【頭痛】各医療従事者が原因や症状を解説|治療と予防のポイント

誰もが経験したことがある頭痛。

日本人の3人に1人が頭痛に悩んでいるともいわれています。けれども、日常的に頭痛を自覚する人の多くが、医療機関を受診していないのが実状です。

強い痛みや頭痛にともなって引き起こされるさまざまな症状は、身体的にも精神的もおおきな負担となります。症状によっては、命の危険と隣り合わせとなる重篤な病気が潜んでいる可能性もあるほど、頭痛は怖い症状です。

この記事では、頭痛について医師をはじめ、薬剤師・看護師・理学療法士・管理栄養士の各専門職の視点から解説しています。原因や症状、治療について知り、各専門職からのアドバイスをもとに頭痛の対策や予防を行っていきましょう。

頭痛とは

「頭痛」はどのような病気なのでしょう。

国際頭痛分類第 2 版の頭痛分類では、頭痛を14分類、約200種類に細分化しています。

約200種類の頭痛は、原因と症状により以下の3つに分類できます。

・日常的な頭痛

・慢性的な頭痛

・脳の病気が引き起こす頭痛

まずは、3つの頭痛を簡単に解説していきます。

日常的な頭痛

疲れやストレス、風邪や二日酔いなど、ちょっとした体調の変化が原因で自覚する頭痛です。

女性の場合には、ホルモンバランスの変化で頭痛を起こすこともあります。

慢性的な頭痛

慢性頭痛は、おおくの人が悩まされている頭痛です。

以下の3つの代表的な頭痛が慢性的な頭痛と呼ばれています。

・緊張型頭痛

・片頭痛

・群発頭痛

脳の病気が引き起こす頭痛

頭痛の中で命にかかわる可能性があるのが、脳の病気が引き起こす頭痛です。

脳の病気が原因で起こる頭痛には以下の特徴があります。

・急激に症状が現れる

・今までに経験したことのないくらい強い頭痛を自覚する                

・頭痛だけでなく吐き気、力が入らない、しびれなどの症状がある

頭痛の原因となる病気の種類によっては、すぐに適切な治療やを行わなければ、後遺症をのこしたり最悪の場合、命を落とす危険性もあります。

頭痛の原因(メカニズム)と症状

頭痛がおきる原因はいろいろとあり、頭痛の種類によって症状もさまざまです。ここからは緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛の慢性的な頭痛と、脳の病気が引き起こす頭痛の原因と症状に注目し解説していきます。

緊張型頭痛

<原因>

はっきりとした原因はわかっていませんが、肩こりや体に負担がかかる姿勢をとったために首や頭まわりの筋肉が緊張している場合や、強いストレスがあると緊張型頭痛になりやすいとされています。女性の方が男性に比べて有病率が高く、加齢に伴い頻度は低くなるものの50歳以上で発症するケースもみられており高齢者でも高い有病率がみられる頭痛です。

<症状>

頭痛のなかでいちばん多いのが緊張型頭痛です。頭全体や後頭部が締め付けられるように痛むのが特徴です。目の奥の痛みを感じることもあります。

なかなか改善しない場合も多く、数日~1週間程度症状が続くことがあります。

片頭痛

<原因>

片頭痛が起こる原因ははっきりとわかっていません。

けれども、原因につながる可能性があるものが研究からわかってきています。

精神的因子:ストレス、精神的緊張、疲れ、睡眠不足

内因性因子:月経周期

環境因子:天候や気圧の変化、温度差、頻回の旅行

食事性因子:アルコールはおおくの患者に共通している頭痛を引き起こす原因の一つです。赤ワインやチョコレート、チーズなど食品も、片頭痛を引き起こすチラミンというアミノ酸がふくまれているため、原因となる可能性があります。けれども、人にによって片頭痛起こさない可能性もあるため、制限する必要はないと言われています。

他にも、肩こりや首こりなど、頭の周りの血流が悪くなると片頭痛を引き起こしやすいと言われています。

日本では8.4%の人が片頭痛を自覚しています。女性に限ってみていくと、20~40代の女性のうち17~18%が片頭痛を自覚するという研究報告もあります。

<症状>

こめかみ~目のあたりが部分的に痛んだり、特定の場所だけズキズキ・どくどく脈を打つような痛みを感じる頭痛です。

痛みの強さは日常生活にほとんど影響がないものから、身動きが取れないくらい強いものまで、程度には個人差があります。頭痛がおきている間に嘔気や嘔吐を伴うことや、光や音に過敏になることがあるのも片頭痛の特徴です。

