カロナールとは、子どもの熱さましから大人のさまざまな痛み(頭痛や生理痛など)に用いられる医療用医薬品です。病院やクリニックなど医療現場で長年使われており、一度は処方してもらったことがあるのではないでしょうか?
そんなカロナールですが、市販薬として買うことができたら嬉しいですよね。実は、カロナールという名前では販売されていませんが、カロナールの有効成分『アセトアミノフェン』を配合している市販薬は買うことができます。
今回は、医療用のカロナールと同じ成分を配合した『7歳から服用できる商品』を紹介します。商品を知っておくことで急な発熱や頭痛、生理痛などの痛みに自分で対応できるようになりましょう。
(6歳まで服用できるお子さん向けの商品はこちらにて紹介しております)
>>子どもから使えるカロナールと同じ市販薬とは。急な痛みや発熱に対応しよう
『カロナール』と『アセトアミノフェン』の違い
カロナール®︎とは解熱作用・鎮痛作用を持つ医療用医薬品の『商品名』です。一方、アセトアミノフェンは解熱作用・鎮痛作用を持つ『成分名』です。
つまり、カロナールとアセトアミノフェンは別物ではなく、アセトアミノフェンを有効成分として商品化されたものがカロナールとなります。
カロナールには錠剤(1錠あたり200㎎,300㎎,500㎎の3種類)や粉薬、シロップ、坐薬※など多くの剤形があります。
同じ解熱鎮痛剤のロキソニン®︎などに比べて、胃や腎臓への負担が少ないことから子どもから高齢者まで幅広い年代に使われています。
また、インフルエンザ時の解熱剤として使用されることでも有名です。
※アンヒバ®︎の名前で処方されます。
『アセトアミノフェン』の作用機序
アセトアミノフェンは体の熱を外に逃がすことで解熱作用を示し、痛みの情報を伝える物質を邪魔することで鎮痛作用を示します。
アセトアミノフェンを含んでいる市販薬
カロナール®とは医療用医薬品の商品名のため、『カロナール』として市販では販売されていません。
しかし、アセトアミノフェンを含む市販薬は販売されていますので紹介していきます。
アセトアミノフェンを含んでいる商品には、
・アセトアミノフェンに加えて他の有効成分も配合した製品
があります。その①では『1種類のみ配合した製品』を紹介します。
『アセトアミノフェン』1種類の製品
アセトアミノフェンに加えて他の有効成分を配合した市販薬はその②で紹介します。
>>カロナールの市販薬は?『アセトアミノフェン』配合商品を紹介 – その②
カロナールと3つの市販薬の比較
ここではカロナールと同様のアセトアミノフェン1種類を配合した3つの製品との比較をしてみましょう。効能効果や副作用は同じですが、服用年齢と1錠あたりのアセトアミノフェンの量が異なるのがポイントです。
効能効果
・頭痛、関節痛、腰痛、筋肉痛、月経痛、歯痛などさまざまな痛みを鎮める効果があります。
・悪寒・発熱時の解熱
・小児領域の解熱・鎮痛(カロナールのみ)
使用可能な年齢
商品名 | 使用可能年齢 |
---|---|
カロナール | 0歳から |
バファリンルナJ | 7歳から |
タイレノールA | 15歳から |
ラックル速溶錠 | 15歳から |
1錠あたりのアセトアミノフェン量
商品名 | 用量(mg)/1錠あたり |
---|---|
カロナール | 200mg,300mg,500mg |
バファリンルナJ | 100mg |
タイレノールA | 300mg |
ラックル速溶錠 | 300mg |
用法用量
商品名 | 用法用量 |
---|---|
カロナール | 痛みに対して 1回300㎎~1000㎎(※連続して服用する場合、3~4時間の間隔を空ける) 発熱に対して 1回300㎎~500㎎(※原則として1日2回まで) |
バファリンルナJ | 7歳から10歳まで 1回100㎎(1錠) 11歳から14歳まで 1回200㎎(2錠) 15歳から 1回300㎎(3錠) 1日3回まで |
タイレノールA | 1回300㎎(1錠) 1日3回まで |
ラックル速溶錠 | 1回300㎎(1錠) 1日3回まで |
『15歳から』の場合、どの商品も1回300㎎、1日上限900㎎と同じです。病院で処方されるカロナールの量は体格や年齢、症状によって医師が判断しています。これまで自分が1日どのくらいの量を処方されていたか確認してみましょう。量によっては市販薬で対応できるかもしれません。
服用間隔
バファリンルナJ、タイレノールA、ラックル速溶錠ともに連続して服用する場合は、4時間以上間隔をあけて服用してください。
副作用
アセトアミノフェンは肝機能に影響を及ぼすことが知られています。用法用量を守って服用しましょう。
(副作用についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください)
>>アセトアミノフェンの副作用や適正使用について|薬剤師視点で注意すべきこと
また、上記で紹介したようにさまざまな製品にアセトアミノフェンが配合されています。知らずに服用してアセトアミノフェンの量が過量にならないためにも、薬剤師や登録販売者に服用中の薬を伝えるようにしましょう。
鎮痛剤には他にもロキソニンやイブプロフェンなどが有名ですが、アセトアミノフェンはこれらに比べて胃腸障害などの副作用の頻度は少ない特徴があります。それでも心配な方は胃粘膜を保護するセルベールなどの胃薬と一緒に服用することをおすすめします。
いざという時の常備薬としておすすめ
カロナールは日常生活で起こり得る発熱や頭痛や腰痛、生理痛などのさまざまな痛みを改善する薬で、病院に行けないときに家にあると心強いです。なかでも、同じアセトアミノフェン1種類配合の『バファリンルナJ』『タイレノールA』『ラックル速溶錠』がおすすめです。
7歳からのお子さんとお薬を共有したい方は『バファリンルナJ』がおすすめです。15歳以上の方であれば『タイレノールA』『ラックル速溶錠(水なしで飲めます)』を選びましょう。市販薬を家やかばんに常備してみてはいかがでしょうか?
そのままその②もチェック
こちらの記事も読まれています
新型コロナワクチンの副反応に使える解熱鎮痛剤
ロキソプロフェンの飲み過ぎ
今回登場した商品
参考資料
・カロナール添付文書
・ラックル添付文書
・バファリンルナJ添付文書
・タイレノール添付文書
執筆者 / ファクトチェック / 監修者
Nobuhiro Nagao
病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。
一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。
Ryo Omura
医療編集プロダクションMEDW 代表
株式会社TENTIAL メディアディレクター、リーガルチェック
理念
・誰にでもわかりやすい医療ヘルスケア情報を発信
・医療職の働き方にも自由度を。リモートワーク環境の構築
メディアから医療を変える「デジタルチーム医療」を中心に活動。
スマートなメディア制作を心がけております。