雨の日に頭が痛かったり、体がだるいということを経験したことはありませんか。もしかしたらそれらの症状は低気圧による体調不良かもしれません。
この記事では低気圧によって引き起こされる体調不良のうち、天気頭痛とそれに効果のあるお薬について薬剤師が詳しく解説します。
薬剤師からの選び方のポイント
『五苓散』が天気頭痛に効く
天気頭痛には五苓散という漢方薬が効果的です。五苓散とは 5 種類の生薬が配合された漢方薬で、体内の水分を整えてくれる働きがあります。
また、五苓散は体力に関わらず使用できる比較的使いやすい漢方薬です。天気頭痛の原因である水分バランスが整うことで、天気頭痛だけでなく、めまいやだるさなどの症状にも効果が期待できます。
飲む『タイミング』が大切
五苓散は食前または食間 (食後 2-3 時間後) の空腹時に服用するお薬です。気圧の下がり始め等、頭痛が来たと感じたタイミングですぐに服用することが可能です。
天気予報でも気圧に関する情報が得られるため、頭痛に対して準備をすることが可能です。また、次に紹介している『天気頭痛予報』も上手にご活用ください。
『天気頭痛予報』を上手に活用する
天気痛予報というサービスがあることをご存知でしょうか。このサービスはウェザーニュース®︎ から提供されているサービスで、地域ごとに天気頭痛に対して注意が必要かどうかを教えてくれます。無料で調べることができるので、天気頭痛と見られる症状をお持ちの方はぜひ一度確認してみてください。
ウェザーニュース|天気痛予報
https://weathernews.jp/s/pain/
天気頭痛とは
天気頭痛とは気圧の変化に伴う体調不良の1つです。気圧や天気が変動することで体内の水分バランスが乱れてしまい、体内に必要以上の水分が貯留すると考えられています。
体内に余分な水分が溜まることは、血管拡張の原因となります。脳内の血管が拡張することで周りの神経を圧迫し頭痛が発生します。
漢方薬『五苓散』のはたらき
なぜ五苓散が天気頭痛に効果があるのでしょうか。
五苓散は体内の水分バランスを整える効果があります。先ほど天気頭痛の原因は脳内の血管拡張だと考えられていると解説しましたが、体内の水分バランスが正常に戻ることで血管拡張を抑制することが可能です。また、頭痛だけでなく低気圧が原因となるだるさなどにも効果がある漢方薬です。
天気頭痛に効く『五苓散』を配合した市販薬
テイラック
テイラックは小林製薬株式会社から発売されている錠剤タイプの漢方薬です。
効果・効能
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔
用法・用量
次に示す量を食前または食間 (食後 2-3 時間後) に水またはお湯で服用してください。
年齢 | 1回量 | 服用回数 |
成人 (15歳から) | 4錠 | 1日3回 |
5 歳から 14歳まで | 2錠 | 1日3回 |
アルピタン
アルピタンは小林製薬株式会社から発売されている粉末タイプの漢方薬です。粉末タイプのお薬なので錠剤が飲めない方におすすめです。また、この製品は5歳以下のお子さんにも使用することが可能という特徴があります。
アルコールによる二日酔いの為のお薬として発売されていますが、配合されている有効成分は五苓散ですので他の製品と同様に、天気頭痛に対して使用することが可能です。
効果・効能
テイラックと同様の成分が配合されていますので、効果・効能についてはテイラックの項目で解説した効果・効能をご覧ください。
用法・用量
次に示す量を食前または食間 (食後 2-3 時間後) に水またはお湯で服用してください。
年齢 | 1回量 | 服用回数 |
成人 (15歳から) | 1包 | 1日3回 |
7 歳から 14 歳まで | 2/3包 | 1日3回 |
4 歳から 6 歳まで | 1/2包 | 1日3回 |
2 歳から 3 歳まで | 1/3包 | 1日3回 |
キアガード
キアガードはロート製薬株式会社から発売されている錠剤タイプの漢方薬です。
効果・効能
テイラックと同様の成分が配合されていますので、効果・効能についてはテイラックの項目で解説した効果・効能をご覧ください。
用法・用量
次に示す量を食前または食間 (食後 2-3 時間後) に水またはお湯で服用してください。
年齢 | 1回量 | 服用回数 |
成人 (15歳から) | 4錠 | 1日3回 |
5 歳から 14歳まで | 2錠 | 1日3回 |
まとめ
今回は天気が悪くなると起こる天気頭痛について、そのメカニズムと効果的な漢方薬について詳しく解説しました。頭痛は身体的にも精神的にもその人の生活に影響を与える症状です。辛いなと思った際にお薬を使用することも選択肢の1つになるのではないでしょうか。
この記事が、皆様の日常生活における医薬品の適正使用に貢献できれば幸いです。
参考文献
https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/053110938.pdf
https://www.kobayashi.co.jp/brand/teirakku/product.html
https://jp.rohto.com/wakansen/kiaguard/
https://www.kobayashi.co.jp/seihin/alp/
https://www.kobayashi.co.jp/brand/teirakku/mechanism.html
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。
Yosuke Fukuoka
【薬剤師】ドラッグストア薬剤師を4年間経験。その後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。