症状は頭の片側や部分的なものから、頭全体に痛みを感じものまでさまざまです。

多くの場合、数時間~数日症状が継続します。

片頭痛の前兆がある場合には、目の前がキラキラしたり反対に目の前が真っ暗になる、チクチクとした感覚が鋭くなることや反対に感覚が鈍くなるといった症状が典型的です。

群発頭痛

<原因>

群発頭痛が起こる原因ははっきりとわかっていません。女性にくらべ男性で5倍近く有病率がある頭痛で20~40代に多くみられます。体内リズムによる脳の興奮や自律神経と関係する血管の拡張が、群発頭痛を引き起こしている説が唱えられるなど研究が進んできています。

大酒家やヘビースモーカーで群発頭痛が多くみられ、アルコールやニトログリセリン、ヒスタミンが頭痛の引き起こしたりや悪化させる要因として報告されています。

<症状>

群発頭痛は片側の目の奥がえぐられるような、とても激しい痛みを自覚する頭痛です。発作は決まった時間、特に深夜帯が多いため激烈な痛みで起きてしまうこともあります。季節の変わり目などのある時期に集中的に頭痛を起こすため、群発頭痛とよばれています。

群発頭痛は数十分~数時間症状が続き、短時間で症状が改善しますが、1日に何度も症状が現れることもあります。

群発頭痛を自覚すると1~2か月のあいだは、連日痛みを自覚することがあります。

脳の病気が引き起こす頭痛

<原因>

脳は頭蓋骨に覆われています。正常な状態でも頭蓋骨の中にはすきまがないくらい、脳や血管・神経がつまっています。

脳の血管が広がると、脳や神経が圧迫され頭痛が引き起こされます。これは日常的な頭痛でも起こり、血圧が下がる、緊張がほぐれると症状が改善します。

以下に代表される脳の病気では、脳や神経・他の血管を圧迫するため頭痛を自覚します。

脳に腫瘍ができる:脳腫瘍

脳の血管に瘤ができる:脳動脈瘤

脳出血:くも膜下出血、脳動脈瘤の破裂

<症状>

脳の病気が引き起こす頭痛は、いままでの人生で感じたことのないような痛みが特徴です。特に、くも膜下出血では「突然起こった今までに経験したことのない激しい頭痛」で発症し、「バットで殴られたような痛み」とも形容されます。脳の病気では自然に軽快することは考えにくく、症状は悪化傾向、場合によっては急激な状態の変化するなど命を落とすことにつながりかねません。

脳の病気が原因の場合には、頭痛だけでなく全身に症状が現れることが一般的です。頭痛だけでなく以下のような症状が現れる場合があります。

・気持ち悪い

・吐いてしまう

・物をつかむことができない

・手足に力が入らない

・手足が痺れる

・めまいやふらつきがある

・真っ直ぐ立てない、歩くことができない

・体の片側だけに症状が現れる

・しゃべりにくい、思うように言葉がでない、ろれつが回らない

・意識がとおくなる

このような症状が現れるときには、できるだけすみやかに医療機関を受診し適切な処置をうけるようにしましょう。

医療機関への受診のタイミング

頭痛では、医療機関に受診しない人も少なくありません。

我慢できる痛みや肩こりや疲れが原因で、数時間でおさまるような頭痛では受診の必要はありません。

慢性的な頭痛、片頭痛の場合には、市販の痛み止めで様子を見ている人がほとんどでしょう。

痛み止めを飲んでも症状が改善しない、頭痛の頻度が増えることや痛みを感じる時間が長くなるときには、何らかの病気が隠れている場合があります。また、鎮痛剤を頻回に使用する場合には薬物乱用頭痛の危険性も高まることから漫然と使用しないようにしてください。

頭痛の種類によっては、市販の痛み止めが合わない場合もあります。頭痛外来や脳神経外科など専門の医療機関の受診をおすすめします。

けれども脳の病気が原因の頭痛のように、我慢できないほどの痛みがある、頭痛以外の症状がある、頭痛がどんどん酷くなる場合には我慢せずに、救急外来や脳神経外科を受診しましょう。

