「酸化マグネシウム」の効果とポイント|便秘解消へのアプローチ

スッキリしている女性

便秘は食物繊維や水分の摂取不足、加齢、ストレスなどが原因となり誰にでも起こりうる疾患です。特に、女性や高齢者の方は便秘に悩まされた経験があるのではないでしょうか。また、便秘は悪化することで不快感や痛みを伴うこともあり、人知れず悩んでいる方も多いでしょう。

今回は便秘の原因と治療薬としてよく使用される『酸化マグネシウム』について詳しく解説します。

酸化マグネシウムの効果とは

酸化マグネシウムには『便通を促す作用』(排便促進作用)、『胃への負担を軽減する作用』(制酸作用)、『結石の予防作用』(尿路シュウ酸カルシウム結石)など複数の作用が確認されており、実際の医療現場でもよく使用されています。

今回はその中でも『便通を促す作用』と『胃の負担を軽減する作用』について触れ、その後、便秘に対する酸化マグネシウムの作用について詳しく解説します。

便通を促す作用

トイレでお腹をさする女性

通常、口から摂取した食べ物は胃で消化され、小腸へ送られます。小腸では胃に続く消化が行われるとともに栄養素の吸収が行われ、栄養素が搾り取られた残りが大腸へと送られます。大腸では残りかすから水分が吸収され、便が形成されます。

食物繊維・水分の摂取不足、加齢やストレスなどによって便が大腸に長時間とどまることで、水分が過度に吸収され便が固くなります。便が硬くなることで、大腸の蠕動(ぜんどう)運動によって便が肛門までうまく運ばれず腸の中に留まる恐れがあります。

酸化マグネシウムは腸管内に水分を移動させることで、便から水分が過度になくなることを防ぎ、便通を促す作用を有しています。

胃の負担を軽減する作用

胃痛 女性

酸化マグネシウムは胃の負担を軽減する作用も有しています。胃は胃酸を分泌することで口から摂取された食物を消化します。何らかの原因で胃酸の分泌が過剰になり、ときに胃の痛みを引き起こすことがあります。

酸化マグネシウムは、痛みの原因となる胃酸を中和し胃の負担を軽減する作用を有しています。余談ですが、酸化マグネシウムは中和の際に二酸化炭素を発生しないことから刺激のない制酸薬に分類されます。

酸化マグネシウムは「非刺激性タイプ」に分類

薬とコップ

便秘薬には、腸粘膜を刺激して蠕動運動を活発にする『刺激性タイプ』、濃度の異なる液体の差(浸透圧)で大腸内の水分量を増やし、便を柔らかく排出させる『非刺激性タイプ』、肛門から直接注入して直腸を直接刺激する『浣腸』などがあります。

その中でも、酸化マグネシウムは『非刺激性タイプ』に分類される便秘薬で、『腹痛』を伴わず『クセになりにくい』という特徴があります。腸ではなく便に働きかけるお薬で、便を柔らかくしたり、大きくしたりして腸の蠕動運動を活発にし、簡単に排泄できるようにします。

便の水分不足を解消

酸化マグネシウムには便の水分不足を解消する作用があります。マグネシウムなどのミネラルは、浸透圧により腸の壁から水分を腸管内に引き込み、便に適切な水分を与えます。例えると、野菜に塩をかけると水分が外に出てくるのと同じ現象です。

便秘の多くはいくつかの理由により、大腸内に長く便が滞留することで便から水分が失われ、硬い便が形成されることによって起こります。便に適切な水分を与えることで便をやわらかくし、便秘の改善に貢献します。

便のかさを増やす

酸化マグネシウムには便のかさを増やす作用もあります。蠕動運動が適切に行われるためには、ある程度便が大きいことが重要です。食物繊維不足が便秘の原因としてよく挙げられるのは、食物繊維が便のかさを大きくするために重要だからです。酸化マグネシウムは腸管から水分を引き込み、便のかさを大きくすることで蠕動運動の正常化に寄与し、毎日の通便を促します。

薬剤師からのポイント

どのような方におすすめ?

お腹 女性

酸化マグネシウムは『初めて便秘薬を服用される方』『便秘薬を飲んでお腹が痛くなるのが苦手な方』『便秘薬の使用がクセになり、便秘薬なしでは排便ができなくなるのが嫌な方』におすすめです。

また、妊娠中から産後6~8週間は女性の体内で大量に分泌される女性ホルモンの一種である黄体ホルモンの作用や、大きくなった子宮の影響で腸が圧迫されるため、妊娠中の女性の約半数が便秘になるといわれています。

酸化マグネシウムは体内にほとんど吸収されず、効き目が穏やか、長期での服用が可能という特徴があるため妊婦の方も使用できます。しかしながら、妊婦が便秘薬を大量に服用すると子宮の収縮を誘発する恐れがあるため服用する量には気を付けてください。

酸化マグネシウムの効果はどのくらいで実感できる?

