
ステロイド外用剤(塗り薬)に強さがあることを知っていますか?
ステロイド外用剤は湿疹や皮膚炎などのかゆみや赤らみに用いられる医薬品ですが、成分の強さによって顔や手足など部位ごとで使い分けられています。
病院でもらう場合は医師や薬剤師が確認していますが、市販薬の場合は主に自分で確認しなければいけません。
今回の記事では、ステロイド外用剤の強さの分類について紹介します。自分の症状に適したステロイド外用剤を選べられるように学んでいきましょう。
ステロイド外用剤(塗り薬)とは
ステロイド外用剤とは、ステロイド(合成副腎皮質ホルモン)という薬効成分を配合した塗り薬です。湿疹や皮膚炎などの治療で用いられており、医療現場では欠かせない医薬品として子どもからお年寄りまで幅広く使われています。
医療用で使われるステロイド外用剤の種類は豊富な一方で、市販薬としてもいくつか販売されています。
そもそもステロイドってなに?
ステロイドとは腎臓の上端にある「副腎」で作られる副腎皮質ホルモンのひとつです。
などの効果があり、かゆみや赤みなどの症状を改善します。
成分によって強さのランクが異なる
ステロイド外用剤といっても種類はさまざまあり、ステロイドの強弱によって5つのランクに分類されています。
ステロイド外用剤の強さは湿疹や皮膚炎の治療方法を選ぶ際の基準として用いられており、日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」にも掲載されています。
市販薬には『強い(strong)』『おだやか(mild)』『弱い(weak)』のランクの商品が販売されています。
強さのランクと成分のまとめ表


市販のステロイド外用薬を選ぶときのチェックポイント
市販されているステロイド外用薬を選ぶ際には、以下のポイントを押さえることが大切です。
① ランク(強さ)を確認する
ステロイドには「強い」「おだやか」「弱い」といったランクがあります。症状が軽い場合や顔など皮膚の薄い部分に使う場合は、「おだやか」または「弱い」タイプを選びましょう。
② 使用する部位を確認する
顔や首、デリケートゾーンなどは皮膚が敏感なため、刺激の少ない薬を選ぶ必要があります。商品パッケージや説明書に「顔に使える」などの表記があるか確認しましょう。
③ 症状や原因に合っているか
虫刺され、湿疹、かぶれなど、症状によって向いている薬が異なります。「かゆみ止め」として販売されていても、原因がアレルギーや乾燥の場合、効果が不十分なこともあります。
④ 使用できる年齢を確認する
子どもや乳幼児が使える薬は限られています。年齢制限が設けられていることもあるため、家族で使いたい場合はとくに注意しましょう。
不安がある場合は、薬剤師や登録販売者に相談し、自分の症状に合った薬を選ぶようにしましょう。
ステロイド外用剤と非ステロイド外用剤の違い
市販の塗り薬には、「ステロイド成分が入った薬」と「ステロイドを含まない薬(非ステロイド)」があります。違いを知っておくことで、症状や不安に応じた適切な選択ができます。
ステロイド外用薬の特徴
・強い炎症やかゆみに高い効果
・短期間で症状を抑えられることが多い
・部位や使い方に注意が必要
・副作用のリスクがあるため使いすぎに注意
非ステロイド外用薬の特徴
・副作用のリスクが少ない
・軽いかゆみや赤み、虫刺されに使いやすい
・慢性的な皮膚トラブルには効果が弱いこともある
・長期間でも比較的安心して使える
「ステロイド=怖い薬」と思われがちですが、正しく使えば非常に効果的です。症状の強さや体質、使用部位によって適切なものを選びましょう。不安な方は、まず非ステロイド薬を試し、改善しない場合に医療機関に相談するのも一つの方法です。
まとめ
ステロイド外用薬は、湿疹や皮膚炎などの炎症をしっかりと抑えてくれる頼もしい薬です。ただし、「強さのランク」や「使用する部位」に応じた使い分けがとても大切です。顔など皮膚が敏感な場所や、子ども・高齢者には吸収率が高くなるため、特に注意が必要です。
市販薬を選ぶときは、薬のランク、使う部位、年齢制限などをよく確認しましょう。また、「ステロイド=危険」と思い込まず、症状に応じてステロイドと非ステロイドを使い分けることも大切です。
不安なときや自分で判断がつかないときは、薬剤師や登録販売者に相談することで、安心して薬を使うことができます。適切な使い方を心がけて、皮膚トラブルを早めに改善しましょう。
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執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
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Ryo Omura
医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
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