頭痛の治療方法

頭痛の治療方法は、脳になんらかの病気がある場合はその治療を優先的に行います。高血圧が原因の場合は、血圧コントロールが重要です。ストレスの緩和、肩こりや首こりなどの筋疲労の改善も効果的な治療の1つです。

頭痛の原因となりやすいアルコールの摂取を控え、栄養バランスのとれた食生活も症状の改善には有効です。

頭痛の症状緩和のために、痛み止めや漢方薬を内服します。片頭痛の治療では、片頭痛発作を起こさないような内服薬・注射を併用する治療が行われます。

頭痛の原因によって治療方法は大きく異なります。

自己判断せず専門医の適切な診断・治療を受けることで、症状の改善が期待できます。

軽度な頭痛は市販薬でセルフケア

我慢できる頭痛や、肩こりが原因となって引き起こされる頭痛に対しては市販薬を飲んで様子を見るという方も多いでしょう。ここからは頭痛に対して使用できる市販薬について解説します。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

まず一つ目は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類されるお薬です。具体的なお薬として「ロキソプロフェンナトリウム」や「イブプロフェン」などが挙げられます。NSAIDsは解熱鎮痛薬として、臨床の現場でもよく使われるお薬です。

それぞれのお薬に該当する市販薬の一部をご紹介します。

ロキソニンS

ロキソプロフェンナトリウム水和物が配合されている市販薬です。第一類医薬品に分類されるお薬ですので、薬剤師のいる薬局やドラッグストアでしか購入することができません。
*15歳未満のお子様は服用できないのでご注意ください。

イブクイック頭痛薬DX

イブプロフェンが配合されている市販薬です。このお薬はイブプロフェンが早く溶けるように工夫がされているという特徴があります。指定第二類医薬品に分類されるお薬です。
*15歳未満のお子様は服用できないのでご注意ください。

NSAIDsは痛みの原因となるプロスタグランジンの生成を抑制し、頭痛をはじめとする様々な痛み、炎症に効果が期待されるお薬です。

一方、多くのNSAIDsは副作用として胃障害などの消化器症状が現れることがあります。これらのお薬を使用する際には、なるべく空腹時を避けて服用してください。

アセトアミノフェン

つぎにアセトアミノフェンについて解説します。アセトアミノフェンも頭痛などの痛み、風邪による発熱に対して効果が期待されるお薬です。アセトアミノフェンという名前よりも「カロナール」という名前の方がよく知られているかもしれません。医師の処方箋を元に薬局で受け取ることのできるカロナールというお薬の有効成分がアセトアミノフェンです。

アセトアミノフェンの作用の正確な部位や機序は完全には解明されていないものの、中枢神経系に作用し、プロスタグランジンの合成抑制、ならびに痛みを抑制する神経の働きを強めることなどが考えれています。

薬局やドラッグストアで購入可能な市販薬としては「タイレノールA」などの名称で販売されているほか、「バファリンプレミアム」などにも配合されています。
*医師の管理の元、アセトアミノフェンを小児に対して使用することがありますが、市販薬である「タイレノールA」は15歳未満の小児には使用できないのでご注意ください。

漢方薬

漢方薬の中には頭痛に対して使用できるものもあります。

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

呉茱萸湯は手足が冷えやすく、体力があまりない方の習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、嘔吐などに使用する漢方薬です。

葛根湯(かっこんとう)

葛根湯は風邪だけでなく、頭痛や筋肉痛に対しても使用できる漢方薬です。特に肩こりが原因となる頭痛をお持ちの方は、葛根湯が良いかもしれません。

*葛根湯は比較的体力のある方に適した漢方薬です。

釣藤散(ちょうとうさん)

釣藤散は比較的体力があり、中年または高血圧の傾向がある方における頭痛に適した漢方薬です。

こちらで紹介した漢方薬は、薬局やドラッグストアなどで購入することができます。

また、お値段は高くなってしまいますが、漢方を専門的に扱う薬局もありますので興味のある方は調べてみてください。

市販薬を使用する上での注意点

頭痛薬の使用はあくまで対症療法でしかありません。原因が完治しないと痛みがおさまらないだけでなく、病状を悪化させてしまうこともあります。特に頭痛は、脳腫瘍や脳出血などの重篤な疾患でも現れるため、頭痛の原因を把握することはとても大切です。