寝室

酸化マグネシウムの効果を実感するまでの時間には個人差がありますが、服用から8~10時間程度(早い方では1~2時間)かかります。一般的に排便のタイミングは腸が活性化する朝が適しているため、就寝前に服用し、朝排便していただくのがおすすめです。

酸化マグネシウムは飲み続けてもいいの?

酸化マグネシウムは数ある便秘薬の中でも、長期的に服用した際の安全性が比較的高く、軽症から中等度の慢性便秘に使用されています。しかしながら、酸化マグネシウムはまれに高マグネシウム血症を引き起こす可能性があり、次の症状には注意が必要です。
※高マグネシウム血症の初期症状:吐き気、嘔吐、立ちくらみ、めまい、脈が遅くなる、皮膚が赤くなる、力が入りにくくなる、体がだるい、眠気でうとうとするなど

特に、腎臓にダメージを受けている方や高齢者は腎機能が低下していることから、高マグネシウム血症を引き起こしやすく注意が必要です。

便秘を予防するために気を付けたい3つのこと

便秘には様々な原因がありますが、その多くは便を出しづらい環境にあります。特に食生活が乱れていたり、1日中家で過ごすことが多く、体を動かしていなかったり、忙しいためにトイレに行くタイミングを逃すことが便秘につながる可能性があります。

便秘を予防するために次の3つのことに気を付けましょう。

食生活で予防・改善する

朝ごはん

お腹の調子を整え、便秘を解消するためにも規則正しい食生活を心掛けましょう。食べ物と便は密接に関しています。例えばジャンクフードばかりを好んで食べていたり、ダイエットのために食事制限をしていたりすると便秘を引き起こしやすくなります。

まずは、1日3食とってみましょう。特に朝食は欠かせません。朝食をとることで腸が活性化し、排便を促す作用があります。食事の量にも注意が必要です。1回の食事の量が少ない場合、便意がわきにくくなったり、排便までの時間が長くなったりします。

また、毎日決まった時間に食事をすることも大切です。同じ時間に食事をとることで体が習慣づけられ、腸の蠕動運動も活発になり、排便習慣が身につくようになるためです。

運動習慣を身につける

ヨガ

適度な運動も便秘には効果的です。人間は腹筋を利用しお腹に力を入れることで排便を行います。日常生活の中であまり体を動かさない人は腹筋が衰え、排便の為に必要な力が入らなくなってしまいます。便秘を改善するためにもぜひ、適度な運動を心掛けましょう。

このときに大切なことは、毎日運動を続けるということです。忙しくて運動ができないからといって1日にまとめて運動を行ったとしてもあまり意味がありません。大切なのは毎日体を動かす運動習慣を身につけることです。ウォーキングやストレッチなど、自分が取り組みやすいと思える運動から始めてみましょう。

排便環境を整える

トイレ

個人差はありますが、一般的に朝食後は便がまとまって直腸に送られ、便意が起こりやすくなることが多いです。そのため朝食後は時間に余裕をもってトイレに行くとよいでしょう。

また、食後は腸の運動が活発になるため、意識してトイレに行くことが便秘改善につながります。便意のない場合でもトイレに行くと出ることもあるのでトイレに座ってみるといいかもしれません。意識づけてトイレに行くことで排便を習慣化してみてください。

まとめ

スッキリした女性

今回は多くの人が経験したことのある便秘とその治療薬である酸化マグネシウムについて解説しました。便秘は腸管自体の原因に加え、食物繊維・水分の摂取不足、加齢やストレスなどの生活習慣が原因となり誰にでも起こりうるものの、人には相談しにくい疾患です。

便秘の解消には規則正しい食生活や運動習慣・排便環境が重要となる一方で、お薬を適切に使用することも選択肢の一つになるのではないでしょうか。

解説した酸化マグネシウムは非刺激性タイプに分類される便秘薬で、浸透圧を利用し便に適切な水分を与え排便を促します。

酸化マグネシウムは腹痛が起こりづらく、耐性も生じにくいことから臨床現場でもよく使われるお薬です。つらい便秘をいち早く解消するためにも自身の症状とこのお薬の使い方をよく理解し、正しくお使いください。

酸化マグネシウムの市販薬はこちら

参考文献
・【NHK健康】市販薬が悪化につながることも!便秘の症状と原因、適切な治療法とは
・Q&A|酸化マグネシウムE便秘薬|健栄製薬
・便秘がよくわかる|建栄製薬株式会社
・医療用医薬品 : 酸化マグネシウム「コザカイ・M」添付文書

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile

Ryo Omura

WEBプロデューサー / 薬剤師 / メディア責任者

医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディア責任者
理念
・誰にでもわかりやすい医療ヘルスケア情報を発信
・医療職の働き方にも自由度を。リモートワーク環境の構築
メディアから医療を変える「デジタルチーム医療」を中心に活動。
スマートなメディア制作を心がけております。

Author profile
Nobuhiro Nagao

Nobuhiro Nagao

コンテンツディレクター/薬剤師

病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。

一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。

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