作用があり、皮膚の乾燥症状を軽くします。また使用部位の血行を良くし、血行不良による痛みや腫れを軽くします。
通常、凍瘡(しもやけ)、瘢痕(きずあと)・ケロイド、指掌角皮症、皮脂欠乏症(乾皮症)などの治療に使用されます。
入手方法
ヒルマイルドは第2類医薬品に分類される一般用医薬品であるため、薬局やドラッグストアで薬剤師もしくは登録販売者から購入できます。
ヒルドイドは医療用医薬品のため、原則として医師が発行した処方箋がないと手に入れることができません。
価格
ヒルマイルドシリーズ(60g)のメーカー希望小売価格は1,550円です(2020年6月時点)。ヒルドイドクリーム・ソフト軟膏・ローションの薬価は21.6円/gであるため、60gの場合は1,296円です(2020年4月時点)。
医療保険が適用されて3割負担の場合は388.8円となりますが、医療機関の受診料などが加算されます。
美容に効果的って本当?
医療用医薬品であるヒルドイドの保湿作用を期待して使用できるのは皮脂欠乏症のみであるため、単なる乾燥を防ぐ目的では使用できません。
一方で、一般用医薬品であるヒルマイルドは乾燥が気になるところに塗ることで、肌の乾燥を治してうるおい肌をキープします。
薬剤師からのポイント
顔への使用可能
ヒルマイルドは顔にも使用できます。ただし、目に入らないよう十分注意してください。万が一目に入ったときは、すぐに水またはぬるま湯で洗ってください。
また、目や目の周囲、粘膜部分やきず、やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱりのある顔面(患部)には使用しないでください。
しっとりとした使用感ならクリームタイプ
クリームタイプのヒルマイルドは油性基剤をメインとして、その中に水が分散している状態です。
したがって、クリームタイプは乾燥が気になる場所へしっかりと塗り込むことができ、ローションタイプと比べてしっとりとした使用感が得られます。
さいごに
ヒルマイルドは乾燥肌治療を目的とした市販薬であり、医療用であるヒルドイドと同濃度のヘパリン類似物質が有効成分として含まれています。
また、肌の状態や用途に応じて、クリームとローションの2種類から選ぶことができます。寒い時期などに肌の乾燥が気になる方はヒルマイルドは試してみてはいかがでしょうか。
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ヒルマイルドに関するQ&A
Q.何歳から使用できますか?
A.小さなお子様から使用できます。小児に使用させる場合は、保護者の指導監督のもとで使用してください。
Q.使用できない部位はありますか?
A.目や目の周囲、粘膜部分やきず、やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱりのある顔面(患部)には使用しないでください。
Q.妊娠中・授乳中でも使用できますか?
A.胎児や乳幼児へ影響を与えるような成分は配合されていないため、妊娠中・ 授乳中でも使用できます。ただし、不明な点がある場合は、使用前に医師や薬 剤師に相談しましょう。
Q.1日何回塗ればいいの?
A.乾燥が気になるタイミングで1日数回を目安にご使用ください。洗顔後や入浴後など清潔な肌へのご使用がおすすめです。
Q.ステロイドは入っていますか?
A.ヒルマイルドにステロイドは入っていません。
Q.薬剤師がいないと買えないのかな?
A.第2類医薬品のため、薬剤師が不在でも登録販売者から購入できます。
Q.ECサイトなどネットで購入することはできる?
A.通販サイトなどで購入できます。
参考資料
・乾燥肌治療ヒルマイルド|健栄製薬 (kenei-pharm.com)
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。