あくまで対症療法ということを忘れず長期の使用は控え、3〜5回使用しても良くならない場合は病院やクリニックなどの医療機関を受診しましょう。

頭痛の対策と予防

ここからは頭痛の対策、または予防方法について各専門職(看護師・理学療法士・管理栄養士)の視点から解説してもらいます。

自宅で簡単に実施できる対策から、専門職ならではの解説もありますので是非ご覧ください。

看護師からのポイント

頭痛の原因を取り除く

頭痛を改善するためには原因を明らかにし、頭痛の原因を取り除くことが重要です。

頭痛の原因には以下があることがわかっています。

精神的因子:ストレス、精神的緊張、疲れ、睡眠不足

内因性因子:月経周期

環境因子:天候や気圧の変化、温度差、頻回の旅行

食事性因子:アルコール

これらの因子のなかで、精神的因子と食事性因子はご自身の意識づけや生活習慣の改善で、取り除くことが可能です。それぞれの対処方法を理学療法士・管理栄養士が一つひとつ解説しています。ぜひお読みください。

内因性因子として挙げられている月経周期では、女性ホルモンのゆらぎが頭痛の原因となっています。血管を広げる、ストレスを感じやすくする女性ホルモンもあり、その影響で20~40歳代の女性に片頭痛が増える傾向があります。月経周期で片頭痛を起こしやすい場合には、婦人科を受診しピルの服用を検討してみましょう。女性ホルモンのゆらぎをへらすことで、頭痛の改善が期待できるかもしれません。

環境因子に対しては、天候や気圧の影響を受けないようにするのは難しくとも、室温や着衣で調整すれば温度差による影響を受けにくくなります。

旅行などで生活・睡眠環境が変わることも、体にはストレスになり頭痛を引き起こす原因になる可能性があります。旅行先や旅行後に頭痛がひどくなる人は、旅行スケジュールや頻度を見直しゆったりと無理のないものに調整するだけで、頭痛を起こさなくなるかもしれません。

生活習慣を見直す

生活習慣の見直しも、頭痛の症状を改善する予防するためには有効な手段です。

睡眠不足や過度な疲労は全身の血流を悪化させます。筋肉の緊張が続くと緊張性頭痛を引き起こすリスクが高まります。

睡眠をしっかりとる、体をやすめることを意識しましょう。

ストレスも頭痛の原因となります。環境を変える、趣味を楽しむようにして気分転換をはかりストレスをためないようにしましょう。

生活習慣の乱れだけでなく、食習慣も見直しが必要です。食生活の見直しに大切にしたいことは、頭痛の原因となりやすい食品を減らし、頭痛の改善に効果的な食品を積極的にバランスよく食べることです。食生活の注意については、管理栄養士が詳しく解説しています。ぜひお読みください。

理学療法士からのポイント

姿勢から起こる肩こりや首こり

肩こりや首こりといった症状は日常生活での動作や姿勢が要因となる事が非常に多い症状といわれています。

特に現代人に多い以下の姿勢は要注意です。

①スマホ姿勢のような頭から首にかけて前方に伸びた状態

②デスクワーク姿勢のような背中が丸くなった姿勢

このような姿勢は首から肩の筋肉が常に伸ばされた緊張した状態で固まったしまう為、血流も滞りやすく痛みやだるさが起きやすくなります。

また、頸部の筋肉の凝りによって起きる緊張型頭痛は片頭痛にも似た症状を引き起こすとも言われている為、肩こり・首こり、姿勢そして頭痛の関連性は高いと考えられます。

これらの解決方法としては以下の方法があります。

①日常生活での姿勢を見直す

 ⇒デスクワークの方は1時間に一度立って身体を伸ばす

  スマホから離れる時間を作る

②エクササイズを定期的に行う

 ⇒普段行わない動作(特にバンザイのように腕を上げる動作)を入れて

  姿勢の偏りをなくす

自宅でできる簡単エクササイズ

肩こりや首こり予防のエクササイズは以下のポイントを意識して行いましょう

①背骨の曲げ伸ばし・捻り

②肩甲骨の動き

③バンザイの動作

④立って動く

①四股捻り運動

背骨を捻る動作や骨盤を立たせる効果があります。

息を吐きながら捻り、吐き切ったら息を吸いながら真ん中の位置まで戻りましょう。

左右10回ずつ行います。

②脇腹ストレッチ

脇腹の筋肉は肩甲骨や肋骨に付着しているものもあり、硬くなると肩こりの要因になりやすいと言われています。股関節を開き、お尻を締めつつ、伸ばすと骨盤の位置が安定し脇腹の筋肉が伸びやすくなります。ゆっくりと息を吐きながら伸ばし、吸いながら元の位置に戻る動作を左右10回繰り返しましょう。

 

③ショルダープレス

肩こりや首こりの要因として僧帽筋上部という筋肉に動きの硬さが挙げられます。

このエクササイズでは動きの硬い僧帽筋上部に刺激を与える事が可能です。

特になで肩姿勢で肩こりがひどい方へオススメのエクササイズです。

呼吸を止めないように10回行いましょう。

④デスクワーカーズストレッチ

デスクワーカーの方に特に行っていただきたいストレッチです。

座位姿勢が長い事でお尻の筋力の低下や太もも前の筋肉の硬さ、肩甲骨周りの筋の硬さなど

様々な身体の弊害が生じてしまいます。

これを予防する為には立って伸ばす事が大事となり、このエクササイズではまとめて行う事が可能です。

ゆっくりと息を吐きながら全身を捻るようにして伸ばしていきましょう。

エクササイズにおける注意点

ご紹介したエクササイズを行う事で痛みや不快感など身体に不調が生じる場合は無理にエクササイズを行わないようにしましょう。エクササイズを行う事に不安がある方はかかりつけ医で確認を取り、理学療法士やパーソナルトレーナーなど専門家のアドバイスを受け実施してください。

管理栄養士からのポイント

アルコールの飲み過ぎに注意

お酒に含まれるアルコールは、頭痛を引き起こす原因になります。飲酒によって体内に入ったアルコールは肝臓で分解されて、アセトアルデヒドという毒性のある物質へと代謝されます。

適度な飲酒量の場合は、アルコールの代謝が円滑に行われてアセトアルデヒドは分解されますが、多量の飲酒の場合は、アセトアルデヒドを分解する能力が追いつかなくなりそのまま体内に蓄積されてしまいます。このアセトアルデヒドの毒性により、頭痛を引き起こしてしまいます。

また、アルコールが持つ血管拡張作用と利尿作用も頭痛を引き起こす原因となります。過剰なアルコール摂取により、頭の血管が広がることで神経を圧迫して痛みを生じます。また、利尿作用により体内の水分が減少し脱水状態になります。

脱水状態では、アセトアルデヒドの分解を遅らせるだけでなく、体内の水分バランスが崩壊して脳内にある髄液という物質が減少し、身体を起こしたときに頭痛を引き起こします。

このように、アルコールの飲み過ぎは、頭痛を引き起こす原因となるため、適正量を守り、しっかりと水分を摂ることが大切です。また、アルコールを代謝する能力には個人差があり、厳密な適正量は自分で把握しなければなりませんが、厚生労働省が定める健康日本21「節度ある適度な飲酒量」の項目で1日当たりアルコール摂取量が約20gと決められているため、以下の値を参考にして下さい。

・ビール  (アルコール5%) :中瓶1本(500ml):アルコール量20g

・清酒   (アルコール15%) :1合  (180ml):アルコール量22g

・ウイスキー(アルコール43%) :ダブル (60ml):アルコール量20g

・焼酎   (アルコール35%)  :1合  (180ml):アルコール量50g

・ワイン  (アルコール12%)  :1杯  (120ml):アルコール量12g

食生活

アルコール以外にも頭痛を引き起こす原因になる物質がいくつかあります。まず初めに、ブルーベリーやブドウ、イチゴ、カカオなどに多く含まれるポリフェノールという物質です。ポリフェノールは体内の酸化を抑える作用がありますが、血管を拡張する作用もあり、食べ過ぎは片頭痛を引き起こす恐れがあります。次に、カップ麺やインスタント食品、スナック菓子に多く含まれるグルタミン酸ナトリウムという物質です。グルタミン酸ナトリウムは、加工食品のうまみ成分である半面、血管を拡張する働きのある添加物であるため、食べ過ぎには注意しなければなりません。

次に、頭痛に効果的な栄養素を紹介していきます。1つ目は、納豆やアーモンド、ひじきなどに多く含まれているマグネシウムです。マグネシウムは、血管の緊張を緩めて頭痛を改善する効果が期待できる栄養素です。2つ目は、豚肉やレバー、ほうれん草、のりなどに多く含まれているビタミンB2です。ビタミンB2は血圧を下げる働きがあるため、片頭痛持ちの方には積極的に食事に取り入れてほしい栄養素です。最後に海藻類や、トマト、きゅうり、スイカなど水分の多いミネラルです。先ほど、頭痛の原因の1つで脱水を取り上げましたが、この脱水を防ぐために効果的な食べ物が水分を多く含む食材です。

以上のように、頭痛の原因となる食材の過剰な摂取を避け、頭痛に効果的な食材の積極的な摂取を心がけましょう。

参考資料

看護師
・頭痛ガイドライン│日本頭痛学会 (jhsnet.net)
https://www.jhsnet.net/guideline.html 
・慢性頭痛診療ガイドライン
https://www.jhsnet.net/GUIDELINE/contents.htm 

薬剤師
・タイレノールA添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/otc/PDF/J0601013063_03_A.pdf 
・Wall and Melzack’s Textbook of Pain
http://dl.iranidata.com/daneshname/baygani/Ahmad/Wall-and-Melzack-s-Textbook-of-Pain.pdf 
・ロキソニンS添付文書
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/package_insert/pdf/loxonin-s_1.pdf 
・バファリンプレミアム 製品紹介|ライオン株式会社
https://www.bufferin.net/products/premium.htm 
・イブクイック頭痛薬DX添付文書
https://www.ssp.co.jp/uploads/product/all/eveqdx/package_insert.pdf 
・ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200046D1039_1_10 
・ツムラ釣藤散エキス顆粒(医療用)
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200101D1030_1_09 
・クラシエ葛根湯エキス細粒
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200013C1080_1_03 

理学療法士
・Kelly Starrett:ケリー・スターレット式「据わりすぎ」ケア完全マニュアル.医道の日本社.2019
・Simon Niel-Asher:ビジュアルで分かるトリガーポイント治療 増補改訂版.緑書房.2018

管理栄養士
・お酒を飲むなら知っておきたい!アルコールと頭痛の関係| 痛みに効くコラム| ナロン | 大正製薬 (taisho.co.jp)
https://brand.taisho.co.jp/contents/naron/detail_317.html 
・Vol.31 お酒を飲む人は特にビタミンB1不足にご注意!(2)|元気の雑学|がんばるあなたに。疲れの情報局|アリナミン (alinamin.jp)
https://alinamin.jp/tired/topics/31.html 
・健康日本21(アルコール)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5f.html 
・頭痛を誘発する代表的な食べ物の4つの成分 | 健康大学 (xn--nyq66skyb86e.net)
https://www.xn--nyq66skyb86e.net/1931 

執筆者 / ファクトチェック / 監修者

Author profile
医師 / 産業医
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。
妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学の大切さを改めて感じるようになる。
医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
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看護師 / 保健師
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コンテンツディレクター/薬剤師

病院薬剤師として6年勤務。主にがん領域を経験。
現在は調剤薬局にて経営者かつ薬剤師として地域の健康サポートに取り組んでいます。
また、webライターとしてOTCやセルフメディケーションについて正しい医療情報を発信し、悩みを解消できる記事作成に励んでいます。

一緒にセルフメディケーションについて知識を増やしていきましょう。

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PHIピラティスインストラクター / 理学療法士

コンディショニング×ピラティススタジオSteadyGo代表
「マイナスからゼロへ、ゼロからプラスへ」をコンセプトに広島県東広島市でスタジオを経営

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管理栄養士 / 研究者

大学で管理栄養士の資格を取り、現在は大学院にて肥満と糖尿病の研究をしています。医学と栄養の視点から健康をサポートしていきたいと思います。

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